あるいは 迷った 困った

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『フルーツバスケット(16)』全編アニメ化記念に全巻レビューします

 

本田透の両親の馴れ初めが描かれる16巻です。(前巻のレビューはこちら

フルーツバスケット』という作品において、本田透という主人公を育てた母親の本田今日子というキャラクターは、既に亡くなっているにも関わらずかなりの存在感を放つキーパーソンです。

16巻には、そんな興味深い本田今日子のルーツが描かれています。

生前に由紀にも目撃されていたり、夾に至っては結構踏み込んだ思い出話をしたこともある。実は主人公の母親であるという以前に十二支のメインキャラクターとも接点のあった本田今日子のエピソードに注目ですね。

また、今巻ではいよいよ倉伎真知のキャラクターが目立つようになってきます。 

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本作の概要

一度は道に迷わなければ自分の答えに辿りつけない。

そんな教訓を本田透の両親の馴れ初めという形で語られます。

本田透という主人公の両親がどんな人物なのか?

親と子供という関係がテーマの一つになっている『フルーツバスケット』において、ついに主人公の両親が描かれることになります。

また、一方で生徒会の方では変わっていく由紀と、ついにそのキャラクター性が見え始めてきた倉伎真知も描かれています。

本作の見所

夾と今日子

子供の頃に夾は、本田透の母親である本田今日子に会ったことがあるようです。

主人公である本田透。その母親である本田今日子は、なるほど本田透というキャラクターの母親としてなるほど感のある母親ですが、 一方で親子だと言われなければ分からないほど性格の違うキャラクターでもあります。

なんというか、こんなにも違っているのに言われてみれば納得してしまうような感じは凄いですよね。

そして、このエピソードを読んで思ったことは、本田今日子って本田透よりも夾に似ているのではないかということです。

名前が似ているのはただの符号だとしても、両親との仲は険悪で、それが原因で荒れたりもしていて、自分を認めてくれてくれる人との出会いで変わっていく。

そんなところで夾と本田今日子は似ていますよね。

しかも、夾にとっての自分を認めてくれる人が本田透で、本田今日子にとってはその本田透の父親である本田勝也だったというのも運命的な感じです。

もしかしたら、本田透が夾に異性としての好意のようなものを持ち始めている風なのも、母親の面影を重ねているというところもあるのかもしれませんね。

不良少女と十二支の共通点

親と子供の関係が描かれる『フルーツバスケット』で、本田今日子はこれまで親側として描かれていました。

主人公の母親なので当然のことですけどね。

しかし、今巻では母親ではなく子供側として本田今日子が描かれています。

これも誰もが人の子である以上は当然のことですが。

「この世には必要な人間と必要じゃない人間がいる。おまえは後者だ親不孝者。二度とこの家の敷居を跨ぐな!!」

家庭を顧みない父親と、夫と体裁ばかり気にしている母親。

冷えた家庭環境で本田今日子がグレるのも分からないでもない環境です。

これまでは本田透の母親としての本田今日子しか描かれていませんでしたが、なんでこの人が昔はグレてたんだってくらい良い母親でした。

その理由が分かるエピソードだと思います。

そして、この両親とうまくいっていないところって多くの十二支メンバーと共通しているところなんですよね。

恐らく、本田今日子は自分がうまくいかなかっただけに本田透に対しては良い母親であろうとしていたのだと思われます。

十二支と似た状況だった本田今日子が育てた本田透が、一部の十二支にとって癒しのような存在になっているというのも面白い構図だと思います。

本田透の父親

中学時代の本田今日子。

本田透を時代がかったヤンキーにしたらこうなるんじゃないかってキャラデザですが、地味に可愛いですよね。

個人的には本田透より好きかもしれません。(笑)

荒れている時の姿はちょっと猫っぽい感じですが、そういうところも夾と似ていると思います。

「何を、そんなに怒っているんですか?」

そして、そんな荒れている中学生の本田今日子に声をかけたのは教育実習生の本田勝也でした。

名前から分かると思いますが、本田透の父親です。

そんな本田勝也に本田今日子も最初はかみつきますが・・

「でも、かまってほしいんでしょう? 振り向いてほしいんでしょう? 他人に必要とされたいんでしょう? 話をきいてほしくて、わかって、受け止めてほしくて。・・他人に愛されたいでしょう?」

これは、ひょっとして本田今日子自身すら分かっていなかったことを言い当てられた形になるのでしょうか?

そんなちょっと変な教師に本田今日子は惹かれていくことになります。

というか、この後の本田勝也と接する本田今日子が拾われた猫みたいで可愛すぎるっ・・!

「・・やばい。翻弄されてる。絶対からかわれてる・・っ」

というか、本田勝也は確かに本田透の父親なんだぁと分かるところもあるキャラクター性ですが、どちらかといえば紫呉に近いような気もします。

好きな人をからかいたくなる子供っぽいところがあるというか、そんな感じです。

それにしても、荒れている本田今日子も本田勝也と接して丸くなった本田今日子も確かに同一人物だと分かるのですが、その雰囲気はまるで違っています。

本田勝也と会ってからの本田今日子は、かなり本田透にも似ていますよね。

そう考えると、つくづく人を作るのは環境だということが分かりますね。

倉伎真知

「「私」が”つまらない”のは本当の事だ・・」

自分は何も無い人間だという倉伎真知。

だからでしょうか。少しずつ変わっていっている由紀のことは少し気になってはいるようです。

「心細そう。王子扱いされる度、「さびしさ」があの人を蝕んでいくようにも見えた」

自分は変わっていないのに、由紀は変わっていっていて、今は心から楽しそうにしているように見える。

「これって俺がお土産で渡した紅葉?」

そんな由紀に、ちょっと隙を見せてしまって失敗したことを自覚する倉伎真知でしたが、ここから一気に人間らしい表情が見えてくる感じが良いですね。

「違わないコトも・・ない・・」

由紀に貰った紅葉ではないと嘘をつくこともできたはずですが、嘘を付ききれないところも可愛らしいと思います。

でも由紀が突っ込んだことを言ってくるからカッとなって意地を張り始める。

これは急激な変化というよりは本当に隙という感じなのだと思いますが、周囲の人間。この場合は由紀の変化に合わせて倉伎真知も変わり始めるというような構図になっていて面白いですね。

総括

いかがでしたでしょうか?

本筋とは関係ありませんが、中学生時代の本田今日子。

荒れている時はメッチャ荒れていますが、本田勝也と話す時の乙女チックな感じがメッチャ可愛らしいですね。

荒れている奴といえば、魚谷ありさの過去のエピソードでも魚谷ありさが普段より可愛らしく描かれていたような気がしますが、高屋奈月先生って意外と不良女子を描くのが好きなんでしょうか?

基本的には優しい物語を描かれる先生なのでちょっと意外に感じますね。

特に昔の不良少女っぽい本田今日子のキャラデザは、そんなに不良少女キャラは好きではない僕でも可愛いと思いました。

そして、いよいよ倉伎真知というよく分からなかったキャラクターのベールが脱げてきましたね。(次巻のレビューはこちら