あるいは 迷った 困った

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『ダイの大冒険(17)』原作ゲームにまで影響を及ぼす名作の感想(ネタバレ注意)

 

まさかのアバン再登場に沸く17巻です。(前巻のレビューはこちら )

ダイやポップ、アバンの使途たちの冒険のモチベーションにアバンの死が関わっていたのは間違いないと思います。

・・どころか、アバンの死は敵であるハドラーにすら影響を及ぼしていたのではないかと17巻におけるハドラーを見ていたら思わされますね。

そんなアバンが実はずっと生きていて、最終決戦を前に再登場するという展開。

ダイの大冒険』の中にも当然いくらかの驚きの展開というものはあったと思いますが、意表を突かれたという意味ではこのアバンの再登場こそが作中最大の驚きだったのではないかと思います。

また、死ぬ前にここぞとばかりに好感度を上げにかかるハドラーにも注目ですね。

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本作の概要

ダイとハドラーの異次元の死闘についに決着が着きます。

ノヴァとの訓練の中で編み出した新必殺技アバンストラッシュⅩは、しかしハドラーを完全に倒しきるには至らず、土壇場でダイの剣の鞘を利用して編み出した更なる新必殺技ギガストラッシュでついに決着しました。

宿敵同士の戦いですが、互いに理解が深まっていくような展開が見所です。

その結末はキルバーンによって水を差されダイたちはピンチに陥りますが、それを助けたのがまさかのハドラーで読者に驚きを与え・・その後アバンを再登場させ更に驚かせるという熱い展開。

アバンの腕に抱かれてハドラーが砕けるところはかなりの名シーンになってます。

本作の見所

ダイとハドラーの一騎打ちの決着

17巻の・・というか作品全体を通しても指折りの見所となる戦闘シーンですね。

思えば、勇者アバンに討伐されたかつての魔王として登場し、当時のダイたちには敵うわけもない強敵ではありましたが、ダイが竜の騎士であると知って以降は怯え続ける強者という小物っぽさもあるキャラクターでした。

それがプライドを捨て超魔生物になったことで、単純な戦闘力とは異なる別種の強さも備え付けたハドラー。

なんというか、ずっと敵なのにアバンの使途たちの成長に合わせて一緒に成長していくようなところもあったからか、どことなく親近感も芽生えてきますね。

ダイもそう感じていたからこそ、ハドラーとの一騎打ちに応じたのでしょう。ただただ超魔生物に身を落として強くなった「だけ」のハドラーであれば、ダイもここで一騎打ちに応じたりはしなかったのではないでしょうか?

ノヴァとの訓練の中で編み出した新必殺技アバンストラッシュⅩですら倒しきれないハドラーとの激闘に、それでも勝利したのはダイでした。

師匠であるアバンの必殺技であるアバンストラッシュ。

父親であるバランの必殺技であるギガブレイク

その二つを掛け合わせたかのような、ギガストラッシュを土壇場で編み出して決着を付ける展開が激熱ですね。

アバンの使途を助けるハドラー

「・・最期に・・せめてオレを倒したその腕にふれさせてくれ・・。オレの、この身体が灰となって朽ちてしまう前に・・!!」

ずっと敵同士で、卑劣な戦い方をしていた時期もあったハドラーですが、この最後の決着はとても綺麗なものでした・・が、それに水を差すように現れたのがキルバーンです。

死ぬ直前のハドラーに死闘の後で動けないダイをキルバーンの炎のトラップが襲い、咄嗟に飛び込んで炎を抑え込んだポップもまとめて焼き尽くそうとします。

しかし、ポップは炎を抑え込むのが精いっぱいだし、外からこのトラップを破ることもできません。

そんな大ピンチの中諦めそうになるポップを・・

「最後の最後まで絶望しない強い心こそがアバンの使途の最大の武器ではなかったのかっ!!」

叱咤したのはまさかのハドラー。

そして、その後ポップがメドローアを打つ隙を作るために自らが身体を張ります。

死ぬ直前とはいえ、最後の最後にハドラーがアバンの使途を助ける展開が激熱で、ハドラーが今までで一番輝いています。

「・・悪りィ・・あんたに・・見とれちまった・・」

そんなハドラーに、死地で見とれてしまったポップはキルバーンのトラップから抜け出すことに失敗してしまいます。

しかし、それはそれとしてとても素敵な展開だと思いました。

アバンの再登場

さて、これでハドラーもポップも燃え尽きてしまったのかといえばそうではありません。

「・・困りますよポップ。勝手に”あの世”なんかに行かれちゃ・・。・・そんな所へ行っても・・私はいません・・!」

アバン先生のいる"あの世"へと生を諦めたポップにそう声を掛けながら、助けに現れたのはまさかのアバンでした。

一番最初に死んだはずの主人公の師匠。

そんなキャラクターの再登場は、作中でももしかしたら最大の驚きかもしれませんね。

「おまえたち人間の神というのも・・中々粋なやつのようだぞ・・。・・オレの・・生命とひきかえに・・。オレがかつて奪った大切な者を・・おまえたちに返してくれた・・」

アバンと戦った時とは別人のハドラーは、宿敵アバンの弟子たちを称え、最期にアバンの腕の中で死んでいきました。

確かに、考えてみればアバン再登場のタイミングがこれ以上ないくらいに運命的でしたね。

総括

いかがでしたでしょうか?

実は今までアバンが修行していただけでずっと生きていたという展開は驚きでしたが、最終決戦を前にとても心強いと感じさせられる展開ですよね。

ダイをはじめとするアバンの使途たちは強くなりましたし、わざと反感を買うためにヒュンケルが言ったことは、しかし純然たる事実でもあったと思います。

とはいえ、教え導く立場の人間ってその実力云々とは無関係に心強いものですし、どうやら早い段階からダイたちと肩を並べて戦う資格が自分には無いと感じていたらしいアバンが再登場したことの意味。つまりは肩を並べて戦う資格を得たとアバン自身が思っていることに他なりません。

アバンの使途もですが、今後はアバンの活躍にも注目できそうですね。(次巻のレビューはこちら)