あるいは 迷った 困った

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『妻、小学生になる。(1)』タイトル通りの純愛漫画の感想(ネタバレ注意)

 

妻、小学生になる。は、亡くなった妻が転生した後、小学生になってから前世の記憶を取り戻して夫と娘の元に現れるという物語です。

こういう知人が別人になって現れる系の作品もまた珍しくはあるものの時たま見かける一ジャンルになっていますよね。

最近読んだ漫画だと小学生がママでもいいですか?を思い出しました。

小学生がママでもいいですか?は亡くなった母親が現れる漫画で、妻、小学生になる。は亡くなった妻が現れるという違いがありますが、対比して読んでみても面白いと思います。

娘の新島麻衣視点だと小学生がママでもいいですか?と完全に同じ設定ですしね。

だけど突然現れた元妻(母親)に対する反応とか、接し方が全く異なるのが興味深いです。

転生という現実にはあり得ない状況に対して、転生前の元知人がどういう反応を取るのか?

それに対する考え方の違いというか、バリエーションが面白いです。

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本作の概要

ふとした拍子に前世の記憶を思い出した10歳の小学生。

白石万理華(今世)こと新島貴恵(前世)は元夫である新島圭介と娘の麻衣の元に突然現れます。

新島貴恵でなければ知らないことを知っていて、その言動も新島貴恵を思い出させるものであったことから、彼女が元妻(母親)であることは比較的あっさりと受け入れられます。

そして、そこからちょっと変わった夫婦と親子の物語が始まります。

本作の見所

元妻の小学生

1巻を通して読んだ後なら分かると思いますが、どちらかといえば新島圭介の側が一度亡くなって自分の元から消えてしまった元妻が現れたことを喜んでいて、相手が小学生であろうがお構いなしに愛をぶつけるような物語になっています。

一方で新島貴恵の側はその辺ドライで現実的というか、あくまでも今の自分は転生した後の白石万理華であると考えているような気がします。

「こんな形だけど、本当は見ることができなかったはずの、あなたと麻衣の成長を今後も見られることが・・。正直・・めちゃくちゃ嬉しいわ」

しかし、最初に新島圭介と麻衣の前に姿を現したのは新島貴恵の方です。

新島圭介に比べるとかなりサバサバとした性格の新島貴恵には、受け入れられるかどうかも分からないリスクを負ってわざわざ姿を現さないような選択肢もあったはず。

それでも新島貴恵として新島圭介と麻衣に会えることが嬉しいという気持ちが勝っているあたりに、1巻最後まで読んだ後にこのシーンを改めてみるとちょっと感動してしまいました。

ちなみに、この再会した後のスタンスが小学生がママでもいいですか?とは真逆なのが面白いですよね。

小学生がママでもいいですか?では転生した母親と息子の再開が描かれていますが、母親の方が積極的に母親として振舞おうとしている一方で息子の方はその辺が現実的な考え方です。

その構図がは妻、小学生になる。とは正反対なんですけど、どっちの反応もありそうな反応だというところが興味深いと思います。

お弁当と守屋好美

「あなたは真面目なようでどこか抜けてて心配だから、こうして魂込めた弁当を渡すことで私も安心してるのよ」

お弁当を作ってくれる奥さんって良いですよね~

専業主婦ならまだしも、新島貴恵は自らも仕事で忙しい身でありながら夫である新島圭介にお弁当を作ってあげていました。

「これからもずっと作ってあげる」と、そんな風に新島貴恵は言っていて、だからこそ新島夫妻にとってお弁当は夫婦関係における象徴の一つだったのかもしれません。

そして、毎日とまではいかないまでも小学生の新島貴恵も新島圭介にお弁当を作ってくれるようになりました。

そのお弁当を食べて一層再会の喜びが大きくなって感極まる新島圭介。

こういう分かりやすい夫婦の絆って温かい感じがしますね。

ちなみに、新島圭介の会社の部下である守屋好美は、かなり年上であるはずの新島圭介に気があるようで、彼女もまた新島圭介にお弁当を作ってきてしまいました。

せっかくの部下からの好意を無下にも出来ないので、新島貴恵は帰りの公園で食べることにしたようですが、その現場を新島貴恵に目撃されてしまいます。

新島圭介は親子ほど年の離れた守屋好美の好意には気付いていないようですが、新島貴恵の方は察してているようですね。

「そういう時は仕方ないから、無理にお弁当食べなくてもいいわよ。いい大人がこんな時間にひとりで公園で弁当って・・あなたには羞恥心がないの?」

人によっては浮気だとか何だとか誤解を与えそうなシーンですが、社会人なら断れない付き合いがあることも確かです。新島貴恵はそういうところに理解がある良妻って感じですね。

