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『ダイの大冒険(1)』原作ゲームにまで影響を及ぼす名作の感想(ネタバレ注意)

 

ダイの大冒険』は、RPGというジャンルを世間に広めた名作ゲーム『ドラゴンクエスト』の設定や世界観を元にした名作漫画となります。

完全にオリジナルストーリーでゲームとの接点はないので『ドラゴンクエスト』というゲームが原作だというと語弊があるのかもしれませんが、後に本作品のオリジナル要素が原作ゲーム側に逆輸入されたりと密接な関わりがある作品でもありますね。

原作ゲームを彷彿とさせる世界観は全く損なわずに漫画ならではのオリジナル要素も魅力的な、週刊少年ジャンプ黄金期を代表する名作冒険譚です。

世代的には2019年現在、40手前くらいの人がドンピシャでしょうか?

このレビュー記事を書いている僕よりは少し上の世代ですが、少し下の世代である僕にとっても思い出深い漫画です。

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本作の概要

モンスターが暮らす平和なデルムリン島。鬼面道士のブラスに育てられたダイは勇者に憧れていました。

しかし、ある日やってきた勇者一行はダイの友達であるゴールデンメタルスライムのゴメちゃんを攫おうとしたりする金品目当ての小悪党でした。

そんな偽勇者に怒りを覚えるダイでしたが、今のダイではなかなか勝てる相手ではなくモンスターたちの協力を得てなんとか撃退します。

モンスターと一緒に育つダイはまだまだ弱いですが、パプニカ王国王女のレオナとの出会い。アバンの勇者修行にポップという仲間もできて少しずつ成長し始めます。

かつての魔王ハドラーが魔軍司令として復活し、さらには大魔王バーンの存在も示唆されたことで、大きな冒険の始まりを予感させるような内容になっています。

本作の見所

モンスターと暮らす少年

これは何となくのイメージですが、『ダイの大冒険』は通して読んだことは無くても途中だけ知っている人が多い作品なのではないかと思います。

長期連載のストーリーものは『ダイの大冒険』に限らずそういう所があるのではないでしょうか?

かくいう僕も『ダイの大冒険』が連載されていた全盛期は幼稚園児から小学校低学年くらいの少年だったこともあり最初は上の兄弟のいる友達から借りて読んでいたので、初めて読んだエピソードはそこそこ物語が佳境に差し掛かっている部分でした。

本作品を知っている人は分かると思いますが、主人公のダイはかなり早い段階からバトル漫画の主人公としてらしくなってくるので、僕のように途中から読んだ人には強いダイのイメージがあると思うのです。

プロローグであるデルムリン島のエピソードのダイを見て、主人公らしくはあってもそんなに強くない。普通の少年感が溢れるダイに少し驚かされるかもしれませんね。

ダイの強さは徐々にチートじみてくるので、序盤のダイには新鮮な驚きがあるはずなのです。

逆に、初めて読む人にはここからダイがどのように成長していくのかに注目してほしいと思います。

パプニカ王国王女レオナ

パプニカ王国王女のレオナは、一応はメインヒロインということになるのでしょうか?

少年漫画のメインヒロインって、場合によっては登場頻度が非常に少ないこともありますけど、レオナはそういうタイプのメインヒロインなのではないかと思います。

1巻にはまだ登場していませんが、登場頻度だけならマァムとかの方が多いですし、マァムはマァムで魅力的なヒロインなんですけどね。

ともかく、レオナは1巻の早々から登場します。

最初はダイのことをチビの勇者と馬鹿にしていたのに、命を救われて態度を変えるツンデレ感が可愛らしいキャラクターだと思います。

ツンデレなんて言葉がまだ無かった時代の漫画なんですけどね。

ダイが地味に年齢不詳なので実際のところは分かりませんが、レオナの方が少しお姉さんなのでしょうか?

