あるいは 迷った 困った

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『ダイの大冒険(13)』原作ゲームにまで影響を及ぼす名作の感想(ネタバレ注意)

 

作中屈指のタッグ戦が見所の13巻です。(前巻のレビューはこちら )

少年漫画あるあるの敵が味方になる展開がとても多い『ダイの大冒険』ですが、今回のバランが味方になる展開が個人的には一番好きです。

ダイとバランの親子タッグは大きな見所ですし、それが見所になるほど相対するハドラーが強くなっているのも熱い展開です。

熱いだけではなく、強敵ハドラーがちょっと可哀そうな感じになっているのも特徴的で、この辺からだんだんとハドラーというキャラクターの魅力が増してくるのも今後の大きな見所なのではないかと思います。

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本作の概要

ヒュンケルの体を張った説得の力も働いて、一時バランが仲間になることになりました。

竜の騎士2人のタッグで魔宮の門に挑み、そしてバーン打倒を目指す。

とても強力なタッグですが、すれ違いのあった親子特有のギクシャクとした感じがぬぐえない所が微笑ましくもあるエピソードです。

何だか憎めない感じになってきたハドラーにも注目です。

本作の見所

ちょくちょく目が優しいバラン

8巻でのダイとの戦闘後に見せた優し気な父親の目をしたバランですが、この13巻ではかなり頻繁にそういう目を見せているのが印象的でした。

最初の出会いが出会いだっただけに、むしろダイの方がバランに対して警戒心を抱いている雰囲気に感じられましたが、それが反抗期の子供のようにも見えて微笑ましくも感じられました。

「黙りこくっていても戦場で困るだけだぞ。いい加減何か口をきけ・・」

このバランのセリフなんて、まさに父親のセリフって感じですよね。

ダイの母親ソアラについて語る目もまた優しい。

あとはダイが赤ん坊の頃の回想が少し描かれているのですが、今の貫禄あるバランとは違う幼い赤ん坊のダイ(ディーノ)を可愛がる普通の父親の姿で、そのギャップが素敵だなぁと感じました。

完全にムードメーカーのポップ

先頭前のマァムとの夫婦漫才。

「絶対に・・みんなで生きて帰ろうな・・!」

仲間たちを奮い立たせる言葉。

「・・もう負けねえっ!! 安心してつっ立ってろよ!!」

重症のヒュンケルがやってきた時には、使い物にならないからつっ立ってろと最初憎まれ口のように言っていましたが、その本心は頼りになる兄貴分が後ろに立っているだけで勇気をくれるというもの。

頼りにしていると言いつつ自分が頑張ろうとしている姿に、もはや初期のポップの面影はありませんね。

随分と格好良く成長したものだと思います。

ダイとバランのタッグ戦

竜の騎士といえば、作品の序盤から主人公ダイの強さの象徴でもあった紋章の秘密の答えだったこともあり、『ダイの大冒険』という作品における強さの象徴でもあったのではないかと思います。

それだけに、そんな竜の騎士であるダイとバランがタッグを組んで戦うという展開はとても激熱に感じられました。

また、この組み合わせだからこそのやり取りも面白い。

バランの時折見せる父親らしい表情もそうですが、ダイもまた他の仲間とも敵に対してとも、はたまた道すがら出会ったモブに対してとも違った態度を見せているのも興味深いですよね。

竜の騎士の力を過信しすぎているところのあるバランに体を張って相手の強さを教えるダイなど、一見相性が悪そうなのに独特なチームワークを発揮しているのが素敵に感じられます。

ちょっと可哀そうなハドラー

さて、ダイとバランのタッグと聞けばここまで『ダイの大冒険』を読んできた読者としてはあまりにも最強コンビに感じられ、どんな敵が現れても何とでもしてしまう空気がありました。

苦戦する展開があるとすれば、未だ謎めいたところのあるミストバーンキルバーン。それか最後の大ボスとなるバーン。名前にバーンが入った三人くらいのものだと思っていたものですが、今回このコンビに相対するのはハドラー単騎となります。

超魔生物に改造されたことでダイを圧倒するほど強くなったとはいえ、ダイとバランのコンビに勝てるほど強くなったとは思えません。

しかし、強さそのものより精神的な成長の方が大きそうな気がするのがハドラーというキャラクターです。一人で登場した時点でダイとバランが苦戦するのは見えていました。

なのですが・・

可哀そうなことにハドラーには黒の核晶という爆弾がバーンによって仕掛けられていました。

そのことで、そもそもダイとバランは積極的にハドラーを攻撃できなくなってしまいます。

何故か消極的な二人に違和感を覚えつつも念願の戦いに身を置くハドラーでしたが、超魔生物に変化してまで身に付けた力を発揮するのに本気の二人を相手取りたかったはずだろうに、これは少し可哀そうな気もしますね。

ミストバーンの素顔

実はミストバーンが素顔を見せるのはもっと終盤だと記憶違いをしていましが、ここで登場していたのですね。

このミストバーンの素顔について語りすぎると、かなり終盤のネタバレになってしまうのでここでは言及を避けますが一つだけ。

「バーン自らが真近に来て魔法力を与えでもしないかぎりはっ・・!! まっ・・まさかっ・・!!!?」

黒の核晶を抑え込んでいるバランの竜闘気を突き破って、黒の核晶を作動させたミストバーンに対するバランのセリフが、大きな伏線になっているということだけは確かです。

総括

いかがでしたでしょうか?

単行本ではなく文庫版ですが、絶妙なタイミングで一冊を終わらせてくれますね。

黒の核晶の爆発で、ダイ、バラン、ハドラーの三人はどうなってしまったのか?

そして、未だ座したままのバーンは?

なかなか続きが気になるところですね。(次巻のレビューはこちら)