「もちろん恥ずかしいさ。だけど、せっかくお前が作ってくれた弁当を残してしまう方が嫌なんだ」

だけど、もしかしたら新島圭介がこういう風に素直に愛をぶつけてくる男だからこそ、そういう良妻になれたのかもしれないとも思います。

「私があなたくらいの時は男とっつかまえて遊びまくりたくて仕方なかったわよ。まあこの人がいるからしなかったけどさ」

そういえば新島貴恵の麻衣に対するこのセリフからも、新島圭介が新島貴恵の在り方に影響を与えていたのであろうことが窺えますね。

疑惑の新島圭介

「あと8年かー」

何が8年なのかって、8年後は新島貴恵が18歳になって法律的に結婚できるようになるわけなのです。

どうやら新島圭介は、改めて新島貴恵と結婚するつもりらしいですね。(笑)

さすがに新島貴恵も麻衣もこれには驚きます・・というか、もし結婚するとしたら法律的な問題が些細に感じられるほど大きな問題がありそうですよね。

下手をしたら孫でもおかしくないくらいの年齢差がありますし、そんな結婚が新島貴恵にとって・・そして白石万理華にとって本当に倖せなのかと考えたら疑問が残ります。

ここまで好かれたら嬉しくはあるのでしょうけど、それとこれとは話が別って感じもしますね。

そして、そんな新島貴恵に対する気持ちを周囲に対しても隠そうともしない新島圭介は、いつか何かしらの誤解を受けて酷い目に遭いそうですね。(笑)

今巻でも、守屋好美から新島貴恵の写真、そして2人で会っている所を目撃されていらぬ誤解を受けかけていましたからね。

なんというか、物騒な世の中だからそういうのは避けられないような気がします。

白石万理華としての新島貴恵

この手の子供の体に大人の精神が入っている物語は意外と多いです。

超有名どころだと名探偵コナンあたりがまさにそうですね。

名探偵コナンくらいなら高校生から小学生になっているので、子供が子供になったというか、あまり年齢差が大きくないのでギャップも小さいでしょうけど、もともと中学生の娘がいて、その娘も現在はアラサーという新島貴恵の精神が10歳の子供に入っているというのはギャップが大きそうですよね。

ジェネレーションギャップとも違う独特のギャップなのではないかと想像します。

実際、同級生におばさんっぽいと言われてしまったりする場面も見受けられますね。(笑)

ともあれ、新島貴恵には白石万理華としての生活もあるわけなのですが・・

どうやらちょっと問題がありそうな家庭に育っている様子が今巻最後に仄めかされています。

ただでさえ新島貴恵の記憶が戻ってややこしいのに、加えてややこしそうな家庭。

新島圭介の言動も悪気こそないもののややこしい感じですし、ややこしさ尽くしで今後どうなっていくのかが非常に気になるところですね。

総括

いかがでしたでしょうか?

新島圭介の元に現れた元妻である新島貴恵ですが、恐らくはあくまでも白石万理華として生きていくつもりなのだと思われます。

一方の新島圭介は新島貴恵のことを新島貴恵として受け入れる姿勢が万全で、その辺の考え方の違いが今後にどう影響してくるのかが楽しみですね。

また、今巻ラストでどうやら白石万理華には家庭の問題があるらしそうなことを匂わせる描写がありましたが、アラフォーの新島貴恵としての精神を持っている白石万理華がどうしていくのか、そこに新島圭介や麻衣が絡んでいくことはあるのか。

その辺が気になるところだと思います。