『弱キャラ友崎くん』人生を攻略するラノベがアニメ化するらしい
『弱キャラ友崎くん』とは、パーフェクトヒロイン・日南葵が、人生はクソゲーと断じるもののゲームの腕はピカイチの主人公・友崎文也に、人生というゲームとの向き合い方を教えるというのがストーリーの骨子となる小学館のガガガ文庫から刊行されているライトノベルとなります。
・・って、それだけ言うとなんじゃそりゃってストーリーですが、マジではっちゃけたストーリーのラノベが蔓延っている世の中においては限りなく正統派に近い学園青春ものなのではないかと思います。
その詳細は後述するとして、作者の屋久ユウキ先生が生み出すどこかに本当にいそうだけどライトノベルらしさもある魅力的なキャラクターたちが織り成す学園生活が本当に楽しそうな作品で、どのキャラクターにもいつかの自分を重ねてしまうような何かがあって常に誰かに共感していられます。
これは個人的な感想ですが、直近10年のライトノベルの中では5本指。学園青春ものに限れば間違いなく1番に選定したい作品となります。
だからこそ、なかなかアニメ化って話が出てこないことを意外に思っていたりもしたのですが、2021年1月ついにアニメ化されることになったようです。
最初にアニメ化って情報が出たのは2019年の10月に8巻が発売した頃だったと思いますが、いよいよですね!
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『弱キャラ友崎くん』とは?
『弱キャラ友崎くん』は2016年5月から小学館のガガガ文庫から刊行されている学園青春もののライトノベルで、屋久ユウキ先生のデビュー作品となります。
『このライトノベルがすごい!』でも今のところ常にトップ10入りしている人気作で、ジワジワと順位を伸ばしていますね。アニメ化直前の今年、どうなるかも楽しみなところです。
天然ではなく努力で学園のパーフェクトヒロインの地位を確立している日南葵が、『アタファミ(大乱闘スマッシュブラザーズが元ネタ)』では日本ランキング1位をキープするほどの腕前を誇るくせに、同じくらいの神ゲーである『人生』をクソゲーと断じている友崎文也に苛立ち、人生はクソゲーではなく神ゲーであると説くところから『弱キャラ友崎くん』の物語は始まります。
やってみないと分からないとばかりに日南葵の指導の下、友崎文也が人生というゲームに全力で取り組んでいく過程が面白い作品です。
日南葵が友崎文也がリア充になるために出す課題は一見なかなかハードルが高いものですが、よくよく考えてみれば多くの人は無意識の内に普通に、あるいは意識的にクリアしてきたものです。
しかし、それが体系的に課題として出されることでなるほどと思わされるのが興味深いところで、今まさに友崎文也と同じようにリア充になりたいと思っている人にとってはある意味ハウツー本のようになっているのが少し面白いです。
ゲームになぞらえていますがある意味当たり前の青春が描かれていて、だからこそ共感もしやすくて、しかしゲームになぞらえているからこその面白さもある。『弱キャラ友崎くん』はそんなライトノベルなのではないかと思います。
ライトノベルにありがちな、超常的な要素やあまりにも現実離れしたキャラクターや設定というものは『弱キャラ友崎くん』には基本的にはありません。そういう突出したものが無くても面白いと思える名作中の名作なのです。
登場人物について
前述した通り、本当にいそうだけどライトノベルらしさもある魅力的なキャラクターたちが登場します。
現実であれフィクションであれ学校のクラスのような一定員数の集団には何故か似通った人間関係が形成されがちですが、一人一人のキャラクターがそんな人間関係の要素を強調しつつもバランス良く構成しているような気がします。
また、面白いもので現実には同じ個人でも所属する集団が異なればそこでの立ち位置が変わるものです。例えば、ある集団では菊池風香のように目立たない立ち位置の人間が、別の集団では日南葵や水沢孝弘のようなリーダー的な役割を担うこともあったりしますよね?
