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『冴えない彼女の育てかたFine』エピローグまで目が離せない劇場アニメの感想(ネタバレ注意)

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saenai-movie.com/

 

ブコメライトノベルって毎シーズンいくらかアニメ化されるくらい人気のジャンルではあると思うのですが、アニメ化される作品って大抵の場合その時点で結構長くシリーズが続いていたりするものです。

下手したら単行本10冊近いか、超えている場合もありますね。

だからアニメ化される場合って途中のキリの良い部分で区切りを付けるのが普通なのだと思います。

それは『冴えない彼女の育てかた』の場合も例外ではありません。

人気作なら二期、三期と続くケースもありますが、最後まで綺麗に描かれているということは稀だと思います。

それには人気作の場合、完結自体なかなかしないからという事情もありそうですけど。

そういう意味では、短編込みで20冊近い大作である『冴えない彼女の育てかた』が、アニメで原作のラストまで丁寧に完走したのはとても珍しい出来事なのではないかと思います。

しかも、そのラストを飾る劇場版『冴えない彼女の育てかたFine』のクオリティが想像以上に高かった。

実は、『冴えない彼女の育てかた』は原作1巻から読んでいますけど、個人的には面白いとは思うものの「超名作だっ!」と感じるほどの思い入れはありませんでした。

どのキャラクターも魅力的で、特に加藤恵は数あるラブコメのヒロインの中でも断トツのヒロインだと思っていて、しかし単純な面白さならもっと上の作品が少なからず存在するだろうというのが、個人的に『冴えない彼女の育てかた』という作品に感じていたことです。

ただの消費系オタクが偉そうなこと言うなって感じかもしれませんが、この感想はアニメの1期2期を観た後も変わりませんでした。

なので今回の劇場版『冴えない彼女の育てかたFine』も特別大きな期待をしていたわけでもなく、最後だし取り合えず観るかってノリで観ただけだったのですが・・

何コレ、めっちゃオモロイやん!

原作のラスト3冊分くらいを詰め込んだ内容なわけですが、とても綺麗にまとまっている・・というか、見所をギュッと濃縮しまくって、それでいてストーリーを破綻させない素晴らしい映画になっていました。

良い意味で、観ていて休まるタイミングがありません。

あっ、ちなみにまだ観ていない人には一つ警告しておきます。

エンドロール後のエピローグが結構長いので、エンドロールで帰っちゃダメですよ!

僕の隣の人はエンドロールが始まった後そそくさと帰ってしまいましたが、エピローグが結構面白いので見逃したら勿体ないです。

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本作の概要

加藤恵をモデルとしたメインヒロイン・巡璃のシナリオを書くのにスランプに陥ってしまった安芸倫也は、キモくすらある個性を武器にその方向性を確信します。

そんな安芸倫也に呆れながらもついて行く加藤恵との距離縮まり、いつの間にか名前で呼び合う仲へと進展していくのですが、紅坂朱音の入院をキッカケに安芸倫也は、英梨々と詩羽の携わるゲーム『フィールズ・クロニクル』において紅坂朱音の代わりを務めようとします。

しかし、それは即ち自分たち『blessing software』の作業を一時中断することを意味するため、加藤恵を怒らせてしまうことになりました。

そして、そんなゲーム『フィールズ・クロニクル』の制作過程がひとまずの成功したその後の加藤恵との仲直りが最大の見所になっています。

原作における最後の盛り上がりである11~13巻がきれいに一本の映画に纏まりました。

本作の見所

内緒で名前を呼び合う関係性

考えてみれば主人公である安芸倫也のことを名字呼びしていたのは加藤恵だけで、他のヒロインは下の名前かあだ名で呼んでいました。

だから安芸倫也が名前呼びされること自体は今さらという感じなのですが、もともと名字呼びだったところから変化するという所に特別感がありますよね。

つい口を吐いたように自然に名前で呼んでしまってハッとする加藤恵がとても可愛らしかったです。

その後も二人でいる時は名前で呼び合うようになるのですが、他に人がいる時に唇の動きだけで名前を呼び合うシーンがもの凄くむず痒い。

もし名前で呼び合うようになったことを知られたくないのであれば、人がいる時は今まで通りにしていれば良いとも思うのですが、一方でこういうことがしてみたくなる気持ちも分からなくもない。

みんなには内緒にしていることを、しかしバレるかバレないかギリギリのラインで仄めかしてみたくなることってあると思います。

僕の場合は単にこういうことに対して秘密主義なだけですが、照れがある状態でこういう行動をしてしまう人って可愛らしいと思います。

紅坂朱音が脳梗塞で倒れた影響

冴えない彼女の育てかたFine』においては安芸倫也加藤恵の関係性の進展って意味合いでの見所が多かったような気がしますが、本作品のストーリーの本筋は安芸倫也を主体としたゲーム作りにあります。

紅坂朱音に自身が書いたシナリオを読んでもらって安芸倫也はスランプから脱し、遅れていた『blessing software』のゲーム作りは軌道に乗り始めます。

しかし、紅坂朱音が脳梗塞で倒れたことで安芸倫也は英梨々と詩羽の携わるゲーム『フィールズ・クロニクル』に関わることになってしまい、その間『blessing software』の作業を中断することになってしまいます。

