『いじめるヤバイ奴(2)』狂気的な奴らが増えてしまった漫画の感想(ネタバレ注意)
『いじめるヤバイ奴』はタイトルもヤバイですが、内容も負けずにヤバイです。
ちょっとエロい感じの表紙の漫画以上にレジに持って行きづらいくらいに表紙もヤバイですね。(笑)
だけど、そこで躊躇しないでください。
表紙以上に内容もヤバイですが、このヤバさは他に例のないものです。
本作品にしかない独特の個性というか感性は、他では味わえないものです。
通常フィクション作品って、登場人物の視点に立って非日常に共感したりするところに面白さがあるものです。
中二病的な考えかもしれませんが、強い主人公や頭の良い主人公の視点に立って見える世界を疑似体験することが楽しいわけです。
しかし、『いじめるヤバイ奴』の場合はその辺が異質な作品なのです。
本作品の登場人物に自分を重ねたいなんて思う人は、絶対にいないと断言まではしませんが・・まあほとんどいないものと思われます。
そういう特性のキャラクターは本作品に限らず全くいないわけでもないですが、主人公やヒロインまでもがマジでヤバイのです。
語彙力がなくてヤバイと言えてませんが、作品のタイトルでもヤバイって言っているのでまあ許してください。(笑)
1巻時点でそのヤバさは最高潮でしたが、まさかとどまることを知らずに向上していくとは・・
新たにヤバイ奴が2人も登場し、ますますヤバくなっていきますね。
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本作の概要
白咲さんをいじめることを、白咲さん本人に強制されていて、いじめ方が下手だと罰を与えられる仲島くん。
いじめの加害者でありながら、いじめの被害者以上に追い詰められている可哀想な奴ですが、いじめで被害者を自殺にまで追い込んだ経験のある本物のいじめっ子の転校生の登場で、その立場が危ぶまれてしまいます。
転校生の名は加藤くん。
本物のいじめっ子の上を行くための仲島くんの奮闘が始まります。
本作の見所
本物のいじめ加害者
また一人ヤバイ奴が増えました。
転校生の加藤くんは、被害者を自殺に追い込むほどの本物のいじめっ子。
いじめることで自分を強者であると認識し悦に入る。いじめに対する罪悪感もない、いじめっ子の皮を被っているだけの仲島くんとは全く違うタイプです。
「ほんとやめてくれよな。こういうのは俺の玩具なんだから勝手に遊ぶのはさぁ」
いじめられっ子らしい白咲さんをいじめる仲島くんを、自分の獲物をいじめる邪魔な奴と認識したようです。
しかし、仲島くんからすれば白咲さんを自分がいじめなければ恐ろしい罰が待っている。
というか、加藤くんも相当ヤバイ奴ですけど、仲島くんは白咲さんの方が怖いんですね。
これは今まで植え付けられたものってのもあるのかもしれませんが、行動目的のよくわからない白咲さんの方が得たいが知れない恐ろしさがあるのかもしれませんね。
どっちが格上か?
世の中には大なり小なりいじめはあるものです。
しかし、その多くでいじめの加害者は自分がいじめの加害者だなんて自覚していないもので、ただ被害者がいるだけのいじめが大半であるような気もします。
いじめが社会問題になるのは、いじめが自己防衛本能からくるものであると考えればある程度仕方のないものとも思っているのですが、加藤くんのいじめはそういういじめとはちょっと違うようですね。
自覚的ないじめ。
考えてみれば狂気的なものだと思いますが、今回は仲島くんは自分のいじめっ子としての立場を守るため、頑張って加藤くんといじめ対決をします。
「じゃあ今ここで正々堂々「いじめの勝負」をして、どちらが格上なのかはっきりさせようぜ」
無記名投票で決まるいじめの勝負。ヤバイと言いつつ止める人間のいないクラスも相当ヤバイと思います。
そして、明らかに相手より上回るいじめの選択権のある後攻が有利ないじめ対決ですが、仲島くんは不正であえて先行を選びます。
後攻が有利であると思っている加藤くんは不正を疑いもしませんが、それが仲島くんの狙い。
いじめ対象である白咲さんを自らの手を汚しつつうんこまみれにする仲島くん。
そして、これには加藤くんも参りました。
いじめの内容がどうこうというわけではありません。だって、加藤くんもいじめるためにうんこには触れたくありませんし、いじめるためとはいえそれを一旦洗い流すことを許可することは白咲さんに対する優しさになってしまうというジレンマに陥ってしまいました。