だからなのだと思いますが、『弱キャラ友崎くん』のキャラクターの誰もにどこか共感できるところがあったりするのが面白いところなのだと思います。
イラスト担当のフライ先生のキャラデザも、キャラクターの特徴を捉えていて秀逸ですよね。
友崎文也(主人公)
『弱キャラ友崎くん』の主人公。ハンドルネーム『nanashi』として『アタファミ』の日本ランキング1位をキープする腕前のゲーマーですが、人生はキャラの性能差で決まるクソゲーであり、自分自身は弱キャラであると断じて基本的には人生に対して無関心だったキャラクター。
しかし、パーフェクトヒロイン・日南葵に人生は神ゲーであると諭され、それに最初は反論するものの、日南葵に出された人生を楽しむための課題をこなしながら人生が思っていたほど悪いものではないと思い始めます。
いわゆる自己研鑽に無関心で自虐的すぎだっただけで、実は真剣に取り組むと決めたことに対しては積極的かつ賢さもあるので、まるでゲームでレベルが上がるが如くどんどん成長していきます。
その証拠に原作の巻数の付け方も『弱キャラ友崎くんLv.1』のようにレベルアップして行ってますね。(笑)
日南葵(パーフェクトヒロイン)
学力も体力もナンバーワンな上に、誰もに好かれる学園のパーフェクトヒロイン。そんなパーフェクトヒロインぶりは天然のものではなく、実は努力と研鑽のたまものである。また、周囲には知られていないが『アタファミ』でもハンドルネーム『NO NAME』として日本ランキング2位をキープしている。
だからこそ『アタファミ』では自分より上を行く実力者であるにも関わらず、同じ神ゲーである人生をクソゲーと断じて自己研鑽を怠る友崎文也に最初は苛立った様子を見せ、その後人生の攻略方法の指南役のようになります。
ちょっと天然なところを見せることもありますが、それすら周囲の空気に合わせた計算されたようなもので、パーフェクトヒロインとしての努力は怠らない。
ちなみに、チーズ好きでチーズに目が無いところだけは天然なのではないかと思われる。
七海みなみ(メインヒロイン1)
クラスのムードメーカー的な存在でとにかく活発で明るい性格で誰にでも気さくに接する少女ですが、部活でも学力でも日南葵に劣ることを気にしていて、生徒会選挙では日南葵の対抗馬となる。
その時にブレーンとして活躍したり、夏林花火がクラスの女王エリカのいじめの対象になった際にはその阻止に尽力したりした友崎文也に好意を寄せるようになっていきます。
『このライトノベルがすごい!』では唯一キャラクターランキング入りしたことのある人気キャラで、何故か食パンの『超熟』が20周年を迎えた際のポスターにコラボして描かれたりしています。
ニックネームが「みみみ」だったりするので、パンの「みみ」ってことでしょうか?
菊池風香(メインヒロイン2)
特段いじめられていたり疎外されているわけではないものの、一歩クラスの輪かから外れたところにいる大人しい性格の少女で、いつも図書室にいる本好きでマイケル・アンディの作品を特に好みます。
引っ込み思案でどちらかといえば人付き合いが苦手そうなタイプだが、人間観察力に優れていて日南葵の作られたパーフェクトヒロインぶりの裏側に気付いている素振りもあります。
また、日南葵が友崎文也に出した課題における中くらいの目標において最重要の立ち位置にいるキャラクターでもあるのですが、ネタバレになるので詳細は割愛します。
興味がある人は『弱キャラ友崎くんLv.7』を読むか、下記の『弱キャラ友崎くんLv.7』のネタバレ含む感想の記事を読んでみてください。
夏林花火(クラスメイト)
七海みなみと仲が良いちっちゃい少女。
自分の気持ちに正直で思ったことを飾らずにズケズケと話すところが魅力でもあるが、その分クラスメイトと衝突してしまうことも多い。
それが原因でいじめにも発展したが、友崎文也の協力もあって少し自己改革したこともあり再びクラスの輪に溶け込むことができるようになった。
この友崎文也の協力は、日南葵に自分が出された課題を解決してきた経験を活かしての協力だったので、ある意味では友崎文也の成長をかなり分かりやすい形で体現したキャラクターであるともいえる。
泉優鈴(クラスメイト)
まさに今時の少女を体現したかのような少女。クラスの女王エリカの友人だが、エリカが嫌っているような相手や、友崎文也のように少し浮いたところのある相手でも分け隔てなく接する人懐っこさがある・・が、それが原因で微妙な立場に苦労しているような場面も見受けられる。
クラスのリーダー格である中村修二のことが好きでとても一途である。
水沢孝弘(クラスメイト)
美容師を目指すイケメンで、いつもひょうひょうと余裕のある態度を崩さない。
クラスのリーダー格というわけではないが、立ち回りの上手さはパーフェクトヒロイン・日南葵を彷彿とさせるところがある。
友崎文也が自己改革しようとしていることを誰よりも理解している様子で、しかも協力的である。
だからなのか友崎文也も水沢孝弘のことは頼りにしている様子で、日南葵の課題をこなす際でもそうでない場面でも、水沢孝弘の立ち居振る舞いを参考にしている節がある。
中村修二(クラスメイト)
ちょっとガキ大将っぽさのあるリア充でかなりの負けず嫌い。友崎文也に『アタファミ』で惨敗するも、その後練習を重ねてレベルアップしてみせたことがある。
かなり威圧的なタイプのキャラクターなのでいじり辛さがあるものの、だからこそ日南葵は中村修二をいじることを友崎文也に課題として出したこともある。
それで意外と思ったことならズケズケ言うタイプの友崎文也にいじられまくったことがあるので、ある意味では可哀そうかもしれません。(笑)
竹井(クラスメイト)
メインキャラの中で唯一名字しか明らかになっていない竹井ですが、意外と美味しい(本人的には美味しくない)役どころを常に担っています。
かなりのお調子者で、何かあっても「竹井だから」と免罪符のように許される(?)愛されキャラ。
一歩間違えばいじめられっ子のような扱いをされることもあるが、そう感じさせない所が竹井の魅力なのではないかと思います。