あるいは 迷った 困った

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『ダイの大冒険(21)』原作ゲームにまで影響を及ぼす名作の感想(ネタバレ注意)

 

真・大魔王バーンとの死闘が熱い21巻です。(前巻のレビューはこちら )

ダイとバランの親子同士の戦闘に、ダイとハドラーの宿命の対決。

そういう因縁めいた組み合わせに比べると、意外とダイと大魔王バーンの個人的な意味での因縁は小さいような気がします。

しかし、そこは全ての元締めであるラスボスとのバトル。

戦闘シーンそのものの充実度は作中でも最大なのではないかと思います。

最後には双竜紋を手に入れたダイが圧倒したとはいえ絶大な魔力と知性を誇った老人の大魔王バーンと、そんな大魔王バーン以上だった若かりし頃の大魔王バーンの体を使ったミストバーン

それらがひとつに戻って降臨した真・大魔王バーンがどのような力を見せつけてくるのか、そしてダイたちがそれにどう立ち向かうのか。

その辺がこの21巻の見所になってきます。

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本作の概要

大魔王バーンに身体を返したミストですが、それはそれで厄介な魔物でアバンの使途たちを苦しめるのですが、最後はヒュンケルの光の闘気に敗れてしまいます。

そして、ついに完全体になった大魔王バーンとダイとの戦闘が始まります。

本作の見所

ミストバーンの消滅

味方になるキャラクターを除く『ダイの大冒険』に登場する敵キャラの中における重要度でいえば、大魔王バーンやハドラーというラスボス級に次ぐ重要度を誇るのがミストバーンだったのではないかと思います。

厳密には、キルバーン大魔王バーン討伐後に続く予定だった魔界編の伏線に繋がるキャラクターであったことから本来ならもっと重要度が高かったのかもしれませんが、結果大魔王バーン討伐で完結しているのでやはりミストバーンがとても重要なキャラクターに感じられました。

序盤から衣の下の素顔を意味深に隠していて、ハドラーに対しても同格以上の風格で接していましたしね。

結果、まさかの大魔王バーンの肉体を保持するという超重要な役目を担っていたわけなのですが・・

その最後は少々あっけなかったですね。

大魔王バーンに肉体を返した後、マァムの身体を乗っ取ったかと思えば、最終的な目標はいずれ自分の身体とするため手塩にかけて育て上げたヒュンケルだったわけなのですが、そんなヒュンケルに跳ねのけられる形であっけなく敗北していってしまいました。

20巻でアバンが言及していたように、ミスト自体も強豪の魔物ではあるのでしょうけど、文字通り虎の威を借りる狐だったのかもしれませんね。(笑)

天地魔闘の構え

さて、若かりし頃の肉体を取り戻した真・大魔王バーンとの本格的な戦闘がついに始まるのですが、その大魔王バーンが最初に使う天地魔闘の構えという技を見て最初は少し驚きました。

えっ、そんな地味な感じなの!?

・・とまあ、そんな感じです。いわゆる後の先を取るのが目的の老獪な技なのですが、もっと圧倒的なパワーや魔力を遺憾なく発揮するような戦い方をするのを予想していました。

しかし、魔力の強さは老人の姿の大魔王バーンメラゾーマ級のメラで見せつけてみたり、パワーはミストバーンの時に兵士ヒムの腕を力任せに捩じ切ってみたり、既にこれでもかというほど見せつけているので最終形態ではそれに加えた何かを見せつけようという感じなのかもしれませんね。

それに、地味な構えといってもそこから繰り出されるのは防御と魔力と攻撃の三つの同時動作。ただの三つの動作ならまだしも、それを繰り出すのはいずれも神がかった力を持つ大魔王バーンなわけですからその威力は絶大で、現在のダイの最大の技であるギガ・ストラッシュでもあっさりと敗れ去ってしまいました。

瞳にされるダイの仲間たち

ミストバーンを倒した仲間たちも駆けつけますが、大魔王バーンの能力で次々と見ることと聞くことと考えることの三動作しか行えなくなる瞳の姿にされてしまいます。

どうでもいいですけど天地魔闘の構えといい、大魔王バーンは三つの動作が好きですね。(笑)

大魔王バーンが戦うまでもない相手から瞳の姿にされていってしまうのですが、重傷者やチウはともかく、かつて六大軍団の軍団長だったクロコダインに至ってはほぼ無傷にも関わらず最初から瞳にされてしまっています。

恐竜の前ではひ弱な引きこもりも屈強な格闘家も同じなのと同じ理屈なのでしょうけど、逆に言えば大魔王バーンの実力は世界最強クラスの実力者から見ても恐竜と同じということでしょうか。

また、瞳にされなかった仲間たちも次々と瞳に変えられていく展開は、大魔王バーンの遊びも混じっているように感じられて、ただ倒されるよりも強さが強調されているように思えました。

ダイとポップのタッグ戦

しかし、最後に残ったのがダイとポップという最初の仲間たちという展開は熱いですね。

思い返せばポップは、今回無傷で瞳にされてしまったクロコダインと最初敵対した時に真っ先に逃げ出すという情けない姿を見せていたものですが、その頃の面影は最早ありませんね。

いや、正確にはポップの気質そのものは変わっていないのだと思います。

変わっていない所に勇気が追加され、そして強くなったポップが最後にはダイと肩を並べて大魔王バーンに挑む姿に感動した人は多いのではないでしょうか?

しかも、自分自身の力だけではないとはいえ大魔王バーンにダメージを与えるキッカケを常に作り続けているのはポップなのです。

そして、ついには大魔王バーンの天地魔闘の構えすら打ち破ってしまいました。

最後に大魔王バーンの腕を斬り飛ばして打ち破ったのはダイのアバンストラッシュXなのでダイが打ち破ったと感じる人も多いと思いますが、これは間違いなくダイだけでは無しえなかった勝利だったと思います。

完全勝利

しかし、勝負に勝って試合に負けるという言葉があるように、確かにダイとポップは大魔王バーンの天地魔闘の構えを打ち破りこそしましたが、大魔王バーンの企みそのものを防ぐことはできていません。

また、技を一つ打ち破っただけで大魔王バーンは健在ですし、ダイもポップも満身創痍ではあります。

つまり、大魔王バーンを追いつめこそしたものの、大魔王バーンにとって遊びのつもりが遊びでは済まなくなった感はあるものの、目的そのものは達成されつつあるわけで、この時点では大魔王バーンの完全勝利と言わざるを得ません。

天地魔闘の構えこそ破られたものの、それと勝敗は別で自分が負けるとはつゆほども思っていない様子ですしね。

あとは大魔王バーンを倒すだけという状況であれば、ダイもポップもまだ頑張れたかもしれませんが、仮に倒せたとしても地上は終わるという状況に至ってついにはダイの心すら折れてしまいました。

総括

いかがでしたでしょうか?

いよいよ次は最終巻を残すのみとなりましたね!

しかし、大魔王バーンとの死闘の行く末はまだまだ不透明。天地魔闘の構えを破り大魔王バーンを驚かせるなど一方的すぎる戦闘でこそなかったものの、大魔王バーンの方が余裕もあって最後にはダイたちの方が追いつめられてしまいました。

ついには勇者であるダイですら諦めたかのような表情に涙を浮かべ、完全に戦意喪失してしまったかのようです。

そして、そんなダイに「あきらめないで」と呼びかける声でこの21巻は終えるわけなのですが・・

さて、ここで諦めずにダイがどのように立ち上がるのか、そしてポップは?

その辺が最終巻の見所でしょうかね。(次巻のレビューはこちら)