『ダイの大冒険(16)』原作ゲームにまで影響を及ぼす名作の感想(ネタバレ注意)
ハドラーたちとアバンの使途の先頭が見所の16巻です。(前巻のレビューはこちら )
超魔生物になったことで先の長くないことを悟るハドラーが望むのはダイとの一騎打ちで、それをお膳立てするように始まるハドラー親衛騎団とアバンの使途たちとの戦闘が始まります。
既にハドラー親衛騎団がかなりの実力者揃いであることは周知の事実ですが、ポップやマァムがそれに単騎で相対する展開が激熱です。
また、前巻から問題になっていたミナカトールの発動問題の結果、果たしてポップが魂の力を発揮することができるのかも見所です。
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本作の概要
ダイ、まさかの土中からの登場。(笑)
それでヒュンケルとクロコダインを救出し、アバンの使途の5人でついにミナカトールを完成させ、大魔宮に再び乗り込みます。
しかし、そこに待ち受けていたのはハドラーとその親衛騎団たち。
超魔生物に進化して後の無いハドラーはダイとの一騎打ちを望み、ダイはそれに応えようとします。
本作の見所
ロン・ベルクが格好良い
ロン・ベルクといえば、ダイの剣を打った凄腕の鍛冶師で渋くて格好良いキャラクターだとは思っていましたけど、16巻における格好良さはまた格別でしたね。
過去の大魔王バーンとのやり取り、顔の十字キズがミストバーンによって付けられたことも明らかになりますが、あえて甘んじて受けたシーンが渋くて格好良いです。
そして、アバンの使途たちがミナカトールのため戦闘に参加できないさなかミストバーンを相手取ってハイレベルな戦闘を繰り広げます。
アバンの使途は最年長のヒュンケルも含めてかなり若いので、渋い大人の格好良さがあるキャラクターは実は少ないので、そういう意味ではロン・ベルクの渋さのある格好良さは『ダイの大冒険』においては新鮮だなぁと感じました。
ポップの魂の力
16巻の最大の見所はなんといってもハドラーとダイの一騎打ち・・だとは思うのですけど、個人的にはポップがミナカトールでアバンのしるしを光らせるシーンを推したいです。
他の4人のアバンの使途はすんなりとアバンのしるしを光らせたのに、ポップだけはなかなか光らせることはできません。
「こっ・・このままおれが逃げ出しちまえば、おまえらだってこの場にいつづけたりゃあしねえだろう?」
そして、ついにポップはその場から逃げ出してしまうのですが・・
その隙をついてのポップを狙ったザボエラの攻撃から、なんとメルルがポップを庇って犠牲になってしまいます。
しかし、メルルの見せた勇気に触れてポップは勇気を得ます。
そして、ポップは勇気の魂の力を以ってアバンのしるしを光らせることができました。
賢者になってメルルを回復し、再びミナカトールに挑みます。
「・・この・・"勇気"の光は・・メルルのもんだ・・! おれなんかより彼女のほうが何倍も勇敢だったっ・・!!」
15巻のレビューでも語りましたが、勇気の魂の力を持つのがダイではなくポップであることが、ポップというキャラクターの特性をよく表しているような気がします。
弱さがあるからこそ勇敢な行動には勇気が必要なのだと、そう思わされますね。
ハドラーとダイの一騎打ち
「ハドラーはきっともう助からないんだ。ダメージがたちまち治るはずの超魔生物なのに傷がそのままだ・・」
大魔宮に乗り込んだ後に待ち受けていたのはハドラーですが、ダイたちからすれば手段を選んでいる場合でもないハズの状況です。
もう先は長くないハドラーが最後の一騎打ちの相手にダイを選んだからといって、素直にそれに従う必要は無かったはずなのですが、ダイが一緒に協力して戦おうというレオナを制止してハドラーの一騎打ちに応じるところが熱いですね。
「・・もう・・!! いつの間にこんな大人っぽい顔するようになったのよ! コイツったら・・!!」
そんな場合じゃないだろうと思いつつ、ちょっと大人っぽい表情を見せたダイを見守る感じのレオナが珍しくメインヒロインをしていました。(笑)
アバンの使途とハドラー親衛騎団
意外と他のアバンの使途に比べて戦闘シーンの少ないマァムですが、16巻ではハドラー親衛騎団の中でも唯一の女性的なフォルムのアルビナスと相対します。
相手の力を利用するようなトリッキーな方法で相手の動きを制限し、それで勝利する戦い方がとても格好良いです。
それにポップと、メドローアを跳ね返す手段を持つシグマの戦闘もまた面白い。
ポップの立場からすればメドローアを当てれば勝ち、シグマの立場からすればメドローアさえ食らわなければほぼ勝ちという分かりやすい構図の戦闘ですが、メドローアを当てるための駆け引きが、力と力のぶつかり合いだけではない戦闘という感じで面白いんですよね。
メドローアに似せたベギラマを全力を以ってシグマに当てようと命中させようとし、しかし外して自分に当たってしまったように見せかけ、その上で本物のメドローアを油断したシグマに命中させるという化かし合い。
『ダイの大冒険』においてはこの手の化かし合いのような戦闘は少ないので、とても新鮮に感じられます。
総括
いかがでしたでしょうか?
ポップが物語の中で急成長していく格好良いキャラクターであることは当然覚えていましたが、16巻のポップは本当に格好良いですね。
逃げ腰なところも目立つキャラクターなので、ここまで格好良かったかと不思議に感じてしまいます。(笑)
ハドラー親衛騎団との戦いは次々と決着していきますが、そろそろダイとハドラーの一騎打ちの決着も気になるところですね。(次巻のレビューはこちら)