『意味がわかると怖い4コマ』オチの先を用意した4コマが面白い!(ネタバレ含む感想)
意味がわかると怖い話って昔から怖い話の定番の一つです。
「あれ、その話のどこが怖いの?」
「で、そのオチはどこにあるの?」
そんな風に思わせておいて、実はよくよく考えると・・「ひぇ~!」って話のことですね。
そういう話には、あえて本当のオチを語らない所に怖さと面白さがあると思います。
『意味がわかると怖い4コマ』はそれを文字通り4コマで表現した作品なのですが、基本的には起承転結で最後にはオチを求められる4コマで本当のオチを語らないというところに興味深さがありますね。
普通であればオチの説明なんて興覚めもいいところですけど、『意味がわかると怖い4コマ』の場合はまるで答え合わせのように本編の裏側に一体何が怖いのかが書かれています。
これには賛否もありそうなところですが、個人的には面白かったと思います。
「いったい本当のオチは何なのだろう?」とちょっとしたクイズ感覚で読むことができますし、実際中には4コマ本編を読んだだけでは何が怖いのかが分からなかったけど、答えを読んで「なるほど。こわっ!」ってなる作品もあったりして面白かったです。
更にはその答え合わせすら、少なくとも怖さの理由は教えてくれつつもある程度の想像の余地を残したものになっているものも多いのも面白いところ。
こういう怖さって結局のところ人間の想像力が作り出すものなので、最後まで想像力を掻き立てさせようとする演出なのだと思われますが、なんとも新しいタイプの発想の4コマで楽しかったです。
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さて、『意味がわかると怖い4コマ』なんて作品に興味を持って読んでみた僕ですが、実は怖い話にはそれほど詳しくはありません。あまり触れていないジャンルというか、そんな感じです。
しかし、4コマという特性上多くのエピソードが語られていますが、意味がわかると怖い話のバリエーションの多さに驚かされました。
中には、話そのものではなく絵の中に怖さのヒントがあるようなエピソードもあったりして、セリフやモノローグの中に怖さのヒントがあると思って読んでいた僕は最初なぜ怖いのか分からなかったりもしたのですが、答え合わせを見て改めて絵をじっくり見るなんて読み方も楽しかったです。
というか、慣れた人が漫画を読む時は絵もセリフもサラッと読み流してしまいがちだと思うのですが、恐らく作家さんの立場から言えばもっとジックリ読んで欲しいと感じているのは間違いないのではないかと思います。そういう意味で、何が怖いのかを考えさせた上に、分からなかった場合に答え合わせとして改めて読ませるということを自然に実現している本作品は、ジックリ読ませるという点においても秀逸なのかもしれませんね。
ちなみに、『意味がわかると怖い4コマ』は意味がわかると怖い「ひと」「あの世」「この世」「未来」「童話」の5章立てになっていました。
「ひと」は文字通り人が怖い話で、「あの世」は生死に関わる怖い話。「この世」は人が怖い話と被る部分もありますが、日常の中に潜む怖い話という感じでしょうか。「未来」も人と生死が被る部分もありますが、現時点ではなくこれから起きる怖さを彷彿とさせる話。「童話」と聞くと本当は怖いグリム童話的なものを想像しそうですが、童話の新解釈といった話になっているように感じました。
怖い話に詳しい人なら「あ~あのパターンね」ってそこまで新鮮には感じないのかもしれませんが、詳しくない僕としてはこのエピソードの豊富さを楽しめました。
また、前述した通りクイズ感覚で何が怖いのだろうと考えながら読むからか、怖さそのものはあまり感じませんでした。これは良し悪しだとは思うのですが、本当にゾッとするような怖さを求めている人には物足りないと感じられそうなものの、怖い話が苦手な人でも様々な怖い話を手軽に楽しめるという良さがある作品なのではないかと思います。