『赫のグリモア(1)』こんな現代ファンタジーが読みたかって感じの漫画の感想(ネタバレ注意)
たまにこういう作品との出会いがあるから未知の漫画を読み漁る癖が止められません。
『赫のグリモア』を読んで素直にそう思いました。
異世界ファンタジーにしろ、本作品のような現代ファンタジーにしろ、既に飽和しきってるんじゃないかってくらいネタは出尽くしている感は否めない世の中。
なかなか「これは!」ってファンタジーに出会える機会は少ないですが、久々に現代ファンタジーで面白いと思える作品に出会えたと思います。
お人好しの巻き込まれ型の主人公に、相棒となる人外の存在。
その仲が一筋縄ではいかなさそうなところも含めて、ありふれたバディものではありますが、1巻の時点で既にワクワクしてしまっているくらいに面白い!
バディものが好きな人ならハマりそうな作品だと思いました。
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本作の概要
普通の中学二年生である大麦若葉は、ペン画の大家である曾祖母の大麦茜の所有していた屋敷と、そこに残された作品群を遺産として相続することになります。
その条件として託されたのは、注射器のような形をした不思議なペン。
ともあれ相続することになった曾祖母の家を訪れる若葉。
そこに飾られた不思議な感じのする絵が示す隠し扉を発見した若葉は、少々怯えながらもその奥に進んでしまいます。
そこには長きにわたって幽閉されていた「あかずきん」と名乗る少女がいました。
あかずきんを開放したことで、若葉は書の魔導士の役目を継承することになり、魔女たちの戦いに巻き込まれていくことになります。
ちょっとばかりダークな雰囲気の現代ファンタジーが始まりました。
本作の見所
大麦若葉とあかずきん
主人公の大麦若葉は普通の女子中学生って感じの女の子ですが、曾祖母の茜おばあちゃんの家の隠し部屋で「あかずきん」を名乗る女の子と出会うことで、書の魔導士の役目を継承することになります。
「お前・・茜の娘かなんかだろ? うっすら面影があるぜ」
どうやら長時間幽閉されていて時間間隔が狂っているらしいあかずきんは、今はまだ昭和だと思っているようです。
娘だと思った若葉がまさかの曾孫で、ハメられたと怒っています。(笑)
このあかずきんと名乗る女の子は茜おばあちゃんが具現化した魔導書(グリモア)そのもので、書の魔獣と呼ばれる存在なのだとか。
そして、その茜おばあちゃんは魔導書を使う伝説級の魔導士、つまりは魔女だったようです。
自らの血で描いた絵に触り、抜き出すことができる魔導士。
今までにもありそうな魔導士に形ですが、個人的にはこういうトリッキーな感じの魔導士って好きなんですよね。
ともあれ、どうやらあかずきんのところに来るまでに変なものを具現化してしまったらしい若葉は、あかずきんの言われるがままに彼女を開放してしまうのですが・・
「お前は俺の契約者じゃねえよなぁ。茜が居ない今お前が契約者になる術もねえなぁ。じゃあ残念だが・・助けてやる義理はねえなぁ・・」
う~ん。口は悪くても味方なのだろうと思っていたあかずきんですが、若葉を助ける気は毛頭ないようです。
どころか、あかずきんを縛る契約を消すように迫ってきます。
しかし、若葉は茜おばあちゃんの意図を推測してそれを断ります。
「糞餓鬼ッ!! お前の負けだ!! さっさと俺を自由にしやがれ!!」
逃げる若葉を追いかけるあかずきんでしたが・・
「何も・・死ぬことはねえじゃねえか・・」
ゼロ戦の絵が具現化したものが待ち伏せしていて若葉がそれに銃撃されように見えた時にはそんなことを言っていて、意外と悪い奴ではなかったのかもしれません。
まあ、曾祖母の茜が引き合わせようとしたくらいだから、そりゃあそうですか。
ちなみに、若葉は死んでませんよ。
茜おばあちゃん
若葉の曾祖母の茜おばあちゃん・・の葬儀から始まる『赫のグリモア』ですが、死してなお重要な役割を持ったキャラクター。
彼女の屋敷にある絵から若葉が具現化してしまいましたが、めっちゃ格好良いばあちゃんですね!
あかずきんの回想に出てくる茜おばあちゃんも格好良い美人だし、絵でありながらメインキャラになってくる感じなのでしょうかね?
そして、そんな茜おばあちゃんは野良の魔獣を封印して回る役割を担っていたようですが、その後継者として若葉を選んだようです。
「そんな大役を私なんかができるわけ・・何でなの?」
「できるさ。もちろんお前に才能があったからだが・・でもそれだけじゃない。若葉自身が望んだんだ」
思わせぶりな過去のエピソードが語られるのかと思いきや、女児向けアニメのヒロインみたいに幼稚園児の頃の若葉が言っていたというのがその理由でした。(笑)
まあ、この茜おばあちゃんは若葉が幼稚園の頃に描かれた絵だったようなので仕方がないのかもしれませんね。
おやゆびひめ
茜おばあちゃんの提案で、友好を深めることと魔導士としての訓練も兼ねて、あかずきんに現代を案内することになった若葉。
やってきたアミューズメントも入っている複合施設では結局あかずきんと別行動になってしまい憂鬱そうな若葉でしたが、一方のあかずきんは地味に楽しんでそうでした。(笑)
そんな所で出会った迷子の女の子のまいあと若葉は仲良くなります。
水族館に現れた書の魔獣から一緒に逃げたり、危ない目にもあいましたが、若葉はそこでついに魔導士になる覚悟をします。
「魔獣の気配は「二つ」あった気がしたが・・」
若葉のピンチに現れたあかずきんが書の魔獣を撃退しましたが、どうやらもう一波乱ありそうな感じ・・って思っていたら、何と一緒に逃げていた女の子のまいあが、書の魔獣「おやゆびひめ」だったようです。
どうやら見た目通り、おやゆびひめ自体は無害そうな感じなのですが、彼女のマスターの細目の男がなかなかどうして外道っぽい。
若葉を殺せというおやゆびひめのマスターの命令句。
おやゆびひめはそれに逆らったのですが、マスターの命令句に逆らうことは書の魔獣にとっては焼失を意味します。
それを知った若葉が、おやゆびひめに命令句を強制的に遂行させた上で、自分のことはあかずきんに助けさせるという賭けに打って出るのですが、こういう行動は何か主人公っぽくて格好良いですよね。
『金色のガッシュ!!』を思い出しました
魔導書が一つのテーマになっている。
人間と人外のバディ。
・・何となく『金色のガッシュ!!』を思い出させるような作品だと思いました。
おやゆびひめのキャラクター性も、何だか『金色のガッシュ!!』のコルルっぽいですよね。
いや、雰囲気は全く違うんですけど、『金色のガッシュ!!』が好きな人なら楽しめる作品なんじゃないかなぁと素直に思いました。
僕も『金色のガッシュ!!』はかなり好きな漫画なので、だから触りだけで『赫のグリモア』に期待してしまっている所があるかもしれません。
総括
いかがでしたでしょうか?
1巻はまだまだ序章で、若葉とあかずきんと茜おばあちゃんというキャラクターを描くという所が中心になっていました。
どういう物語なのかの方向性が明らかになっていくのはこれからって感じだと思いますが、キャラクターは魅力的だし、設定も発展性のありそうな面白そうなものだしで、今後が楽しみな作品だと思います。
それに、何となくアニメ向きの作品でもあるような気がするので、流行ればそういうこともあるのではないかと予想しています。
現時点では読んだ人の評判は良さそうなので、可能性は高そうですね!