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『ダイの大冒険(20)』原作ゲームにまで影響を及ぼす名作の感想(ネタバレ注意)

 

ついにラスボス真・大魔王バーンが登場する20巻です。(前巻のレビューはこちら )

かなり前から伏線として何かあると思わされてきたミストバーンの正体ですが、多くの人が想像していた以上のものが明らかになるのもこの20巻です。

圧倒的だった大魔王バーンを圧倒するダイの活躍も見所ですが、どうやらその大魔王バーンがまだまだ本領ではなかったという展開は、考えてみれば原作ゲームのドラゴンクエストっぽさもあります。

大抵の場合、ドラゴンクエストのラスボスには第二、第三の形態があるものですから、『ダイの大冒険』の場合も同じだったということですね。

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本作の概要

双竜紋の力で大魔王バーンを徐々に圧倒し始めるダイは、大きなダメージを負いながらもついに大魔王バーンを打倒します。

一方、残ってミストバーンと戦っていたダイ以外のアバンの使途たちですが、追いつめられたミストバーンがついにその正体を現します。

そして、ミストバーンの正体は即ち大魔王バーン最大の秘密にも繋がっていて、それが明らかになることが『ダイの大冒険』のクライマックスに繋がる入口になっています。

本作の見所

大魔王バーンを圧倒するダイ

バトル要素のあるフィクション作品において、主人公が飛躍的にパワーアップしたことを実感できるシーンほど読んでいて爽快なシーンはありませんよね。

例えば、『ドラゴンボール』における孫悟空超サイヤ人になってフリーザを圧倒するシーンや『ONE PIECE』におけるルフィが初めてギア2を使ったシーンなどは分かりやすい一例です。

そして、『ダイの大冒険』の序盤におけるそれは主人公ダイの竜の紋章が発動するシーンだったと思いますが、それが当たり前になってきた時点で登場した双竜紋。

恐らく、バランとのエピソードがそこに至るまでに必要なものだったのだと思いますけど、そう考えると一つあったものが二つになるという単純な設定に見えて実は意外とダイに双竜紋を与えるのは大変だったのかもしれませんね。

ともあれ、この双竜紋でダイは大魔王バーンと互角に戦い、その終盤ではむしろ大魔王バーンを圧倒し始めています。

大魔王バーンが放ったカイザーフェニックスと大魔王バーン本人の同時攻撃を、あえて唯一大魔王バーンの死角となるであろうカイザーフェニックスに自ら飛び込むことで大魔王バーンに大ダメージを与え、最後はドルオーラの連発でトドメを刺しました。

しかし・・

「・・勝てる! 勝ててしまう!!! こんな・・こんなものだったのか大魔王バーンは・・!!?」

ダイ自身、大魔王バーンを圧倒しながら感じていた違和感。大魔王バーンからしたらダイに倒されてしまうかもしれない状況なのに謎の自信は消えず、実はこのことが最後の伏線になっています。

ミストバーンの正体

ミストバーンは早い段階からその覆面の下にある顔に、その声に何かしらの秘密があることが示唆されていました。

そして、戦いの相性が極端に悪い兵士ヒムに追いつめられたことで・・

「・・お許し下さいバーン様・・! はじめて・・あなた様のお言葉を聞かずしてこの姿を見せる私を・・!!!」

初めてその素顔を晒します。自ら大魔王バーンよりも強い魔王軍最強の男だと自負するミストバーン・・って、「ラスボスは大魔王バーンじゃなかったんかいっ・・!!」と思わずツッコミを入れたくなるようなことを言い始めますが、ここから少し時間を掛けて焦らしながらミストバーンの秘密が明らかにされていきます。

この時点では、知ってる顔が現れたというわけでもないですし、クロコダインの感じているように細面の青年でしかないところが少々意外だったことくらいの驚きしか正直ありません。

しかし、ミストバーンは思わせぶりに自分の強さを恐怖してみせたり、その強さを見せつけるかのようにアバンの使途たちを苦しめながら、自分には何かがあるのだと匂わせ続けます。

なんというか、極限まで秘密にしようとしている割にはコイツ・・

絶対言いたくて仕方ないだろっ!

そんな風に感じられるくらいに何かを仄めかし続けます。(笑)

大事な秘密を明らかにすることってとても快感なことですし、どうせ素顔を見せたならとミストバーンが言いたがりを発動する気持ちも少し分かりますね。

まあ、メタいことを言えば読者に対してもったいぶってるだけなのでしょうけど。

その仄めかし具合は実際に読んで確かめてもらうとして、ミストバーンのフードのような衣の下にあった細面の青年の正体は、何と大魔王バーンだったらしいです。

大魔王バーンはダイと戦っているはずではないかと思われるかもしれませんが、そっちはそっちで本物の大魔王バーンなのですね。

どういうことなのかといえば、ミストバーンの衣の下の青年の方は、大魔王バーンの全盛期時代の体を凍れる時間の秘宝という魔術で時間を止めて保存した状態にして、そこにミストという魔物が取り付いて体を動かしていたというのが真相のようです。

・・確かに、これは早々に明らかにはできない大事な伏線でしたね!

ミストバーンといえば初登場した当初は六大軍団の軍団長の一人でしかない、考えてみればクロコダインと同格扱いのキャラクターだったはずですが、それだけに想像以上の秘密を抱えていたことにとても驚きました。

真・大魔王バーン

そして、ダイに追いつめられた大魔王バーンにあった謎の自信の根拠はここにあったのでしょう。

大事な体はミストバーンが守っているので、今の自分がダイに敵わなくても元の体に戻れば勝てるという思いがあったからこその余裕というわけですね。

そして、この20巻で大魔王バーンミストバーンから身体を返してもらい、真・大魔王バーンとしてダイの前に立ちふさがります。

いよいよ最終決戦。どのような戦いになるのか楽しみな展開ですね!

総括

いかがでしたでしょうか?

真・大魔王バーンの登場が原作のドラゴンクエストっぽいということは前述しましたが、逆に言えば『ダイの大冒険』ももはやラスボスが形態を変える段階のクライマックスまで至っているということですよね。

もはや語る部分もそれほど多くないくらい伏線は回収され、あとは最後の決戦の盛り上がりを楽しむばかりの状況になっています。

しかし、この20巻の終わり方がちょっと面白いですよね。

真・大魔王バーンの登場で終わるのかと思いきや、まさかのミストに体を乗っ取られたマァムのアップで終わりですからね。(笑)(次巻のレビューはこちら)