あるいは 迷った 困った

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『ダイの大冒険(10)』原作ゲームにまで影響を及ぼす名作の感想(ネタバレ注意)

 

ついにダイの剣が完成する10巻です。(前巻のレビューはこちら )

ダイが自分専用の武器であるダイの剣と出会うエピソードの舞台はランカークスという村で、ポップの生まれ故郷となります。

ある意味では自身の半身となる剣を手に入れるのが一番の仲間であるポップに縁のある地というのが、大事なものは同じ場所に縁があるという感じで何だか素敵に思えます。

そして、そんなダイの剣の成果を見ることができるエピソードまでが10巻に描かれています。

なかなかド派手な展開になっていて、とても面白いです。

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本作の概要

ダイたちは、ダイの武器の手がかりを求めて、ポップの生まれ故郷であるランカークスを訪れます。

そこで出会った名工ロン・ベルクの手によってダイの剣の制作が始まるのですが、一方で世界会議が行われるパプニカに魔王軍が攻め込んできます。

剣が出来上がるまでは動けないダイを残し、他の仲間たちはパプニカの防衛戦に参加します。

本作の見所

ポップの生まれ故郷

ポップにも両親がいて、生まれ故郷があるのは当然のことと言えば当然のこと。

しかし、ポップは最初からアバンについてきていたわけで、なんとなくアバンが保護者というイメージが強かったから、今回のエピソードで向かうランカークスがポップの生まれ故郷だと聞いて最初驚いた記憶があります。

「・・おれさ・・アバン先生の弟子になりたくて家出して押しかけ弟子になっていまったんだ。だから・・ヤベえんだよな・・うっかり親父にでも出会っちまったら・・殺されちまうよ!!」

とまあ、どうやらポップは家出少年だったようですね。

ダイの父親、すなわちバランのことを理知的と称するほど怖がっていますが、まぁさすがに怒ってこそいたものの普通のお父さんという感じのキャラクターでした。

最初は自分の村に近付くことすら嫌がっていたポップも、自身の両親にいざ再会した後は嬉しそうにしているのが素敵なエピソードです。

「特別強力な武器をほしがる客のために特注で作ってるのさ。森に住んでるロンっていう奴にたのんで・・」

そして、そんなポップの武器屋でもある父親からダイの武器に関する重要な情報がもたらされます。

なんとポップの父親、ヒュンケルの鎧の魔剣の制作者であるロン・ベルクと知り合いだったようです。

競り負けたとはいえバランの真魔剛竜剣を折ってしまった鎧の魔剣の制作者となれば、ダイの武器の手がかりとして最大級。

まさかポップの生まれ故郷でこういう展開になるとは驚きですね。

ダイの剣

伝説の名工。そんな触れ込みのロン・ベルクですが、こういう鍛冶師って職業のキャラクターは漏れなく少々気難しいところがあるけど、気に入った奴には全力で武器を作ろうとする点が共通していますね。(笑)

ロン・ベルクもまた同じでした。

「・・だからよ。早く帰ったほうがいい。あのジャンクの店の剣でも売ってもらえ。並みの人間にはちょうどいい武器だよ・・」

自分はもう二度と気合を入れた武器を作ることは無いのだと、最初ロン・ベルクはそう言っていました。

隠居してしまっているというか、そんな感じです。

しかし・・

「同じ材質でオレがおまえのために作れば・・断言しよう。必ず真魔剛竜剣に勝てる!!!!」

ダイが自身の打った鎧の魔剣で真魔剛竜剣を折ったと知って、ロン・ベルクのテンション急上昇!(笑)

渋い隠居人って感じだったのに「おまえそんな感じでテンション上がるキャラなのかよ!」ってツッコミたくなるくらい一気にやる気に満ち溢れます。

とにかくこれで、長らく問題になっていたダイの武器問題に解決の目途が立ったわけですね。

巨大魔城

個人的には大きさで強さを強調するようなキャラクターは敵にしろ味方にしろ実のところあまり好きではなかったりします。

もっとスマートな感じの強さの方が好みというか、そんな感じです。

簡単に言えば、子供向けの特撮の巨大ロボットとかの良さが分からないんですよね。

巨大な怪獣と巨大なヒーローが戦うというのが、何だか安易に思えてしまうからです。

しかし、この巨大魔城との戦闘はダイの新しい武器の威力を象徴するのに最適なエピソードだったのではないかと思います。

何だかんだ強くなってきているダイの仲間たちが、巨大すぎる敵にさすがに苦戦しまくるわけですが、それを一刀両断することで長らく続いたダイの武器探しのエピソードがようやく決着したというような気がします。

ミストバーンの秘密

ミストバーンは六大軍団の軍団長の中でも一番謎めいているキャラクターで、若干ネタバレすると『ダイの大冒険』の中でもかなり重要な秘密を抱えています。

そして、かなり重要な秘密がありそうだということが分かるところまでは10巻で明らかになります。

「ミ・・ミストバーンに・・!!? ・・人の顔がっ・・!!?」

初めて読んだ時にメッチャ「そりゃあるだろ!」ってツッコミたくなったヒュンケルのセリフですが、確かにいつもフードを被っていてミストバーンの顔は見えませんね。

そして、ほとんど声を発することのないという触れ込みのキャラクターであるミストバーンですが、顔を見られてからは激高してかなり饒舌になります。

そうとうな秘密がありそうなことが窺えますが、作品の終盤には完全にフードを取って素顔を見せるミストバーンが見られます。

総括

いかがでしたでしょうか?

勇者ダイが、いよいよ勇者らしくなってきましたね。

こういう冒険ファンタジーの作品において主人公は、他の誰よりもどんどん成長していくものですが、雰囲気や性格の変化は少ないものです。

しかし、『ダイの大冒険』のダイの場合は随分と雰囲気が変化していくような気がします。10巻時点の勇者らしいダイと、1巻の無邪気な子供らしいダイとではハッキリ別人のように感じられますね。

とはいえ根本のところは最後まで変わらない。

それがダイというキャラクターの魅力ですよね。

しかし、キルバーンを追って死の大地までやってきたポップがどうするのかが気になりますね。(次巻のレビューはこちら)