人の目が気になる人必見!『自意識過剰な桐谷さん』の感想
他人から見て自分がどう映っているのか?
本作は、主人公の桐谷さんが過剰なほどそれを気にしているのを「いやいやそれは流石に大げさでしょう?」と笑う所に面白さがある作品・・なのだと読む前は思っていました。
確かに、桐谷さんの大げさな反応はいちいち面白く、それもこの作品の魅力であることは間違いないと思います。
しかし、大なり小なり誰でも桐谷さんと同じようなことを気にしたことがあるのではないでしょうか?
僕は自分のことをそれほど自意識過剰な人間だとは思っていませんが、それでも共感できる部分が多かったような気がします。
いやいや実際問題、桐谷さんのことを笑ってられないなぁと思いました。
漫画的に大げさに自意識過剰な桐谷さんですが、実は誰でも重なる部分のある共感しやすいキャラクターなのだと思います。
正直な話、桐谷さんは個性的ではあっても主人公としてはそれほど魅力的ではありません。言動がおかしく可愛くないし、混乱して変顔するしで、ヒロインとしてもちょっとどうかという感じです。その上、何か秀でたものがあるわけでもない。
なのに何故か嫌いにはなれない。
それは、どうしても自分自身と重ねてしまう部分があるからなのだと思います。
そんな桐谷さんの言動を見て、「自分はこういう時どうしてたかな?」と振り返ってみるのもとても面白いと思いますよ!
そして、自分が自意識過剰だなと思う人。
最後までこの漫画を読めば目から鱗が落ちるかもしれませんよ?
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本作の概要
5年前、男の子にクッキーを貰った所をからかわれたことがトラウマになっていて過剰に人の目を気にするようになってしまった桐谷さんと、自分のやりたいことを他の人にどう見られようともやってしまう変人の椎名龍平君の恋物語になります。
実は、椎名龍平君が自分のやりたいようにできる性格になったのは、桐谷さんが過去に彼の作文を誉めたことがキッカケなのですが、その出来事を理由に椎名龍平君は桐谷さんを好きになり告白します。
本作は、そんな椎名龍平君の告白を桐谷さんが受け止めることができるまでの成長を描いた漫画となります。
本作の見所
人の目を気にする桐谷さん
人の目を気にする桐谷さんの言動の内、これ共感できるなぁと思ったものをいくつか紹介したいと思います。
コンビニのトイレ
コンビニのトイレを借りたいけど借りれない桐谷さん。
てんやわんやと騒いだ後、結局トイレは借りずに走り去ってしまいました。
いや、だけどコンビニのトイレって、他のどの施設のトイレよりもハードル高くないですか?
僕もよほど切羽詰まった時以外にコンビニのトイレは使ったことがありません。(笑)
コンビニのトイレ・・独特な場所ですよね。
メールのやり取り
送信するのに心の準備が必要。
”!”は使い過ぎたくない。
顔文字の利用。
句読点の位置。
・・1つメールを送るのに桐谷さんは色々なことを気にしていますが、これもめっちゃ共感できます。
特に"!"と顔文字。
顔文字の使い方これで合ってるのかと、別に正解があるわけでもないのに気になったり、"!"や顔文字を使いすぎてテンション上がった感じになりすぎてないかと気になったり、これは経験があります。(´・ω・`)
送る相手によっても悩んだりしますよね。
桐谷さんはメールを受信メールを開くのにすら心の準備をしようとしていますが、僕の場合はさすがにそこまで気にすることはありません。
しかし、早く返信しなきゃと気遣うことはありますね。
買い物するブランドの服を身に付けて来店
洋服を買いに来た桐谷さんは、入った店のブランドの靴下を身に付けていることを気にしています。
あまり聞かないけど、これってみんなはどうなんでしょうね?
僕は凄く共感できたのですけど。
何か入る店のブランドの服を身に付けて入店するの恥ずかしくないですか?
しかも買ったばかりとかだと恥ずかしさが5割り増しくらいに・・
僕の場合、衝動買いする時とかなら「ま、いっか」とあまり気にしませんが、最初から服を買いに行く目的の時は、入る予定の店のブランドの服を避けたりはしています。
洋服屋の店員と試着室
共感度MAX!
店員の勧めてくれた服は一つくらい買わなきゃとか、試着室で無意識に早く着替えようとしてしまったりとか、桐谷さんの言動の中でも共感度がかなり高いのではないでしょうか?
アパレルの店員ってイヤホンしてても話しかけてくるし、圧がヤバいですもんね。
僕は用もなく洋服屋で服を物色するのが好きな方ですが、それでもアパレル店員の圧には慣れません。一つくらい買わなきゃとまでは思わないものの、あまりぞんざいに扱うのもちょっと悪い気がしてしまうのも事実です。
最初から買うつもりの時は色々教えてくれるからありがたいんですけどね。
それに試着室。
カーテン1枚の先が完全に異空間ですよね。
ただ、桐谷さんのように外で人が待ってるかもということは特に感じたことはありません。
僕の場合は単純に公共の場所で着替えをすることに抵抗があるだけです。
苦手な人が多そうな試着室ですが、苦手な理由は人それぞれあるのかもしれないと思いました。
桐谷さんの成長
「他人の人生を生きている」
椎名龍平君の小説の主人公の言葉。
風邪で寝込む桐谷さんの夢の中に登場する椎名龍平君は言います。
桐谷さんは他人を心の中心に置いているから、心が悲鳴を上げているのだと・・
いやはや、他人の人生を生きているとはうまいことを言いますね。
もちろん他人を一切寄せ付けない心も虚しいものかもしれませんが、中心に置いて自分が追い出されるのも問題ですよね。
目が覚めた時、「何が食べたい?」と問う母親にも「何を食べたいと言うのが母親にとって楽なのか?」を考えてしまっています。
「あんたはいっつも『~しなきゃ』って言っているわよ」
「『したい』って言ってみなさい」
このお母さんも良いこと言いますね。
そして桐谷さんは、ずっと自分の気持ちを閉じ込めて、ずっと我慢していたことに気付きました。
総括
この漫画を読み終わった後に抱いた感想は独特なものでした。
普通なら「面白かった」「感動した」とかが先に立つと思うのですが、僕は『自意識過剰な桐谷さん』を読んで最初「共感した」という感想の方が先に出てきました。
もちろん、漫画に限らず登場人物に共感することはよくあることではあるのですが、それがメインの感想として出てくることは珍しい気がします。
ちょっと独特な漫画ですが、非常に面白いので是非とも読んでみてください!