『ダイの大冒険(19)』原作ゲームにまで影響を及ぼす名作の感想(ネタバレ注意)
双竜紋が格好良すぎる19巻です。(前巻のレビューはこちら )
ハドラーとの一騎打ちの後しばらくは他のキャラクターの活躍が目立っていて、それはそれで読んでいて面白いしキャラクターも魅力的なのですけど、やっぱり主人公らしい主人公のダイは格好良いなぁと思わされる内容になっています。
その前に明らかに雑魚っぽい敵であるゴロアに苦戦する展開にはちょっと笑いましたが。(笑)
いずれにしても、いよいよ最終章が盛り上がり始めたという感じで読んでいてとても楽しい展開になってきました。
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本作の概要
勇者であるダイを先に進ませることが自分たちの役目である。
レオナを通したアバンの宣言に、ミストバーンやキルバーンを仲間たちに任せることに後ろ髪を引かれながらもダイはレオナを伴い大魔王バーンの元を目指します。
途中、大魔宮の動力部の暴走に巻き込まれ、それを止めるのをゴロアに邪魔されますが、そのハプニングが大魔王バーンとの戦いを前にしたダイに双竜紋という新たな力をもたらします。
そして、いよいよ大魔王バーンとの再戦が始まります。
本作の見所
勇者ダイを先に行かせるために
目の前でアバンをキルバーンに連れ去られ、助け出すための情報を握っているように振舞うミストバーンと戦おうとするダイ。これは自然な行動のように見えますが、ある意味では大魔王バーンを打倒するという最大の目的を大局的に捉えた場合には悪手となります。
だからレオナはダイを止めようとするのですが・・
「・・レオナ・・冷たいわ・・!」
マァムやポップ他のアバンの使途たちは師匠であるアバンを見捨てることなどできずに・・いや、どちらかといえば師匠を助けようとするダイを止めることそのものを「冷たい」と指摘します。
しかし、それを分かった上でレオナは宣言します。
「地上の正義と・・! 偉大なる勇者アバンの名の下に・・!! 今こそみんなにこの王女レオナが命じます!! ”すべての戦いを勇者のためにせよ・・!!!”」
最後のアバンの使途でアバンとの関りが最も薄いということもあるかもしれませんが、元より王女として大局的な判断が求められる立場にいたレオナだからこそ、アバンは自身の言葉をレオナに託していました。
即ち、ダイを大魔王バーンの元に極力ダメージを負わせずにたどり着かせることが他の者の役割であり、アバン自身もその目的のために戦っているのだから、その意思を組むならダイは前に進むべきだと言っているわけですね。
そして、少しばかり後ろ髪を引かれながらも前に進もうとします。
いやはや、レオナも随分と格好良くなってきましたね。(笑)
そういえば、この『ダイの大冒険』全巻レビューシリーズの最初の方に僕は、レオナのことを目立たないメインヒロインだと言及していたと思います。
それは昔読んでいた時に確かに感じたことではあるのですが、こうしてレビューを書くために読み直していると、意外と要所要所で活躍していることが分かります。
たぶん、他のアバンの使途に比べるとバトル的な意味で目立っていなかったので子供の頃の僕には地味に感じられたのだと思いますけど、いやいや実はそうではない強さがあるキャラクターなのだと今になって気付かされました。
ダイ vs 大魔王バーン
『ダイの大冒険』において主人公ダイにある特別が何かといえば、それは最初から竜の騎士の紋章だったと思います。
それが何なのかが明らかではなかった頃から、ダイのトレードマークでしたよね。
そして、バランの登場によって竜の紋章の正体が明らかになったあたりから、トレードマークではあってもこれ以上この竜の紋章が話題の中心になることはないと思っていましたが・・
まさか、ゴロアという今となっては雑魚っぽい敵にまさかの苦戦をすることによって、バランから受け継いだもう一つの竜の紋章が発動するという熱い展開になりました。
これは、確かに大魔王バーンと戦う前に必要なイベントだったような気がします。
以前大魔王バーンと戦った後にも新必殺技を身に付けたりと成長を見せているダイではありますが、一方で大魔王バーンに及ぶほどの急激な成長を見せていたかといえば違うような気がするので、一大決戦の前に分かりやすい形でパワーアップしたのは面白い展開だと思います。
そして、実際に大魔王バーンをして五分であると認めるほどの戦いをダイは見せます。大魔王バーンはそんなダイを前に、倒すのではなく部下にならないかと誘いを掛けます。まあ、当然ダイはその誘いには乗らないのですが、そんな風に大魔王バーンに思わせるほどに成長したダイの戦いがとても格好良いです。
総括
いかがでしたでしょうか?
最初の邂逅では神のごとき圧倒的な強さを見せつけた大魔王バーンですが、父親であるバランの竜の紋章を受け継いだダイはそんな大魔王バーンをして同格扱いされるほどに成長しました。
まあ、ネタバレするとこの大魔王バーンはまだ本領ではないのですけど、というかミストバーンやキルバーンが残っている状況で大魔王バーンとの決着が着くわけがないのでメタ的に分かる部分でもありますけど、個人的にはこのシーンから先がまだまだ長い印象がありました。
しかし、あとたったの3冊なんですよね。
それなのに先がまだ長いという印象を持っているのは、その3冊の密度がとても濃いからなのだと思います。
いよいよクライマックスも近付いてきましたし、もはや見逃せない展開しか残っていません。(次巻のレビューはこちら)