そして、『blessing software』の作業の進捗と加藤恵の機嫌がシンクロしているのが面白いんですよね。

普通の女の子である加藤恵がいつの間にか安芸倫也のゲーム作りに凄く真剣になっていくのは作品通しての見所だと思いますが、それが単にゲーム作りにハマっただけなのか、安芸倫也に惹かれてしまったからなのかがよく分からない微妙なラインも観る人を揺さぶります。

ともあれ、そういうわけで紅坂朱音というキャラクターが倒れたことが『blessing software』にとっても安芸倫也加藤恵の関係性にとっても波乱を起こす中心になっているわけですね。

メインキャラクターの中では比較的サブに近いキャラクターである紅坂朱音が最後のエピソードでキーになっているわけですが、よくよく考えたらそうしないと英梨々と詩羽を蚊帳の外にしてしまった上でラブコメが進展してしまうわけなので、彼女らをストーリーに巻き込むためにはちょうど良かったってことなのかもしれませんね。

安芸倫也の告白シーン

もちろん最大の見所!

ブコメ、ラブストーリーにおいて男女が引っ付くのは普通のことです。

そこには何の意外性もありません。

なんならいつの間にか引っ付いていて告白シーンらしい告白シーンが存在しないラブストーリーだって少なくないと思います。

それは、そんじょそこらの告白シーンにはみんなある程度慣れてしまっていて、かといって奇をてらうようなシーンでもないからなのかもしれませんね。

そして、安芸倫也加藤恵に告白するシーンも、その情景を説明しただけならありふれた告白シーンになるのかもしれません。

しかし、その演出がとても素晴らしかった。

本当に短いはずのシーンが結構な尺を取って丁寧に描かれていたという印象です。

安芸倫也が作ろうとしているゲームのように、観る人を最高にキュンキュンさせるキモオタ全開の告白シーンでした。(笑)

映画館って公の場で大の大人が頻繁に泣いてしまうある意味では特殊な場所だと思っていて、僕も映画館で多少泣いてしまうくらいのことを恥ずかしいと思ったことはありません。

むしろ、そういう時に我慢してしまわない方が楽しめるものだと思っているからです。

しかし、安芸倫也の告白シーンは観ているだけで身悶えするほど恥ずかしかった。

映画を観ていて恥ずかしいと感じたことはあまり・・というかほぼ無いはずなので、これは新鮮な体験でした。

安芸倫也があまりにも恥ずかしくて、思わず目を瞑ってしまいそうになったり、気まずさから「いやいやいや・・」みたいな感じで声に出して思わずツッコミを入れてしまいそうになるほどでした

なんでこのシーンがこんなに観ていて恥ずかしいのかって、それは恐らく安芸倫也があまりにも恥ずかしそうだったからなのだと思います。

映画は人を共感させるもので、あんな安芸倫也に少しでも共感してしまった日には悶え死にして当然というわけですね。(笑)

総括

いかがでしたでしょうか?

実は僕がこうして映画のレビュー記事を書いている時、ある程度観る前から「この映画は観た後にレビュー書くぞ!」って決めていたりします。

まあ、内容があんまりだったり難解だったりしたら書かないことも多いのですけど。(笑)

そういう意味で『冴えない彼女の育てかたFine』はレビュー記事を書くつもりが全くなかった映画でした。

前述したとおり、そこまで熱烈に好きってわけではなかったし、ライトノベル原作の劇場アニメに対して、例えば映画用に作られたオリジナルアニメほどの期待はしていなかったというのが大きいです。

そもそも、ラブコメ系のライトノベルは好きですけどアニメ化されると冷めてしまうことも多いので。

しかし、『冴えない彼女の育てかたFine』には不意打ち気味に、想像以上に感動させられてしまったのでこうしてレビュー記事を書いてみたわけです。

もちろん1期2期から続く作品なのでコレだけを観ても微妙かもしれませんが、この劇場版『冴えない彼女の育てかたFine』を観るためだけに1期2期をおさらいするのは正直アリだと思いました。

実は、僕も観た後すぐに原作を読み返したくなって電子書籍版を再購入してしまいました。(笑)

なんというか、アニメに限らず良い映画を観た後ってその余韻にいつまでも浸っていたくなりたい気分になることがありますが、僕の場合それが原作を読み返したり、同じ作品に関連する何かに触れることだったりするわけです。

「終わり良ければ全て良し」と言いますが、この劇場版『冴えない彼女の育てかたFine』があったからこそ僕の中で『冴えない彼女の育てかた』という作品は名作フォルダに振り分けられたような気がします。

あっ、ただ劇場版で観る上で一つだけ注意点があります。

それはマジで身悶えしてしまいそうになるほど、そして目を逸らしたくなるほど観ていて恥ずかしいシーンがあること。

というか、僕は実際に身悶えしていたかもしれないし、誰も見てないのに思わず目を閉じてしまったりもしていました。(笑)

上述した本作の見所を読めばどのシーンのことか想像つきますかね?