『ヒカルの碁』原作漫画全巻のレビュー記事まとめ(ネタバレ注意)
囲碁を始めるキッカケになった人も多いのではないでしょうか?
約半年、『ヒカルの碁』の全巻のレビュー記事を書いてきて、もの凄く懐かしい気持ちになりました。
これらの記事は『ヒカルの碁』という漫画の魅力を伝えたい意図があるのはもちろんですが、それ以上に囲碁に興味を持つ人が1人でも増えたら嬉しいなぁという想いもあったりします。
本記事は、そのヒカルの碁のレビュー記事をまとめたものとなります。
面白そうだと思ったところから読んでみて、少しでも『ヒカルの碁』や囲碁に興味を持ってもらえたら幸いに思います。
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- ヒカルの碁1巻
- ヒカルの碁2巻
- ヒカルの碁3巻
- ヒカルの碁4巻
- ヒカルの碁5巻
- ヒカルの碁6巻
- ヒカルの碁7巻
- ヒカルの碁8巻
- ヒカルの碁9巻
- ヒカルの碁10巻
- ヒカルの碁11巻
- ヒカルの碁12巻
- ヒカルの碁13巻
- ヒカルの碁14巻
- ヒカルの碁15巻
- ヒカルの碁16巻
- ヒカルの碁17巻
- ヒカルの碁18巻
- ヒカルの碁19巻
- ヒカルの碁20巻
- ヒカルの碁21巻
- ヒカルの碁22巻
- ヒカルの碁23巻
ヒカルの碁1巻
ヒカルと佐為との出会い。
ヒカルと塔矢アキラとの出会い。
そして、ヒカルと囲碁との出会いを描いた始まりの1巻となります。
佐為と塔矢行洋という最強の同志の出会いもありますね。
1巻の時点では、佐為やアキラの囲碁への熱意に比べてヒカルが冷めているのが特徴ですが、これが徐々に囲碁に惹き込まれていくのが面白い作品なのです。
ヒカルと一緒に囲碁に惹き込まれていった読者も多いと思いますが、僕もその内の一人です。
ヒカルの碁2巻
貴重な佐為の敗北シーン(ヒカルの打ち間違い)から始まる2巻。
ヒカルもかなり囲碁に興味を持ち始めています。
加賀との対局に敗北したことにより、中学生のふりをして囲碁部の大会の団体戦に出場することになったヒカルが、練習を観戦していた対局を初手から並べなおしたりと才能の片鱗を見せつけます。
ヒカルの碁3巻
囲碁部において実力者を妬んでいじめる先輩や、ズルして賭け碁で稼ぐ中学生に、それを騙して窘める大人。
そんな少々囲碁のダークな一面を描かれているのが特徴の3巻です。
反面教師的に、例えば佐為のように真っ直ぐ囲碁を好きでいたいとか、筒井さんのように誠実に囲碁に接したいとか思えるようになったらしめたものなのかもしれませんね。
ヒカルの碁4巻
インターネットに潜む最強棋士。saiが登場する4巻ですね。
ヒカル碁の作中でも最も好きなエピソードの一つですが、まだまだ現在ほどインターネットが一般化していなかった時代にこんなエピソードが描かれていたというのは何だか感慨深いですね。
幽霊である佐為をファンタジー的な力ではなく、科学的な力でその存在感を示させたという興味深いエピソードだと思います。
ヒカルの碁5巻
ある意味では本当の意味でヒカルの碁が始まったような気がする5巻ですね。
囲碁に興味を持って葉瀬中囲碁部で打ち始めたヒカルでしたが、それがsaiの碁に触れ、アキラに突き放され、そして岸本の後押しも受け・・
ついにアキラを追いかけ始めることになり、 本当の意味でヒカルの碁が始まったのだと感じられます。
ヒカルの碁6巻
囲碁界のことをよく知らない人に、間接的にアキラの実力を知らしめる6巻。
