『金色のガッシュ!!(3)』平成最高の激熱バディもの漫画の感想(ネタバレ注意)
ガッシュに似た魔物が登場する3巻です。(前巻のレビューはこちら)
もう何度も『金色のガッシュ!!』という作品を読んだことがあって、今回レビュー記事を書くにあたって読み直しているという立場の僕が、この3巻に対して抱いた印象は大きな伏線が張り巡らされているというものです。
清麿の父親がガッシュを見つけた森では、ガッシュが自分に似た魔物のことを思い出して、第四の呪文・バオウザケルガを新たに覚えます。
そして、タイミングを同じくしてガッシュに似た魔物も初登場するのですが、このガッシュに似た魔物とバオウザケルガという呪文には後々因縁めいたものがあるので、ここで同時に登場していたというのは興味深いものがありますね。
また、シェリーとブラゴの出会いのエピソードと、清麿の父親が見つけた1000年前の石板も、今後発生する『金色のガッシュ!!』における最初の大きなエピソードの伏線になっています。
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本作の概要
ロブノスによって言及され、ティオがイギリスで見かけたというガッシュに似た魔物。
イギリスは清麿の父親がガッシュを見つけた地でもあり、ガッシュの記憶の手掛かりやガッシュに似た魔物の情報を求めて、清麿・ガッシュペアはイギリスへと向かいます。
また、手を組んで清麿・ガッシュペアと戦う二組の人間・魔物のペアと、2巻で仲間となった大海恵・ティオペアと共闘して戦うシーンにも注目ですね。
そして、シェリーとブラゴの出会いのエピソードは『金色のガッシュ!!』における最初の大きなエピソードの伏線になっています。
本作の見所
成長する清麿
清麿はガッシュと出会う前、学校にもあまり行かずに植物園に通う半ヒキコモリのような生活であったことが想像されます。
だから清麿の父親はガッシュを清麿の元に送り付けたわけですからね。
なんでそれで「腑抜けになった清麿を鍛えなおす」ことができると思ったのかはずっと分かっていませんでしたが、恐らくまっすぐなガッシュの性格なら清麿の友人にはなれると思ったのではないかと推測されます。
つまり、ガッシュには「腑抜けになった清麿を鍛えなおす」なんて大げさなことを言っているものの、その真意は単に「清麿と友達になってくれ」だったのではないかと思うんですよね。
(「金色のガッシュ!!」46話より)
それが、久しぶりに再会した清麿は本当に大きく成長している様子でした。
「なんで、あんな低レベルな奴らと遊ばなきゃいけねぇんだよ!! 一人で本でも読んでる方がよっぽど楽しーぜ! 他の奴らなんか知ったことじゃねーよ!!!」
以前の、ガッシュと出会う前の清麿は、周りの方から清麿を妬み他とは違う人間であると区別され始めた事情があるとはいえ、自分の殻に閉じこもったような孤独な考え方を持っていました。
それが、見ず知らずのセッコロの父親を助けるために必死になっている。
そんな清麿を見た清麿の父親の嬉しそうな表情が、ガッシュと出会ったことによる清麿の成長の結果を示していると思わされるエピソードだと思います。
考えてみれば、ヒキコモリ気味だった中学生が子連れで単身海外旅行とは、それだけで成長していると言えますしね。(笑)
そんな中学生いねぇ~よって。(笑)
第四の呪文・バオウザケルガ
もしかしたらガッシュの記憶を戻す手掛かりになるかもしれない。
そんな想いで清麿は、清麿の父親が最初にガッシュを見つけた森にやってきました。
「な、なぜかはわからぬが・・。ここがとてもこわいのだ・・」
そして、完全ではありませんがその目的は果たされます。
(「金色のガッシュ!!」47話より)
大きなクレーターのようになっている場所で、突然ガタガタと震えだすガッシュの体が金色に輝き、それと同時にこの森での出来事を断片的に思い出します。
ガッシュの前にガッシュと似た魔物が現れて、寂しがっているガッシュは友達になろうと声を掛けるのですが・・
「おまえはオレのことを知らんだろうが、オレはおまえのことをずっと思っていた・・。憎く! 腹立たしく!! 恨まない日などないほどにだ!!!」
非常に強い恨み節とともに一方的に攻撃されてしまいます。
そして、どうやらそのガッシュと似た魔物にガッシュは記憶を奪われてしまったようですね。
このガッシュに似た魔物については、今後じわじわと情報が小出しにされていく感じになるのですが、大方の予想通り『金色のガッシュ!!』という作中全体においてもかなり重要なキャラクターとなります。
また、今回記憶を断片的に取り戻すのと同時に覚えた第四の呪文。
バオウザケルガは今後ガッシュが覚えていく呪文を含めても最強の呪文となります。
そして、最後まで『金色のガッシュ!!』を読んだことがある人ならここで「あっ!」と気付くはずです。
このガッシュと似た魔物との因縁には、実はこのバオウザケルガという呪文は大きく関連していて、そんな2つが同時に登場していたというのが興味深く思えるはずです。
