ダンまち劇場版『オリオンの矢』英雄は必ずしも全てを救えないという話の感想(ネタバレ注意)
『ダンまち』は大好きな作品ですが、アニメ版は原作に比べるとかなりストーリーが遅れてしまっていることもあり、今のタイミングで劇場版と言われても実はそこまで期待していませんでした。
原作の方はスピンオフ作品も含め、各キャラクターの掘り下げや世界観の広がりが半端ないことになってきていて、アニメ第1期終了時点の感じでオリジナルストーリーが描かれても、ちょっと物足りないんじゃないかと思っていたのがその理由です。
ヘスティアファミリアのメンバーも少ないですしね。
しかし、ふたを開けてみれば想像以上に面白くて、ベル君もいつも通りの英雄でした。
珍しくオラリオから離れた冒険に、いつもはベル君たちの冒険には同行しないヘスティアが冒険しているのはとても新鮮で、劇場版オリジナルキャラであるアルテミスも魅力的だったし・・
とにもかくにも大満足でした!
井口裕香さんの歌うエンディングテーマ『おなじ空の下』は、公開前に既に発売していて聞くことができましたが、エンディングで流れた時に初めてどういう歌詞なのかを理解して涙が出そうになりました。
最後のアルテミス視点の歌詞なのですけど、ここまでどストレートに作品とリンクした曲って何だか、作品を知らずに聴くのと知っていて聴くのとでは受ける印象が随分と違ってきますね。
まだ観てない人は、観る前と後でエンディングテーマを聴き比べてみるのも面白いかもしれませんよ?
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本作の概要
オラリオの神月祭。
ヘスティアファミリアのメンバーがお祭りを楽しんでいる中、男神ヘルメスが伝説の剣よろしくヤリを抜ける人を探す出し物を行っていました。
レベル6の冒険者であるアイズですら抜けないヤリを、何でかベルが抜ける展開は予想通り。
ヘスティアと同じく三大処女神の一柱で、ヘスティアの友人でもあるアルテミスが探していたこのヤリを使える冒険者。
再会を喜ぶヘスティアをよそにベルのことをオリオンと呼び、駆け寄るアルテミス。
実は、ヘルメスが開催したヤリを抜くイベントの景品である旅行は、体の良い魔物討伐の依頼だったのです。
しかし、ヘスティアの友人のアルテミス。それも美しい女神の依頼とあってベルたちはこの依頼を引き受けることになりました。
本作の見所
ヘスティアの冒険
とっても魅力的なキャラクターの多い『ダンまち』という作品ですが、冒険者がメインで神様たちは見守る立場であるという性質上、神様キャラクターは原作でも目立ちづらい立ち位置にいます。
しかし、この劇場版『オリオンの矢』は神様がメインの物語。
物語の始まりも、中心も、そして終わりも女神であるアルテミスにあります。
必然的に活躍の幅が広がるのがアルテミスの友人である女神ヘスティア。
アルテミスと並んで2人テントの中、ちょっと無防備な格好で女子的な会話をしているヘスティアが可愛すぎました!
確か明言はされていなかったと思いますが、いち早くオリオンの矢が何のためにあるのかを察していた節があり、それをベルに使わせたくなかったのか泉に沈めようと持ち出したりしていたのですが、ヘスティアがこう直接的に物語に関わってくるのって珍しいですよね。
冒険者ではなく神様の物語なのだということが実感されます。
戦う女神のアルテミス
遺跡に向かう道中、モンスターに襲われている親子を助けるため真っ先に飛び出したのがアルテミスでした。
『ダンまち』では冒険者が闘うシーンはあっても神様が闘うシーンは基本的には無いので、少々ビックリしましたが、戦う女神さまって響きがもう格好良いですよね!
しかし、飛び出したことをベルに怒られて「自分はヘスティアより強い」とか言っていましたが、「ヘスティアより強いってどれくらい?」ってちょっと気になりました。(笑)
ともあれ、この時アルテミスがピンチになって、ベルがヤリ(オリオンの矢)を使って窮地を脱します。
ヤリじゃなくて大きな矢だったということがここで明らかになるのですが、とんでもない威力にベルたちは目を丸くします。
この時、ヘルメスがベルにオリオンの矢の使用を控えるように注意しますが・・
まさかあんな哀しい理由だったなんてってことが後からわかります。
リューさんもいるよ!
本作はオラリオから外に出てしまっているので、ロキファミリアとか他のファミリアの冒険者たちの出番はあまりありません。
しかし、リューさんに関しては最初から豊穣の女主人になぜかいなかったりしたので物語に関わってきそうな気がしていましたが、まさかヘルメスファミリアと一緒に遺跡まで来ていたとは!
個人的には好きなキャラクターなので嬉しいですが、まさか初めての劇場版でアイズ以上に活躍させるというのは予想外でしたね。
ベルはアルテミスにとっての英雄になれたのか?
今回のラスボスであるアンタレスは、実はアルテミスを食って神の力を得たモンスターで、ベルたちの側にいるアルテミスは搾りかすの残滓のようなものだったらしいです。
そして、アンタレスを倒すためにはオリオンの矢で射貫かなければいけないのですが、そうすればアルテミスは死んでしまいます。
・・えっ!?
そう、今回ベル君は究極の二択を迫られることになります。
オリオンの矢でアルテミスを犠牲にアンタレスを倒さなければ世界が危ない。しかし、アンタレスを倒すことはアルテミスの死とイコールである。
しかし、アンタレスを倒すことがアルテミスの願いであり、救いでもある。
そういうわけでベルは葛藤しつつも神殺しの責任を負うことになります。
アルテミスの死という形で、しかしアルテミスを救ったベルは確かに英雄なのかも知れませんが、それでもすべてを救うことはできないんだなぁという感じでめちゃくちゃ切なかったです。
「次に出会ったときは1万年分の恋をしよう」
アルテミスの最後のセリフを聞いた時、正直涙腺がかなり危なかったです。
しかし、なぜアルテミスがベルのことをオリオンと呼び、慕っていたのか。なぜベルがオリオンの矢を使うことができたのかは謎に包まれています。
調べるとオリオンはアルテミスの恋人という立ち位置の神様らしいですけど、ベルも祖父がゼウスという神様だったりするキャラクターなので、何かしらの伏線も含まれているのかもしれませんね。
脚本が原作者の大森藤ノ先生なので、余計にそう思ってしまいます。
エンディング曲が素晴らしい!
いつかまた出会えるために
振りむかないで笑顔でまたね
See you, my love
※『おなじ空の下』の歌詞より抜粋
これはエンディングテーマの『おなじ空の下』の歌い出しの歌詞ですが、まさにアルテミス視点の歌詞になっています。
神も生まれ変わる。
それが何年後のことなのか、何百年後のことなのか、何万年後のことなのかは分かりませんが、アルテミスのいつかまた出会えるという思いがこの歌詞には込められているということが明らかですね。
アルテミスの最後のセリフを聞いた後でこの曲を聴いたら、マジで感動ものだと思います。
総括
いかがでしたでしょうか?
原作にスピンオフに好調な『ダンまち』ですが、久々にアニメの『ダンまち』に触れることができて嬉しかった!
アニメ1期が2015年なので、意外と時間が経っているんですよね。
時が経つのが早い!
2019年にはアニメ2期の放送も予定されているということなので、本当に楽しみでなりません。
劇場版の最後の方には、春姫など1期には登場しなかったキャラクターがちょっとだけ出てきたりしていて、アニメ2期始まるんだぁ~って感じがしますよ。