あるいは 迷った 困った

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『フルーツバスケット(17)』全編アニメ化記念に全巻レビューします

 

十二支の呪いは解けることが判明する17巻です。(前巻のレビューはこちら

今巻からは十二支と彼らの神様である慊人の物語が進展し始める予感がひしひしと伝わってきます。

まあ、『フルーツバスケット』の物語も終盤に差し掛かっていますからね。

その中でも草摩紅野の呪いが実は解けているという事実が明らかになっているのは大きな進展ですね。

また、慊人の母親である草摩楝も初登場し、両親との確執があるのは十二支のメンバーだけではなく慊人も同じであったことが明らかになります。

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本作の概要

紅葉がクレノに渡した文化祭の演劇『シンデレラっぽいもの』のDVD。

魚谷ありさの思いは確かにクレノに伝わったのだと思われますが、非常に重要な事実とともにその思いに応えられないことを本田透に伝えます。

それでいっぱいいっぱいになってしまった本田透はその場から動けなくなってしまいますが、花島咲によって助け出されます。

そして、花島咲の家で開催されたパジャマパーティーで哀しいことを吐き出し、本田透は励まされることになります。

本作の見所

クレノの結論

あくまでも演劇だとはいえ、魚谷ありさの会いたい気持ちが伝わってきてクレノはちゃんとその結論を出そうとします。

しかし、その結論は本田透の望んだものではありませんでした。

これまでのクレノの様子から想像できたことではありますが、今巻では衝撃の事実とともに、明確にその理由が語られます。

「俺の呪いは、もう解けている」

ちなみに、なんで魚谷ありさにではなく本田透に応えたのかといえば、その理由に草摩家の十二支の呪いが関わっていたからということなのだと思われます。

何と言っても魚谷ありさは十二支の呪いのことを知りませんからね。

「他の十二支が今も苦しんでる呪いから易々と解放されてる。俺だけ自由で、どこにだって行ける。誰だって愛せる。だけど、だけどだからこそ慊人の側に、側にいてあげなくちゃダメなんだ・・っ」

十二支の呪いから解放されているクレノですが、かつてそれが分かった時に十二支の神である慊人はその寂しさから酷く取り乱しました。

そして、呪いが解放されたクレノだからこそ、それでも慊人の側にいるのだと安心させてあげたい。そんな思いから魚谷ありさではなく慊人の側にいることを選んだようです。

しかし、これでは呪いから解放されていたとしても、捉われ続けてはいるようなものですよね。

クレノの口からは慊人が実は女性であることや、慊人の母親である草摩楝との確執など、慊人の側にいる理由が淡々と語られます。

そして、今までになく踏み込んだ草摩家の秘密の重さと、自分がクレノに働きかけたことによって確定的になった魚谷ありさの失恋が覆いかぶさって、さすがの本田透も泣き崩れてその場から動けなくなってしまいました。

パジャマパーティー

落ち込んでいる時に助けてくれる親友が2人もいる本田透は、本人もどこかで言っていたような気がしますが本当に果報者だと思います。

この場合、本田透を助ける存在として魚谷ありさはあまり適しませんが、本田透の親友は魚谷ありさだけではありませんからね。

花島咲が本田透の哀しみを察知し、連れ帰ってパジャマパーティーが始まります。

パジャマパーティーといえば楽し気な響きではありますが、花島咲が本田透の抱えている哀しい現実を共有するというちょっと重たい場になります。

「何の役にも、立てなかった・・っ」

恐らくですが、本田透はDVDを見たクレノは魚谷ありさに会ってくれると疑っていなかったのではないでしょうか?

そうならない可能性を分かってはいても、疑いはしない。本田透はそんなキャラクターだと思います。

それにしても、本田透はどちらかといえば哀しみを抱えた人の話を聞く側に回ることが多い印象ですが、今回は珍しく逆になっている所が興味深いですね。

そして、本田透の話をこっそりと呼びつけた魚谷ありさにも聞かせているあたりは花島咲の機転がさすがですね。

一歩間違えれば、泣いている人間が一人増えることになるところでしたが・・

「おまえは何の役にも立たない奴なんかじゃない。大好きだ、このバカ」

魚谷ありさはそんなタイプのキャラクターではないですね。

普通に失恋したとしてもサバサバしていそうですし、ましてやキューピッドになろうとして失敗した親友が泣いているのを見て自分も泣くようなことはしないでしょう。

そして、だからこそ花島咲は魚谷ありさを呼んだのだと思います。

地味ですが親友同士でそれぞれ相手の性格への理解が深いからこそのやり取りが良かったですね。

総括

いかがでしたでしょうか?

今巻では、慊人の十二支に対する異様な執着というか、離れていってしまうことへの恐怖が今まで以上に強く描かれ始めているのが印象的でしたね。

ヒステリックな子供の我儘のような言動を取る慊人が今後どうなってしまうのかが気になるところです。

なぜなら、主人公の本田透は十二支の呪いを解くこと。

つまりは十二支を解放したくない慊人とは相反するわけですから、この二人の関係性がラストに向けて最も注目すべきポイントであることは間違いありませんね。(次巻のレビューはこちら