あるいは 迷った 困った

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『ダイの大冒険(6)』原作ゲームにまで影響を及ぼす名作の感想(ネタバレ注意)

 

竜の紋章の秘密が垣間見れる6巻です。(前巻のレビューはこちら )

竜騎将バランは六大軍団の軍団長の中でも、ある意味ではハドラー以上の重要な役割を担っているキャラクターであり、今までも何かしらの秘密を仄めかされていたところがありますが、『ダイの大冒険』の作中でも指折りで驚かされる答えが待っていました。

また、マァムが修行のため去ったため女子成分が少なめになるかと思いきや、このエピソードでは珍しくレオナが旅の同行者になっています。

助けた人間に怯えられてしまったことでショックを受けるダイに、お姫様としては威厳があるけどお転婆なレオナ。それにダイの出生に関わる秘密を握ったバラン。

個人的にバランもレオナもかなり好きなキャラクターなので、この辺のエピソードは本当に好きです。

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本作の概要

ダイ、ポップ、レオナの三人は装備強化のためベンガーナ王国のデパートへと向かいます。

そこに超竜軍団が攻め込んできてダイたちは迎え撃つのですが、その中で竜の騎士としての力をいかんなく発揮したダイは、しかしあまりの強さに助けたはずの人々から怖がられてしまいます。

その戦いの後、自分が竜の騎士という存在であると知らされたダイは、いったい自分は何者なのか、実は仲間たちからも受け入れられない化け物なのかと悩みます。

そんな中に登場したのはダイと同じ竜の騎士の紋章を持つ竜騎将バラン。

圧倒的な強さを誇るバランが実はダイの父親であることが判明し、ダイを自らの配下に加わるように誘い掛けます。

本作の見所

装備の調達

前巻でカリスマ性のあるお姫様の姿を見せていたレオナですが、6巻ではお転婆な少女の姿を見せています。

「王宮のものをあたしが使ってなんで泥棒なのよ。いーじゃない!!」

ダイたちに同行したがる三賢者にはパプニカを守り抜く使命があるはずだと諭しているのに、自分はダイたちとベンガーナ王国のデパートに行くために王宮の気球を拝借して旅に出るお転婆振り。

カリスマ性のあるお姫様と、我儘でお転婆な少女の二つの顔を持っているところがレオナというキャラクターの魅力ですよね。

作品の性質上当たり前といえば当たり前なのですが、しばらく緊張感のある戦闘シーンがずっと続いていました。しかし、このベンガーナ王国のデパートで装備を調達している時の平和な空気感も良いですよね。

セールを告知しているアドバルーンを掲げた百貨店とか、よくよく考えたら世界観とマッチしていないような気もするのですが、なぜかこのエピソードにはほっこりさせられる感じがして好きなんです。

高価な装備に尻込みしたり、体格に合っていなさそうな鎧に興味を示したり、戦闘中の凛々しいダイとは違った姿が見られます。

露出度高めのレオナが試着していた装備も、エロいのに嫌らしすぎることもなくて良いですね。(これは原作でいうあぶない水着とかその辺の装備なのでしょうか?)

助けた人々に怖がられるダイ

ベンガーナ王国のデパートで装備を整えたダイたちの元に竜の軍団が攻め込んできます。

あからさまな大ピンチで、ダイたちも最初は苦戦しているのですが・・

例の紋章の力で大逆転。圧倒的な戦いぶりでダイは人々を守り抜きます。

「こわあいっ!! お兄ちゃんこわいよおっ!!!」

しかし、助けて無事を気にかけたはずの少女から怖がられてしまうダイ。

「な・・なんでみんなおれのことをそんな目で見るんだよ・・!」

少女だけではなく、助けた人々の全てから警戒した目で見られてしまうダイ。

ダイの戦いぶりがあまりにも人外じみていたからなのですが、ダイからしてみれば助けたはずの人々から怖がられて不思議でしょうがないといったところでしょうか?

見返りを求めて戦っているわけではないとはいえ、助けた人々には喜ばれるとすら思っていたに違いなく、それだけに拒絶のような態度をとられてダイとしてはかなり不服そうな様子です。

なんというか、本来受け入れられて然るべき理由がある人が拒絶されるってのも切ないですね。

戦いにおけるピンチとかとはまた違ったモヤモヤが残るエピソードで、だからこそここでの竜の軍団との戦いはかなり強く記憶に残っています。

竜の騎士

居合わせた占い師ナバラとメルルに自分が竜の騎士であることを教えられたダイは、メルルたちの故郷であるテラン王国を訪れます。

そして、そこには竜の騎士について、ダイの正体について知る手掛かりがあると言います。

「あせっちゃ悪いのか!!?」

ポップにも当たってしまうくらい、らしくなくあせっている様子のダイ。

人間は自分が人間でないと仲良くはしてくれない。

ポップやレオナにも嫌われたくない。

だからこそその秘密を探るための調査には一人で行きたいというダイですが、正解を知ることに臆病になりつつも正解は知りたいというダイの複雑な心境が伝わってきますね。

「おれはたとえおまえの正体が化物だってかまわねえさ! そんなの・・関係ねえよ!!」

なんというか、何度読み返してもこの辺のダイってかなり切なく感じます。

よくよく考えると、作中通しても他のキャラクターに比べてダイってそこまでネガティブになることは少ないような気がするんですよね。

普通は主人公って一番浮き沈みが激しいところがあるような気がしますけど、浮き沈みはあってもネガティブにはならないキャラクターという印象があるのです。

だからこそこのエピソードのダイってかなり特異に見える気がします。

バランの息子のディーノ

何故かハドラーがダイと邂逅させたがらなかった竜騎将バランですが、どうやらバランもまたダイと同じ竜の騎士。

というか、同じ時代に一人しかいないはずの竜の騎士の内、今の時代の本当の竜の騎士はバランで、ダイは少々特殊な存在。実はダイはバランの息子ディーノで、だから竜の騎士の力を得ているという状態になっているようですね。

ダイからすれば自分は孤児のはずなのであまりにも寝耳に水の話でしょうけど、竜の騎士の紋章というのがあまりにも証拠として強すぎたため、それ自体は受け入れざるを得ません。

そんなダイをバランは自分の配下に加えようとしますが、とはいえダイは六大軍団の軍団長を自分の父親とは認めたくない。

所属する立場も思想も違うため、この二人はぶつかり合うことになるのですが、バランがまたとてつもない強敵なのです。

今までダイは誰にどんなに苦戦しても、少なくとも竜の騎士の紋章が出ている状態では相手を圧倒していることが多かったと思います。

しかし、バランを相手に初めて紋章が出ている状態での苦戦を強いられます。

ダイも、クロコダインの援護もありバランに怪我を負わせるまでの活躍を見せますが、最終的には紋章の共鳴(?)のような技でバランに記憶を奪われてしまいました。

まあ、ネタバレするとバランとは敵対するばかりではないのですが、この時点ではもっとも厄介な強敵って感じが強いですね。

総括

いかがでしたでしょうか?

六大軍団の軍団長の内2人はダイたちの仲間になったり、明らかに一枚岩ではないのは以前からでしたが、バランが同立ち位置になっていくのか、バランがダイが自分の息子だと気付いたことに焦るハドラーがどう動くのか、その辺が今後の注目どころですね。

(次巻のレビューはこちら)