(「金色のガッシュ!!」48話より)
不敵に笑うその笑顔は、本当にガッシュに似ていますね。
ちなみに、このレビュー記事にはネタバレが含まれますが、次巻以降のネタバレは極力避けようとしています。
しかし、このガッシュに似た魔物のことを書こうとするとついつい今巻時点では明らかになっていないことに触れてしまいそうでドキドキします。
何回もこの魔物の名前を書いてしまいそうになってしまいましたしね。(笑)
シェリーとブラゴの出会い
『金色のガッシュ!!』という作品における人間と魔物のペアの関係性って、それぞれ個性があって面白いですよね。
大海恵・ティオペアは仲の良い姉妹のようだし、清麿・ガッシュも兄弟・・とも思いましたが、やっぱり年の離れた親友という感じの方が強いような気がします。
そんな感じで、同じ人間・魔物ペアでも兄弟、親子、恋人、師弟、雇用関係といった様々な関係性があるのが興味深いと思います。
悪役となるペアの場合は、お互いに利用しあっているような関係も見受けられますね。
そして、そんな中でもシェリー・ブラゴペアの関係はかなり特殊な気がします。
(「金色のガッシュ!!」54話より)
非常に意志の強そうな女性であるシェリーですが、相当強い魔物であるブラゴの戦いにはついて行くだけで必死です。
ブラゴの方はそんなシェリーを足手まといに感じている節がありますね。
そんなシェリーとブラゴの出会いは、シェリーの友人であるココを洗脳してパートナーになったゾフィスの攻撃から、ブラゴが助けたことがキッカケだったようです。
シェリーは、ココを助ける目的を持ってブラゴが王を目指すことに協力することになったわけですが、最初から力を要する目的があったからこそシェリーの意志は強くなっているのかもしれませんね。
そして、一見すると悪人っぽく見えるブラゴですが、実際の所は高潔で目的にまっすぐなだけで悪人ではありません。
自分以外の事はあまり信頼していなさそうな性質もあって、その辺はかなり誤解されがちですね。
「なぜこの戦いは、こんな弱い人間と組まねばならん・・」
しかし、シェリーのことを足手まといに感じているのは事実で、その辺は若干不満そうです。
ですがこのペアは恐らく『金色のガッシュ!!』の中で最も関係性の変化が面白いペアで、最終巻ラストでのブラゴのシェリーに対するセリフを読むまで、シェリーを足手まとい扱いする今回のブラゴのセリフを覚えておいて欲しいです。
このシェリー・ブラゴペアの関係は、兄弟でも親子でも恋人でも師弟でもなく、まさに戦友であると感じられるに違いありません。
ウマゴン登場
なんというか、清麿・ガッシュペアの仲間になっていく魔物って弱いかギャグっぽいかのどちらかなんですよね。
あるいはその両方でしょうか?(笑)
次巻にはメッチャ強い奴が登場しますけど。
まあ、そんな奴らが強敵に打ち勝っていくから面白いんですけどね。
今巻で登場するウマゴンに至っては、喋ることができないため未だ人間のパートナーを見つけることができずにいる状態です。
清麿は最初、ウマゴンが魔物だと知って警戒の方が先だちますが、人間のパートナーを見つけることができずに孤独な状態のウマゴンに理解を示すガッシュやティオの説得で、まずは清麿の元に置かれることになりました。
セリフが無いのに感情が分かりやすい面白いキャラクターですね。
オマケページ(ガッシュカフェ)
今巻のガッシュカフェはキャンチョメとブラゴですが、どちらかといえばブラゴが面白いエピソードとなります。
普段はシェリーとも会話が無く、笑いも無いブラゴ。
そんなブラゴがシェリーと、フォルゴレが書いた詞と振り付けでデュエットするという本編では決してみられない貴重なシーンです。
(「金色のガッシュ!!」完全版3巻オマケページより)
こんなブラゴ。本編では一度だって見られなかったですよね。(笑)
だんだんわかってきましたが、このガッシュカフェは本編ではできない人間・魔物ペアの組み合わせで、本編ではできないキャラ崩壊寸前のやり取りを楽しむものになっているようですね。
こういうのって、イメージが崩れると嫌がる人も多そうな気がしますが、個人的には大好物です。
総括
いかがでしたでしょうか?
ここまで基本的には一つのエピソードに数話程度という感じで進行してきた『金色のガッシュ!!』ですが、今巻ではもっと大きなエピソードへ繋がる伏線が貼られ始めています。
かといって次巻からいきなり大きなエピソードに突入するかといえばそういうわけでもないのですが、このじわじわと伏線を広げていく感じも『金色のガッシュ!!』のストーリー構成が秀逸だと思わされる要因だと思います。
また、今巻は清麿・ガッシュが海外に行っていたこともあり、前巻でせっかく初登場したヒロインたち。大海恵・ティオペアが不在で寂しい感じもしましたが、次巻ではまた再登場するのでその辺も楽しみにしたいところですね。(次巻のレビューはこちら)