いじめに手を抜くことは許さない白咲さん
さて、うんこまみれのいじめで加藤くんを退けた仲島くんですが、もっとヤバイ奴がいるのを忘れてはいけません。
うんこまみれにされた時にも一瞬めっちゃ妖しい笑顔を見せていましたが、実は仲島くんが使ったうんこが偽物であることに気付いていて、いじめに対する本気度が足りていないことを怒っているようです。
加藤くんを退けたことは褒めてくれたものの、それでも本気度が足りないらしいですね。
「私のいじめに手を抜くなって言ってるのに、まだわかってないんだ仲島」
本当に何が白咲さんをこうも駆り立てるのか、意味がわかりませんね。
加藤くんと白咲さん
本物は本物を知るもので、だからこそ偽物を選別できるのかもしれません。
いじめ勝負には敗れたものの、加藤くんは既に仲島くんが偽物のいじめっ子であることに気付きかけています。
すげぇ・・
そこで白咲さんに仲島くんを排除する案を持ちかけてきました。
仲島くんが偽物であることは見抜いても、白咲さんが偽物のいじめられっ子であることまでは見抜けなかったようですね。
白咲さん以外はいじめられない仲島くん
仲島くんは白咲さんをいじめることを強制されていますが、どうやら白咲さん以外をいじめることを白咲さんは許せないようですね。
加藤くんとのやり取りでも、いじめられっ子の皮をかぶっていましたが、仲島くんが白咲さん以外をいじめる話題になったとたんに雰囲気が変わっていましたしね。
そして、加藤くんが作り出した仲島くんが白咲さん以外の女子をいじめざるを得ない空気を、白咲さんがその女子を助ける形で助けました。
「お前は私だけのいじめっ子。私以外、いじめたりしたら絶対に許さないから」
何その業の深い考え方?
少なくとも、ただのどM女というわけでもないということは明らかになりましたね。
だとすると、このとてつもなくひねくれた独占欲の正体はいったい何なのでしょうか?
ヤバイ女その2(青山さん)
加藤くんは仲島くんが偽物のいじめっ子であることを見抜いているだけで、まだ確証が得られているわけではありません。
ですが、仲島くんの素の姿を見られたら誰でも一発で気づいてしまうでしょう。
そして仲島くんが白咲さんと素の感じで話しているのをクラスメイトの女子に目撃されてしましました。
その女子・青山さんは・・
「私と一緒にあの女殺すんでしょ?」
一緒に白咲さんの悪事を暴いてやる流れになるのかと思いきやとんでもないことを言い出しました。
仲島くんを運命の人と言い、白咲さんを物理的な意味で殺そうとするヤバイ奴。
この漫画、メンヘラ女子しかでてこないんかいっ!
・・って感じですが、既にそういう漫画であろうことは予感していましたし、想定の範囲内です。(笑)
まあ、青山さんのヤバさはさておき仲島くんに好意的であることは間違いありません。
そう考えた時、白咲さんの行動原理にメタ的な推理を入れることができるような気がします。
仲島くんはかなりヤバめのメンヘラ女子に好かれやすいキャラクターであり、どうやら青山さんがその一人である。
だとすると、今のところそういう感じは見せていないものの白咲さんの行動も、どう考えてもそうは見えないものの愛情表現だったりするのではないか?
だから自分以外をいじめることを良しとしないのではないか?
当たらずとも遠からずなのではないかと思いますが、実際どうなのかは今後の展開を楽しみに待ちたいと思います。
総括
いかがでしたでしょうか?
僕は本来、もっとゆる~い作品の方が好きなタイプの人間です。
狂気的な作品も嫌いではありませんが、それはどちらかといえば非日常的という意味での狂気的だったりします。
例えば、『DEATH NOTE』の夜神ライト的な現実にはあり得ない能力を持った人間であるが故の狂気とか、そういうやつのことですね。
『いじめるヤバイ奴』の怖いところは、現実のいじめの延長線上にありそうないじめが描かれているところです。
そういう微妙なリアリティは正直苦手なのですけど、白咲さんという言動の理由が不明なキャラクターがいることが面白さに繋がっていて、本来どちらかといえば苦手なタイプの作品だと思いつつも2巻目にも手をだしてしまったわけですね。
次巻予告を見る限り、3巻も面白そうなので3巻も読むことになりそうです。