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『壁ドン!(1)』確かにボルダリングって壁ドンだわって漫画の感想(ネタバレ注意)

 

壁ドン!とはいったい何の漫画でしょうか?

壁ドンには色々意味がありますからね。

真っ先に思い浮かぶのは、壁の薄いアパートなんかで騒音をまき散らす隣人を諫めるために壁を叩く行為のことで、比較的近年になってからは男性が女性を壁際に迫る行為のことも壁ドンと言ったりします。

しかし、壁ドン!はうるさい隣人とのトラブルを描いた漫画でも、男女のイチャイチャを描いた漫画でもありません。

結論から言うとボルダリングについて描いたスポーツ漫画となります。

なるほど、確かにボルダリングは壁に向かい合うスポーツなので、壁ドン!というタイトルも納得ですね。

色々な意味のある言葉をうまく使った感じでしょうか?

それにしても、マイナー競技であるボルダリングですが近年になってから耳にする機会が増えてきましたよね。

やっぱり2020年の東京五輪で正式種目になったことも影響しているんでしょうね。

今まで見かけることの無かったボルダリングをテーマにした作品も、本作品に限らずたまに見かけるようになってきましたし、気になるし実際にやってみたいとも思えるスポーツだと感じます。

本作品以外ではいわかける!とかが面白いですね。

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本作の概要

痩せ型の体型がコンプレックスだった大野会心は小説投稿サイトに小説を投稿するインドア派の少年でしたが、放課後屋上に締め出されてしまって壁伝いに何とか降りようとします。

そこであわや転落死しかけたところを天才ボルダリング少女・夏目登姫に救われました。

そこでコンプレックスだった体型がクライマー向きだと褒められ、大野会心ボルダリングを始めることになります。

本作の見所

痩せ型の体型

「アニメの主人公に憧れてサッカークラブに入ったけど、ついていけず辞めてー。体を動かさずに済む漫画を描こうとしたけど、絵が上達しなくて投げ出してー、文字だけならっていう浅はかな考えで小説に逃げて・・」

本作品の主人公である大野会心がどのような自分つなのか?

それはこのモノローグに全て現れていると思います。

要は、壁がある度に逃げてきたような少年なのですね。

ぶっちゃけ次々とやりたいことを見つけている時点で、その他大勢よりはよっぽど立派な気がします。少なくとも高校生の頃の僕よりは。(笑)

ともあれ、これは壁から逃げてきた大野会心が壁に挑む物語ということなんですね。

「デブが痩せたいと言うと共感される。痩せが太りたいと言うと嫌味になる。理不尽だ」

これは確かにその通りですよね。

僕の知人にも高校時代、平均以上の身長なのに体重が50キロ未満の男子がいましたが、体重が増えないことに悩んでいる人がいました。

しかし、周囲からは割と「痩せてるんだから良いじゃん」みたいに言われていた記憶があります。

だけどそれがコンプレックスになっている人がいるのは事実なんですよね。

大野会心もそういうコンプレックスを抱える少年なのですが・・

「クライマーとしてその身体は羨ましい!」

天才クライマー少女である夏目登姫にはその痩せ型の体が羨ましいと言われます。

考えてみれば当たり前の話ですが、重力に逆らう競技であるボルダリングにおいて痩せていることはメリット以外の何物でもありませんからね。

大仏様に登る少女

ヒロインの夏目登姫はボルダリングの天才少女としてテレビにも出ているような女子高生です。

「登れなかった壁が登れた時って、前の自分を超えたことを確実に実感できるんだよね。壁はその度に新しい自分に会わせてくれる。私は、新しい自分に会いたくて登ってるんだ」

テレビのインタビューでも会いたい人がいるから壁を登ると言っていた夏目登姫ですが、その会いたい人とは壁を乗り越えた自分自身だというところが格好良いですね。

しかし、登るのが好きだからといって大仏様に登りだすちょっと変わったところもある面白いキャラクターだと思います。

スポーツクライミング部の入部テスト

近年の物語形式としては定番ですが、序盤に主人公自身も気付いていなかった意外な才能を発揮するような展開ってかなり好きです。

誰のどんなところに才能があるのかなんて本人を含めてなかなか見つけることができないもので、それを見つけることができるのは凄く幸運なことだと思うのですが、そういうものを見つける瞬間ってやっぱり熱いと思えるからです。

「在校生の中から金メダリストを出す。これ以上ないインパクトだろ?」

大野会心の通う黒桜学園の理事長は、ボルダリングが五輪の種目になったこと、若い世代に強い選手が多いことに注目し、在校生の中から金メダリストを出すべくスポーツクライミング部に力を入れようとしています。

そうしてやってきた育成コーチは夏目登姫によく似た夏目登姫の姉である夏目環奈。

彼女の課す入部テストは、五輪で金メダルを目指す目的があることから初心者にとっては非常に厳しいものだったのですが、大野会心は夏目登姫や猿橋樹といった経験者に混じって唯一の初心者での合格者となりました。

こういうダークホースがダークホースになっていく展開は好きです。

指の力

テレビとかでボルダリング選手の腕力・・というよりも指の力の強さを目の当たりにして驚くことがあります。

指の力の重要度がボルダリングほど高い競技って恐らく他にはなくて、だからこそその力の強さに驚かされるのでしょうね。

夏目登姫もまた涼しい顔をして指相撲(腕の代わりに指を組む指相撲のことで、親指を押さえる指相撲ではない)で圧倒的な強さを見せています。

「登れ登れ! ボルダリングを制したかったら指をいじめ抜け!!」

僕も割と運動はやってきている方ですが、指を鍛えるということをしたことはありません。

必要とされる能力を見た時に、ボルダリングってかなり他の競技とは違っているような気がしますね。

そう考えると、他のスポーツが苦手な人にも才能がある可能性があるスポーツなのかもしれませんね。

総括

いかがでしたでしょうか?

近年流行だとはいえ、ボルダリングというスポーツの存在は知っていても具体的にどんなスポーツなのかまで分かっている人って少ないのではないでしょうか?

ちなみに、僕は分かっていません。(笑)

流行っているし名前も良く聞くけど未知なところの多いスポーツ。

だからこそ興味を持ちやすいし、これからボルダリングに触れていく主人公と同じ目線で驚きや新たな発見を共有できる面白い漫画だったと思います。