アキラにとっては院生ですらぬるい。アキラの受けたプロ試験でも全く寄せ付けない感じだったので、よく知らない人は院生を過小評価してしまっていたところがあるかもしれませんが、実際は天才中の天才の集まりです。
岸本ですら生き残れなかった院生に手こずるヒカルでしたが、アキラの新初段シリーズの対局を見たヒカルはやる気満々になりました。
ヒカルがアキラの起爆剤となり、アキラもまたヒカルの向上心に火を付ける。
今まで間に佐為がいたこともあってあまりライバルっぽくなかった関係が、良いライバル関係になってきたように感じられます。
ヒカルの碁7巻
プロ棋士とそれなりに渡り合えるまでに成長したヒカル。
6目半差の負けは結構な差ですが、村上プロとの対局では佐為ですらスグには気付かなかった悪手を好手に化けさせる打ち回しを見せ、ヒカルの棋風らしきものも何だか見えてきましたね。
ヒカルの碁8巻
碁を始めて千年になる佐為が格好良い8巻。
院生上位クラスでも渡り合える成長したヒカルがついにプロ試験予選に臨みますが、慣れない大人との対局。それもいかにも風変わりなヒゲ男である椿との対局にペースを乱されてしまいます。
同年代の子供以外との対局に尻込みしてしまう精神の弱さ。
意外な弱点にヒカルは苦しむことになりますが、和谷と伊角さんと碁会所を巡って大人との対局に慣れることになりました。
ヒカルの碁9巻
プロ試験本戦に向けて急成長するヒカルが見られる9巻。
置き碁で下手と対局することの効果。多面打ち持碁で目算力を鍛え、洪秀英との対局では大きな成長を見せました。
多面打ち持碁でヒカルは四面中一面を間違え、アキラが四面全てを成功させたのが現時点での実力差を象徴しているようで興味深いですが、一方でたった一面一目の差まで迫ってきているとも見られますね。
ヒカルの碁10巻
『ヒカルの碁』史上最も有名な名言が飛び出す10巻。
アキラに師事する越智が、アキラにヒカルに入れ込む理由を問いただした結果、ヒカル(佐為)との対局の棋譜を越智に公開します。
「ここで僕が投了!」は最も格好良い投了として有名ですよね。
他にも双方ともに苦い経験となったヒカルと伊角さんの対局など、見所はたくさんあります。
ヒカルの碁11巻
プロ試験本戦が佳境の11巻。
佐為の考えをトレースしようとしたり、ちゃんと師弟関係なんだと思えるようなエピソードがあったり、ヒカル、和谷、伊角さんと一緒に碁会所でチーム戦した仲の3人が最後に三つ巴の状態になったり。
実力的には合格最有力であったであろう伊角さんが不合格になってしまったり、実力があることは前提としても、生もの感のある厳しいプロ試験が垣間見えます。
ヒカルの碁12巻
ついにプロ棋士になったヒカル。
しかし、ヒカルがプロ棋士として活躍しだすまでには少々タイムラグがあり、この辺りから佐為に関連するエピソードが続きます。
12巻では佐為と塔矢行洋の頂上決戦・・といってもヒカルの新初段シリーズの場を借りての対局なので、その実力が十全に発揮できないように自らにハンデを課しての対局となりました。
いろいろな意味で必至な佐為に哀愁が漂い始めます。
ヒカルの碁13巻
ヒカルの碁の作品中のツートップの頂上決戦。
12巻では不本意な形での対局となりましたが、塔矢行洋の入院をキッカケに、インターネット上での『sai vs toya koyo』の対局が実現されました!
佐為のために何とかセッティングしようとするヒカルが格好良いです。
ヒカルの碁14巻
じわじわと胸が痛くなってくるような展開。
ついに頂上決戦が決着し、佐為が名実ともに作中最強の棋士と言っても過言ではない状態になりました。
しかし、一方で佐為の不安は徐々に大きくなっていきます。
いつまで現世にいられるのか?
