あるいは 迷った 困った

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『キューナナハチヨン(1)』裏表紙のバーコードの上4桁を確認したくなる漫画の感想(ネタバレ注意)

 

キューナナハチヨンってタイトルは一体何なのだと思ったら、巻末のオマケ漫画でネタバレされていました。

書籍一冊ごとについているISBNコードの上3桁が書籍であることを示し、4桁目が日本で発行されていることを示す。

つまり、キューナナハチヨン(9784)とは日本で発行された書籍のことを示すわけですね。

書店員だけ気付いてハッとするくらいでいいのだと書かれていますが、こういう分かる人だけ分かる感じのタイトルも面白いと思います。

そういうわけでキューナナハチヨンは、北海道の神社にある神様のいる書店を舞台とした日常物語となります。

漫画家さんや小説家さんにはやっぱり本や書店を好きな人が多いからなのか、そういう世界を描いた作品ってかなり多いとは思いますが、主人公がそれほど本好きって感じがしないところが真新しいのではないかと思います。

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本作の概要

中河泰弥が大学入学して始めたアルバイトは書店員。北海道朝日河市の神社にある朝日河神社書店ではまるで中河泰弥を助けるような不思議なことが次々と起こります。

神社にある書店というのも面白い設定ですが、神社にある書店だから神様がいるというのがもっと面白い漫画です。

本作の見所

神様のいる書店

中河泰弥がアルバイトを始めた朝日河神社書店には神様がいるらしい。

初めての接客に緊張している中河泰弥を助ける偶然が重なるのですが、それがあからさまに超常現象なのです。

どうやら、現時点で何故なのかは不明ですがこの神様は、信仰心の薄そうな中河泰弥を助けるような方向で動いているらしい。

「・・おいおいおい。”採用”ってコトか? 私にゃピンと来なかったが、あなたがそう言うなら必要なんだろう」

朝日河神社書店にいる店員のほとんどはさすがに神様の存在を信じてはいないようですが、店長さんは違うようです。

この神様とはいったいどのような存在なのか?

なぜ店長さんだけはその存在を知っている様子なのか?

なぜ信仰心も無さそうな中河泰弥を助ける。また必要としているのか?

一体どのような神様なのか分かりませんが、いきなり色々と気になる点が出てきましたね。

前述したとおり書店の日常を描いている作品は意外と多くて、キューナナハチヨンは個人的にはそういう作品群が好きで気になった作品なのですが、既存のそういうジャンルの作品とはちょっと違った雰囲気の作品だなぁと感じました。

本を書いている人

山崎博重ってヤツが書いた本があるはずなんだわ。探してくれ」

僕は欲しい本のことは基本的に自分で調べるので、あまり書店で「〇〇ありますか?」みたいな問い合わせをしたことがありませんが、こういうのって自分で調べることに慣れた人には突拍子もない問い合わせってあったりしますよね。

学生時代に僕は、書店でこそありませんが割と近いところのレンタルビデオ店でアルバイトをしていたことがありますが、時たま「えっ、それってどういうこと?」と聞き返したくなるような問い合わせをしてくる人がいたのは事実です。

どうしてそれがココにあると思ったと言いたくなるような問い合わせとか、このエピソードで描かれているような調べても答えがなかなか出ないような問い合わせも少なくありませんでした。

まあ、大抵そういう問い合わせしてくる人って18歳以下は見れない大人なディスクを借りていく人だったりしたのはここだけの話。黒タイツの女性が登場する作品を軒並み貸せと言ってきて、ついには他店にある在庫まで確認してこようとした通称黒タイツおじさんとか、今でも笑い話にしています。(笑)

ともあれ、こういう問い合わせにちゃんと答えられた時にはこっちまで嬉しくなってくる感情ってあるものです。

そして、どうやらこのエピソードで問い合わせをしてきた老人は、友人が書いたと言っているだけの本を探し続けているようです。

これは、例えばペンネームを使われているだけで探し当てる難易度は跳ね上がりますし、ジャンルも何もわからない本を探し当てるのはとても困難なことだと思います。

まず、山崎博重が著者ですらない可能性に思い至らなければいけませんし、著者以外で特定の書籍に関わっている人の名前を調べるのは簡単なことではありません。

そこで中河泰弥がとった手段はツイートを調べること。

近年における情報検索手段って実は一昔前とは様変わりしてきていて、例えばグーグル検索するより先にSNSを検索して調べる人がそもそも増えてきています。

精緻さが欠ける代わりに、量とリアルタイム性が優れているからですね。

ピンと来ない人も、例えば電車の遅延状況や災害時のことを思い浮かべたら、そういえばそういう調べ方をすることに思い至ると思います。

結局、山崎博重というのは本の解説を書いていた人で、それ以外にはサイエンス誌に載っているような人だったようです。

なるほど、これを「本を書いている」という情報だけで調べるのはなかなか骨が折れそうですが、それだけに見つかったら嬉しいですし、見つけた店員側にも幸福感がありそうな気がします。

ヒロインのお客さんはアイドル

書店を舞台としたフィクション作品といえば、そこを訪れるお客さんも千差万別ではあっても書店が似合う雰囲気のキャラクターであることが多い気がします。

そういう意味で本作品の白倉桃華は少々特異かもしれません。

少なくとも、覆面アイドルをヒロインに据える必要性がどこにあったのかは現時点では不明ですし、もちろん覆面アイドルだって本好きの人はいるでしょうけど、あえてそういう役どころにするようなイメージのある職業ではありませんよね?

しかし、だからこそ今までの書店を舞台とした作品とは違った面白さが出てくるのではないかと感じさせられるのも事実です。

最期にはまさかの新人アルバイトとして登場してきますが、白倉桃華が覆面アイドルであるが故のエピソードがもっとあったら、かなり個性的な漫画になってくるのではないかと思っています。

総括

いかがでしたでしょうか?

書店に神様にアイドルに・・

なんとも独特な組み合わせの作品だったのではないかと思います。

最期にはヒロインの白倉桃華が新人バイトとして入ってきたり、今後の展開も楽しみになってきますね。