『トニカクカワイイ(1)』ひかれ逃げした少年が年下の女の子に一目惚れする話の感想(ネタバレ注意)
『トニカクカワイイ』は『ハヤテのごとく!』で有名な畑健二郎先生の最新作・・と言っても現時点で既に二桁巻も刊行していてアニメ化もされた人気作ですね。
前作『ハヤテのごとく!』がラブコメ作品にして50巻オーバーの大作だったので、十数冊程度ならまだまだ最近始まった作品という感じがします。
しかし、個人的にはこの『トニカクカワイイ』という作品は1巻相当分を連載で読んだっきりで、その後が追えていない作品でした。というのも、丁度僕が週刊少年サンデーを定期購読するのを止めた時期に始まった作品で、しかも当初はそれほど魅力を感じなかったというのもあります。『ハヤテのごとく!』にマンネリを感じて、その延長のように捉えてしまっていたというか、そんな感じですね。
ですが、この度アニメ版を見てみてかろうじて知っている序盤のストーリーに改めて触れたところ、「あっ、これって普通に面白くね?」って思い直すことになり、原作漫画も改めて読んでみようと感じるようになりました。
こんな感じで一度面白くないと感じた作品に時間を置いて触れたら面白いと感じるようなことが、時々あったりするから不思議です。
『トニカクカワイイ』の場合、連載で読むよりある程度纏めて読む方が僕に合っていたということもあるかもしれません。そういえば、『ハヤテのごとく!』も単行本で読んでいた時は楽しんでいたけど、連載で追うようになってから飽きてしまったことがあるような・・
ともかく、アニメ版でもトニカクカワイイ夫婦の物語の1巻の感想です。
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お笑いタレントのとにかく明るい安村を彷彿とさせるようなタイトルですが、『トニカクカワイイ』はすぐに裸が飛び出すようなギャグマンガではありません。だからといって安易に裸が飛び出すようなラブコメでもありませんが。(笑)
程度と内容にもよりますが、あんまりお色気成分の強いラブコメ作品は個人的には苦手で、どちらかと言えば安易なお色気要素を含めていないけど上手なキャラクターの掛け合いでドキドキさせるようなラブコメ作品の方が個人的には好みなのですが、『トニカクカワイイ』はそっち寄りのラブコメ作品なのではないかと思います。
もっとも、普通のラブコメ作品と違って主人公とヒロインが結婚するところから始まるという少年向け作品としてはかなり珍しいタイプの作品でもあり、それが『トニカクカワイイ』で最も個性的な部分と言えます。いや、もっと大人向けの作品であれば結婚生活を描くような作品は珍しくありませんが、中高生の年代を描くラブコメ作品では掟破りというか、普通であればゴールとなるエピソードを最初に描いてしまったという感じがしますね。
だって、『トニカクカワイイ』という作品を全く知らない人がヒロインのウエディングドレス姿の1巻の表紙だけを見たら間違いなく最終巻だと感じるはずです。そして、1巻という数字を見てビックリすると。(笑)
主人公は星空と書いてナサと読む少年で、幼い頃からそのキラキラネームを馬鹿にされていると感じて、馬鹿にされない人間になろうと勉強に運動にと猛烈に努力して中学生になる頃には中々の天才児が仕上がっています。
しかし、理屈など無くとにかく可愛いととある女の子に目を奪われ、それが原因でトラックに轢かれてしまいます。そのとある女の子が気付いて庇わなければどなっていたのかという事故で、かなり強く体を打っているはずなのに何故か無事な様子な女の子はトラックの運転手の制止を振り切ってクールにその場を立ち去ります。
そして、ナサもまたあまり無事では無さそうな様子なのに、トラックの運転手の制止を振り切って「とにかく可愛いから」とその場を立ち去ります。
これじゃあひき逃げならず、ひかれ逃げですね。トラックの運転手からしたら通報義務があるのに、警察が到着する頃には被害者がいなくなっているという説明が難しい状況です。(笑)
とにもかくにも、女の子を追いかけたナサ君ですが、なんと名前も知らない女の子にその場で告白。そして、女の子の方も結婚するなら付き合うとまさかのオーケー。なんというか、ファンタジーな要素は何もないのにあまりにも超展開すぎて記憶に残るプロローグですよね。
一目惚れってのは現実にもあるのかもしれませんが、ここまで素早く行動に移すようなケースって現実には・・ありますね。いわゆるナンパとかなんて「あの娘が可愛い」って声を掛けるのと同じといえば同じです。(笑)
しかし、ナサ君のケースはもっと重々しいというか、ナンパには見えません。こんな真剣な告白を名前を知らない女の子にするってのはさすがに現実には無いでしょう。あるとすればテレビ番組で後々紹介されるレベルです。
なんて夢の中のような経験をしたナサ君ですが、目が覚めてみればその女の子が自分を訪ねてくるようなことも無く、そのまま3年ほど時間が経過するのですが、「久しぶり」とあまりにもアッサリと女の子はナサ君の家にやってきます。結婚できる年齢まで待ったということなのでしょうけど、主人公とヒロインの出会いとしては間違いなく初めてのケースですね。
そして司という名前をここで初めて自己紹介し、その直後に婚姻届けを渡すヒロインとか、行動だけ見たらヤンデレっぽいですけど、あくまでもクールで正直何を考えているのか分からないところがあります。
ですが、『トニカクカワイイ』は何故か結婚がゴールではなくスタートだった二人のラブコメを描いた作品なので、その何故かを気にしていては素直に楽しめません。僕も連載開始時に読んだ時にハマらなかったのはその辺が気になってしまったからだと思います。
しかし、その辺の細かいところを気にせずにいれば結婚から始まるラブコメを素直に楽しめる作品だと思います。
いろいろなものをすっ飛ばしているから初々しいナサ君に、クールだけど不意打ちには弱いところのある司ちゃん。夫婦であれば当然の言動に一喜一憂する姿が面白いと感じました。