あるいは 迷った 困った

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『ダイの大冒険(12)』原作ゲームにまで影響を及ぼす名作の感想(ネタバレ注意)

 

北の勇者の当て馬感が凄い12巻です。(前巻のレビューはこちら )

12巻のメインは11巻で登場したハドラー親衛騎団との戦闘となります。

死の大地へ移動するための巨大船を建設している漁港サババがハドラー親衛騎団に襲われるところから始まるエピソードですが、新たな強敵に大苦戦しつつもポップのメドローアも実践お目見えとなり、大きな見所になっています。

また、久しぶりに登場するバランにも注目ですね。

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本作の概要

それぞれの修行を終えたダイたちは、しかし死の大地へとつながる漁港サババを襲撃したハドラー親衛騎団に大苦戦します。

新たな強敵が続々と登場してくる中、ダイの父親である竜の騎士バランも再登場し、物語が徐々に盛り上がっていきます。

本作の見所

北の勇者

初めて読んだ時も、ちょっと浮いた存在に感じられたのが北の勇者。

自ら勇者を名乗るだけあって、その風貌は確かに子供であるダイ以上に勇者らしいし、名前も新星を意味するノヴァと超格好良い。

それでいて最初から「ああコイツ当て馬なんだろうなぁ」と一瞬で理解できる言動。まだまだ物語のお約束的なことを知らなかった頃の僕ですら分かったくらいに分かりやすい。(笑)

恐らく、もっと昔の時点のダイたちよりは強いのだと思います。

しかし、ハドラー親衛騎団からも相手にされず、ストーリー漫画特有の徐々に戦いのレベルが上がっていく流れの中で既にかなりレベルが上がってしまっているので、力量のわりに活躍することもできず、なかなかに可哀そうなキャラクターかもしれません。

そういうキャラクターが登場すること自体は結構あるあるな気もしますが、『ダイの大冒険』においては珍しいかもしれませんね。

力の差を思い知った戦闘後も、言い方はアレですが惨めさに浸っていたようなところもあるのですが、それすらマァムに怒られて許されず、踏んだり蹴ったりなのによくよく考えると少なくとも今回のエピソードでは必須で必要だったわけでもないキャラクターだというのが面白いです。

ハドラー親衛騎団

12巻はまさにハドラー親衛騎団一色の内容でした。

もしこの漫画がカラーなら金色一色になったことでしょう。(笑)

「おそらくヤツは兵士(ポーン)のはず・・!! あんな最弱の駒をダイにぶつけてくいとめられるとでも思ってるのか?」

ハドラー親衛騎団の面白いところは、チェスの駒になぞらえたキャラクターなので最初はクイーンであるアルビナスが最強なのかと思いきや必ずしもそうではないところ。

アルビナスも言及している通り、チェスの駒にあるのは能力の違いだけで上下関係では無いはずで、あるのはその時々の状況における有効性の違いのみのはず。

実際、後々もっとも活躍することになるのは兵士(ポーン)のヒムだったように覚えています。

上下関係では無く駒の個性で描いているようなハドラー親衛騎団。なかなか面白い設定のキャラクターだと思いました。

メドローア実践投入

オリハルコンの戦士であるハドラー親衛騎団には、一応ダイたちの攻撃は通用するようですがなかなか倒しきるのには苦労するようです。

そんな中、ポップのメドローアがいよいよ実践投入となります。

ルックのブロックが身を挺して他のハドラー親衛騎団を守らなければ、これで勝負は付いていたと思われるほどの威力。

技を放った後の勝利を確信したポップのたたずまいが過去最大で格好良いですね。

しかし、これはオリハルコンの戦士でもただでは済まないというメドローアの威力を示すのと同時に、ハドラー親衛騎団のチームワークの良さを示す結果にもなりました。

チウの活躍

ダイの大冒険』においては、ダイやヒュンケルのように強く戦いの才能もあるキャラクターだけではなく、ポップを筆頭とするどちらかといえば弱いところもあるけど成長して強くなるタイプのキャラクターが目立つ節があります。

それは弱いところからレベルアップしていくドラゴンクエストらしい部分でもあるかもしれませんし、読者視点で感情移入しやすい意味もあるのだと思います。

そして、12巻ではそういった類のキャラクターが活躍している印象が強いのも特徴でした。

ポップのメドローアもそうですが、チウもまた良い感じの活躍をしています。

まさかの大魔王バーンの居城の発見。

その後、ハドラー親衛騎団のシグマに見つかってしまいかなり分の悪い戦闘を強いられることになるのですが、必死で自分の部下にした魔物を守ろうとする姿はとても格好良いです。

決して強くはないし、最初はどこか口だけネズミの印象があったチウですが、この辺でどうやら口だけではないらしいことが明らかになったような気がします。

バラン再登場

さて、今回チウは格好良かったのですが、さすがに相手が悪すぎて大ピンチを迎えていました。

そして、そんなチウを助けたのは意外な人物でした。

同じく弱さのあるキャラクターであるポップなのか?

それとも定番に勇者ダイなのか?

シグマのやり方が割と残酷だったので、ハドラー親衛騎団の誰かやハドラーという可能性も考えたりしました。

しかし、そのどれでもなく何とチウを助けたのは久々登場のバランでした。

ダイとの死闘の後、何かしら心境の変化があったのであろうことは想像に難くないところですが、そんな変化がヒュンケルに見透かされるほど強く表れているのが印象的でした。

総括

いかがでしたでしょうか?

どうやら死の大地へと踏み入る人間の選別だったらしいハドラー親衛騎団の襲撃でしたが、ほとんど壊滅状態にある六大軍団に変わる新たな強敵という感じですね。

昔読んだ時、オリハルコン制の戦士というキャラクターがデザイン的にも設定的にも子供心に安易に感じてしまった覚えがあるのですが、この戦士たちが今後しばらく物語を盛り上げていくことになりますし、特にポーンのヒムなんかはなかなかに愛着のあるキャラクターになってくるから不思議です。(次巻のレビューはこちら)