あるいは 迷った 困った

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魔法陣グルグル。懐かしの漫画、書評シリーズ【その1】1巻

 

何で今更こんな古い作品の書評を記そうというのか?

需要は低いかもしれません。

だけど良いんです。好きなんです。語りたいんです。

2017年には、まさかのアニメ化で20数年越しに完結し話題になりました。

アニメ版での完結はもう望めないと半ば諦めていただけにこれは嬉しかったですね。

guruguru-anime.jp

アニメ版放送終了後、しばらくして本作を久しぶりに読み返しました。

そこには全く色褪せないシュールな魅力がありました。

ちょっとだけ、僕が本作を好きなのは思い出補正の効果が大きいのではないかと思っていたのですが、そんなことはなく今読んでも面白かったです。

本作を知らない人、アニメは観たけど原作は読んでいない人、昔読んだけどどんな作品か忘れちゃった人、この記事を読んで少しでも「魔法陣グルグル」という漫画を読んでみたいと思ってもらえたら幸いです。

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本作の概要

昔のロールプレイングゲーム風の世界観で、主人公の勇者ニケとヒロインのグルグル使いククリが冒険する物語の始まりです。

ジミナ村でのニケとククリの出会いから、最初の大きな冒険、ノコギリ山の洞窟での出来事までが本巻の概要となります。

本作の方向性が凝縮されている非常に濃い内容の一冊です。

本作の見所

シュールなギャグ

本作はシュールなギャグ漫画のパイオニア的な存在だと思っています。

ギャグ漫画は数あれど、本作ほどシュールなギャグ・迷言を残してくれた他にありません。

何というか、この作品のギャグには「何だかよくわからない面白さ」があって、爆笑を誘うようなものではなく、冷めた目で見ているのにクスッとしてしまうような・・

ちょっと上手く説明できないような面白さがあります。

ここでは、その中でも特に「魔法陣グルグル」らしさのあるものを紹介します。

今の世は魔王がいる 幸せだー!!

若い頃、勇者になりたかったが肝心の魔王がいなくてなれなかったニケの父親のセリフ。

勇者マニアって何だよってツッコミたくなる肩書のニケの父親ですが、こういう単語の一つ一つにも本作らしさがあるような気がします。

冥土のみやげをもっとくれよ

初めての戦闘で追い込まれたニケがモンスターに言ったセリフ。

時間稼ぎのためのセリフですが、よくとっさに出てくるものです。

肩ぐるまして後ろ向きに乗り2本のゴボウを持った歌舞伎顔の男です。

本作を知らない人で、一発でこれが何を意味しているかわかる人はいないでしょうw

実はこれ、ボスの弱点・・を伝言ゲーム的に間違えて覚えて出てきたセリフです。

最初は、夕日に向かって自分の弱点を叫ぶのを聞いた妖精グリエルが「肩のうしろの2本のツノのまんなかにあるトサカの下のウロコの右よ!」と説明しています。

一応、最初は体の部位だったんですね。

その後、村の少年ザザが間違って覚えている弱点を自信満々にニケに答えて、そのままボスにぶつけてしまったわけですね。

ザムディン

これも村の少年ザザのセリフ。

この子は本巻しか登場しないゲストキャラなのに、作品を代表する迷言を放ってくれています。

ちなみに、ザムディンというのはザザのおじいさんの名前です。

おじいさんの名前で一体何が面白いのか?

それはまるで、それが魔法の呪文であるかのようにボスに放った言葉だったからです。

当然何も起きませんが・・

この辺りのセンスは流石ですね。

センスのある絵

本作の作者である衛藤ヒロユキ先生は、「魔法陣グルグル」の連載中に何度も絵柄を変えておられます。

今も現役で連載されている先生ですが、最近読むようになった人が昔の絵を見たら違和感を抱くかもしれませんね。

また、1巻時点での絵は、失礼ながらお世辞にも上手いとは言えません。

しかし、衛藤ヒロユキ先生独特のセンスはこの頃から発揮されています。

むしろ絵柄が荒いこの頃の方が尖った個性が前面に出ていたようにも感じるくらいで、実のところ僕はこの頃の絵の方が好きだったりします。

ククリの杖とか、メケメケとか、タテジワネズミとか、こういったもののデザインも他には見られない個性的なものだと思います。

ツッコミ担当のナレーション

ロールプレイングゲーム風の世界観を表現していると思われるナレーション。

例えばドラゴンクエストのゲーム画面の下に出てくるウインドウのような形式でナレーションがツッコミを入れてくる。

本作の特徴の一つですね。

そういう試み自体が面白いのですが、このツッコミのセンスがまた良い。

ツッコミといえば「何でやねん!」って感じの叫びっぽいものが普通ですが、あくまでもナレーションなのでクールに淡々と事実だけを告げる。

例えば、モンスターにククリ達と一緒にモンスターに連れていかれるキタキタおやじ(後述)が、自分のことは心配するなと言った時、いわゆる普通のツッコミなら「誰もお前の心配なんかしてねえよ!」ってなる所を「だが誰も心配しなかった」とだけ淡々と告げている。

そこに面白さがあるのだと思います。

後半の巻になると登場人物が増えて、ツッコミ要因も増えてきたからなのか、ナレーションさんの登場は減ってきます。

それだけに今巻は、ナレーションさんの活躍が著しい所が見所の一つと言えます。

キタキタおやじ

下手をしたらニケやククリより有名なキャラクターじゃないでしょうか。

後にスピンオフ作品の主人公となり、現在はガンガンオンラインのアプリを起動した時にシルエットの映るあのキャラクター。

キタキタおやじの初登場です!

初登場シーンでは、あんまりな扱いで速攻退場していましたが、今巻の間だけで一気に存在感を膨らませてきました。

キタキタおやじは、いわゆる「場を引き締める」のとは全く真逆の役割を持つキャラクターなのだと思っています。

シリアスになりそうな場で登場して、シリアスになりそうな空気を壊す。

しかし、その壊した後の空気感の方が本作の雰囲気にマッチしています。

つまり、キタキタおやじは「魔法陣グルグル」という作品の雰囲気を保つためのコントローラー的な役割を持っていたのだと思います。

今巻で瞬く間にその役割を確立していく様は見ものです。

キタキタおやじの魅力が何なのかはよくわかりません。

そういうよくわからない面白さは衛藤ヒロユキ先生の作品の特徴でもありましたね。

キタキタおやじはその最たるものだと思います。

そういえば、連載当時小学生だった僕のクラスメイトの女子が、お楽しみ会の時にキタキタおやじのぬいぐるみを持ってきていました。

当時はそんな言葉はありませんでしたが、「キモ可愛い」みたいな感じで捉えられていたのでしょうか?

総評

いかがでしたでしょうか?

魔法陣グルグルの1巻、25年以上前に発売された漫画ですが、今読んでも面白いと思います。

他に類をみない独特な雰囲気を味わえる名作で、それが恐らくは唯一無二のものであるからこそ、25年以上経った今でも全く色褪せていません。

本作のファンは2018年現在30歳前後の人が多いかと思いますが、他の世代にも興味を持ってもらえたら幸いです。

なお、不定期になるとは思いますが、本作については全巻書評を記していく予定です。

(次巻の書評はこちら