あるいは 迷った 困った

漫画、ラノベ、映画、アニメ、囲碁など、好きなものを紹介する雑記ブログです。

『水曜日のトリップランチ(2)』女子力低めの年上女子が可愛らしい漫画(ネタバレ含む感想)

 

水曜日のトリップランチの2巻目!

1巻を読んだ時はまだグルメ漫画の括りだと思って読んでいましたが、どちらかと言えばラブコメの色が強い作品であることが分かってきました。

考えてみれば、二人でランチといえば恋人同士になる前のデートの基本。そういう意味では仕事とはいえ結果的に週一で一緒にランチをしている岸田君と十和博士って、何度もデートを重ねているようなものなのかもしれません。

1巻の時から感じていた微笑ましい雰囲気の理由は、二人にそのつもりがないのに結果的にデートのようになっていたからなのかもしれませんね。

十和博士は1巻のラストで、岸田君に対して意味深な興味を示していました。

その興味はまるで研究対象に対するようなもので、恋愛的な意味合いだったのか否かは判然としません。

そして、この十和博士の興味の意味の答えがこの2巻で明らかになっています。

?

本作の概要

毎週水曜日に十和博士のためにランチを作るのが岸田君の仕事のひとつ。

そんな仕事で十和博士に接する内に、岸田君は十和博士のことを女性として意識するようになっていきますが、年上なのに十和博士はその辺がにぶめの女性です。

かなり露骨なアプローチにも気付くことがありませんでしたが、徐々に二人の関係はタイトル通りの水曜日のランチだけのものから進展していきます。

本作の見所

岸田君のアプローチ

人が人に惹かれる理由は様々ですが、何より重要なのが実際に何度も顔を合わせること、会話すること、共通点があることですよね。

現実にも、恐らくプライベート時であれば接点も仲良くなりそうな要素もなにもない人でも、仕事という共通点があって毎日のように顔を合わせていたら仲良くなるものです。

そして、これはもちろん恋愛的な仲の良さに限った話ではありません。

そういう意味で岸田君と十和博士が毎週水曜日に顔を合わせることは既に生活の一部になっています。仕事とはいえ、仕事って生活の一部のようなものですからね。

どうやら初めて岸田君が十和博士の部屋を訪れた時には、決して友好な関係でも無かったようです。

岸田君はズボラで人間的な生活をしていない十和博士に呆れていましたし、その十和博士も口うるさい岸田君には辟易としているようでした。

これは、恐らくプライベートな関係で出会っていたらうまくいかない二人だったのではないかと推測します。とにかく相性が良くなさそう!

しかし、いくら第一印象が悪くても何度も顔を合わせていたら相手の良いところも見えてくるもので、それ以上に親近感も湧いてくるものです。

もの凄く相性が良さそうな赤の他人と、馬の合わない腐れ縁。どちらと親密かと聞かれたら後者を上げる人が多いのではないでしょうか?

というわけで前置きが長くなりましたが、とにかく毎週顔を合わせていることから徐々に十和博士のことを女性として意識し始めた岸田君が、この2巻ではかなり積極的にアプローチしようとしていて、その辺と十和博士の反応が2巻の見所のひとつになっていると思います。

こういう場合、アプローチしたい相手が恋愛ごとに疎そうだとかなりやり辛そうな気もしますが、十和博士はあからさまに疎そうなので岸田君もやり辛そうです。

そしてついに岸田君は二人きりで出かける提案を十和博士にメールするのですが、喜んでるでも戸惑っているでも照れているでもない、何というか不意打ちされて驚いているような十和博士の反応が可愛らしいと思います。

しかし、十和博士が忙しくなってしまいその誘いがともすればあやふやになってしまいそうな状況になってしまうのですが・・

「ふたりでどっか行きたいとは思ってるからね。ちゃんと覚えてるから!! それだけは言っておこうと思って・・」

正直なところこの時点の十和博士の真意は割と謎なのですが、こんなこと言われたら岸田君嬉しいでしょうね。

年末の大掃除

仕事納め。十和博士の部屋も年末の大掃除しようとする岸田君ですが、十和博士の方はあからさまに掃除苦手そうですよね。

メッチャ嫌そうですが岸田君の言うことは聞くあたり、親密度は高そうな気がします。

しかし、断捨離しようとして興味持ったものを触って手が止まってしまうのはあるあるですよね。

それにしても、1巻で岸田君が十和博士の行動を読んであちこちに張り付けていた付箋メモを「いる」ものとして自然に処分しなかったのは素敵に感じました。

そして、そんな年末の大掃除を終えて、気が緩んでリラックスしている状態の時に岸田君はついに十和博士をデートに誘ってしまいます。

デート

「みーんなデートって言うな」

スカイプ飲みしている友人や、道を聞いてきたおばさんに岸田君との初詣をデートだと言われることに疑問を感じている十和博士。

いい大人が男女で二人でプライベートに出掛けたら、恋人同士でなくてもそりゃあデートだろうと思うのですが、十和博士は何というか少年っぽさのある女性という感じのキャラクターですし、デートがイコール恋人同士でするものという思い込みがあるのかもしれませんね。

僕も昔デートってそういうものだと思っていましたし。(笑)

しかし、岸田君が着物姿が素敵だって誉めても反応が薄かったり、水曜以外も会いたいって露骨なアプローチをしても、恋愛的な意味で捉えられているのか微妙な反応をされたり、ここまで察しの悪い女性を好きになってしまった岸田君は大変ですね。

年下ならまだしも十和博士は年上ですし、僕ならさすがに「察せよ!」って思ってしまいます。

「ぼ、僕の会いたいって気持ちは、恋からきてるものなんですが・・。とわさんはどうなんでしょうか?」

そして、岸田君がここまで言って初めて十和博士は察します。

「・・そっか、私も同じだった!」

「そっか」という言葉から、何かしら感じるものはあったにしてもそれが恋なのかどうかが分かっていなかったということが窺えます。

2巻では、傍目からは明らかに岸田君に恋愛的な意味で興味を示していることが明らかなのに、自分でそれに気付いていない十和博士が描かれていて、それが見所のひとつになっていると思います。

総括

いかがでしたでしょうか?

十和博士はラブコメ・・なのかグルメ漫画なのかは微妙なところですが、いずれにしても漫画のヒロインとしては、かなり女子力低めなキャラクターです。

主人公の岸田君よりも年上なのに、ズボラでだらしが無くて。研究者としては優秀だけどその分女子力を犠牲にしているようなところがありますね。(笑)

しかし、代わりに無邪気な少年のようなキャラクター性を備えていて・・

いや、女子力が低いのではなくまさに無邪気な少年そのものという感じのキャラクターなのだと思います。

単に女子力が低いだけでは魅力的なヒロインになかなかなり得ないかもしれませんが、代わりとなるキャラクター性のおかげでギャップが生まれ、どこか愛嬌のあるキャラクターになっている。

それが十和博士なのだと思います。

十和博士と岸田君の雰囲気が素敵すぎる漫画。早く続きが読みたいです!