このくらいの時代の漫画の女性キャラクターって、今の漫画の女性キャラクターの雰囲気とは絵柄的な意味で随分と違いますけど、独特の色気があって良いですよね。

今の漫画のキャラクターの場合、可愛いは可愛い、美人は美人など、特定方向に尖っているキャラクターが多いような気がするので、レオナの可愛い中に色気のある感じはこの時代の女性キャラクター特有の魅力なのではないかと思います。

ダイの紋章

冒険譚の主人公には大きく二つのタイプがありますよね。

一つは、あくまでも平凡な人間なのだけどやっていることが平凡ではないタイプ。

もう一つは、出自やら何やらに特別な何かがあるタイプ。

1巻時点におけるダイからは、このどちらなのかはまだ分かりません。

しかし、恐らく後者なのではなかろうかと予感させる要素が現時点でも二つあるのではないかと思います。

一つは『ダイの大冒険』の元ネタが『ドラゴンクエスト』であること。『ドラゴンクエスト』の主人公はいつだって特別な何かを持っているもので、だとすればそれを元にした『ダイの大冒険』の主人公であるダイもまた特別なのではないかという理屈ですね。

もう一つは戦闘中ピンチに陥った時にダイの額に浮かび上がる紋章です。

ハドラーがダイの紋章を見て竜(ドラゴン)だと言っていますが、少なくとも元魔王が見て驚くほどのものではあり、明らかにダイには特別な何かがあることを示唆していますね。

非常に重要なところなので、これが何なのかをこの段階でネタバレするのは流石に避けておきますが、謎めいたまま何かしら不思議な力を持っている少年という、無邪気な少年でありながらもミステリアスな部分もある魅力的な主人公になってきたのではないかと思います。

アバンの勇者修行

アバンというキャラクターを『ダイの大冒険』を知らない人に分かりやすく説明するなら、例えば・・

ONE PIECE』におけるシャンクス。

HUNTER×HUNTER』におけるジン・フリークス。

・・そんな感じなのではないかと思います。

要は主人公にとっての目標というか、尊敬すべき相手ではあるものの、会うこともままならないことから一種の偶像のように扱われているようなキャラクターですね。

ダイの大冒険』の世界観においては一度世界を救った勇者であり、現在は次期勇者となるべく才能を持つ者たちを指導する教師でもあります。

これはあえてなのだと思いますが、『ドラゴンクエスト』の勇者と聞いて思い浮かべるような勇者像とは少しかけ離れたようなイメージなのが興味深いところ。一見するとお調子者の教師って感じのイメージなのですが、それが今後ダイたちの中で大きな存在として偶像化されていく点に注目してみて欲しいですね。

魔軍司令ハドラー

ダイの大冒険』は好きな漫画で定期的に読みたくはなるんですけど、実はプロローグとなる1巻あたりはちょっと地味な感じがしてそんなに好きではないんですよね。

尻上がりで面白くなっていくような漫画だと思うんです。

まあ、ファンタジーってどんどん世界観が広がって、それで面白くなっていくようなものなのだから当たり前といえば当たり前なのかもしれません。

個人的にはこの面白くなり始める最初のエピソードがハドラーの登場するシーンだと思うのです。

アバンがかつての勇者であることが判明し、そのアバンが倒したはずの魔王ハドラーが復活する。

しかも、そのハドラーを復活させて更に凄い奴。作中通してのラスボスとなる大魔王バーンの存在が初めて示唆されることになります。

この元魔王がまるで主人公ダイのライバルであるかのように、ダイが成長すればハドラーも成長するといった独特に関係を築くキャラクターになっていくのが面白いんですよね。

いや、ハドラーは別にダイのライバルキャラってわけではないとは思うのですけど、そういう風にも感じられるって話です。

ダイはこのプロローグの時点で元魔王であるハドラーを驚かせるほどの実力を発揮します。

そして、そんな最初から高い次元にあるところが物語のスタート地点となるのが面白いですよね。

総括

いかがでしたでしょうか?

古い作品でも長らく親しまれている名作は今読んでも面白いですね。

特に『ダイの大冒険』の場合、今なお親しまれている名作RPGドラゴンクエスト』の世界観を元にしていることもあって、若い世代でも入り込みやすい作品なのではないでしょうか?

原作ゲーム。それも特大コンテンツである『ドラゴンクエスト』の本家にまで影響を与える力があるのも頷ける名作なので、まだ読んだことが無い人も一度手に取ってみてはいかがでしょうか?(次巻のレビューはこちら