大きくなる不安と、全く気にも留めないヒカルのギャップほど切ないものはありませんね。
ヒカルの碁15巻
作中でもっとも哀しい15巻。
プロ棋士として順調にスタートを切るヒカルに対して不機嫌な佐為。
「ヒカルなんか私に勝てないくせに」という一流の者が普通は口にしないであろうことを佐為ほどの実力者が放ってしまうほど不安定になっています。
一方のヒカルは相変わらず佐為が消えるなんて全く想像もしていなくて・・
そして、唐突な別れが訪れる。
ヒカルの慌てようがあまりにも切なかったです。
ヒカルの碁16巻
珍しくヒカル以外のキャラクターが主人公になった16巻。
プロ試験合格の実力を持ちながら、何年も合格できずにいる伊角さんが中国で修行するエピソードです。
実力はともあれメンタル面に弱点のあった伊角さんの成長と、そして帰国してプロ試験を控えた伊角さんと囲碁から離れようとしているヒカルの対局が見所です。
ヒカルの碁17巻
ヒカル復活の17巻。
伊角さんとの対局を通して佐為が自分の碁の中にいることに気付いたヒカルが囲碁の世界に戻ってきます。
ヒカルを碁の世界に連れ戻すことが伊角さんの役割だったわけですね。
そして、ついにヒカルとアキラの初めての本当のライバル対決が行われます。
ヒカルの碁18巻
ヒカルの碁で唯一の短編集となる18巻。
本編では見られないサブキャラクターたちの活躍が見られるのが魅力です。
特に久々に佐為が登場する短編もあって懐かしい気持ちになれるのはもちろんですが、佐為の圧倒的強者感がわかりやすいエピソードでもあります。
ヒカルの碁19巻
賛否が分かれる北斗杯編の始まりです!
佐為がいなくなった後の物語ということで蛇足だと揶揄されることもある北斗杯編ですが、個人的には囲碁界のより深い部分に触れられているように感じられてメッチャ好きなエピソードなので、是非とも蛇足と思わずに読んで欲しいと思います。
ヒカルの碁の中に佐為がいるというのが第一部の結論でしたが、そういう意味で興味深いのは門脇さんとの対局。
かつてのヒカル(佐為)と現在のヒカル(ヒカル本人)が比較されてしまいます。
ヒカルの碁20巻
初手天元や五の五といった趣向的な打ち方をする社が登場する20巻。
囲碁のことをよくわからない人でも「何だかよくわからないけどすげ~!」ってなることでお馴染みの展開ですが、囲碁のことがある程度わかってくるとより一層「すげ~!」ってなります。
囲碁の深淵というか、奥深さが垣間見える面白さがあります。
ヒカルの碁21巻
勝負師としての越智が格好良すぎる21巻。
社の方が自分よりも認められていることを感じ取って、ルールに従えば北斗杯メンバーに内定しているのにあえて社との対局を申し入れるプライドが格好良すぎますね。
また、北斗杯メンバーがアキラの家で合宿しているシーンも、第一部までのアキラとヒカルの関係を思えば感慨深いものがあります。
ヒカルの碁22巻
北斗杯の対中国戦の22巻。
経験不足からくる緊張と高永夏への敵愾心が相まって序盤から不調のヒカル。応援に来てくれたヒカルのお母さんもいたたまれなくなってしまうほど叩かれてしまいます。
しかし、辛抱強く粘って逆転の一歩手前まで相手の王世振を追い詰めます。
必敗の形勢からの好勝負は囲碁の魅力の一つだと思います。
ヒカルの碁23巻
敗北で完結する最終巻。
中国戦での後半の猛追を認められたヒカルは韓国戦で念願の大将になります。
打倒高永夏を目指し、互角の攻防を繰り広げるヒカルでしたが、惜しくも半目届きませんでした。
主人公が敗北して完結することに違和感を覚えた人も多いようですが、個人的にはこれはこれで良かったのではないかと思いました。
囲碁は勝って終わりというわけではありませんし、これからもヒカルの碁が続いていくんだという風に感じられたのがその理由です。