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『弱キャラ友崎くん(8)』ついにアニメ化するラブコメの最新巻の感想(ネタバレ注意)

 

個人的に今現在刊行されているラブコメ作品の中では一番好きな弱キャラ友崎くんのことを、「これだけ面白いし内容もアニメ化向きっぽいし、いつかはアニメ化するだろうなぁ~」とは思ってはいました。

それなのに、あまりそういう気配も無かったのでもどかしいとも感じていたのですけど、ついにアニメ化されるようです。

8巻のあとがきからも、作者の屋久ユウキ先生の喜びがあふれているのが分かります。

そんな8巻には、7巻で中くらいの目標(彼女を作ること)に決着をつけて自信を付けた友崎くんが新たな目標に向けて頑張る姿が描かれています。

あとは、高校二年生も終わりに差し掛かっていることもあって将来の進路について真面目に考えだしたり、不慣れな恋愛の中において無意識に相手を不安にさせていることに気付きそうで気付かない友崎くんにモヤモヤさせられたりと、そんな内容になっています。

また、いつもは日南さんの課題中心にストーリーが進む弱キャラ友崎くんですが、友崎くんの将来の進路の話と関係があるからなのか、それとも友崎くん自身に変化があったからなのか、アタファミのオフ会で遊んでいるシーンという今までには見られなかったようなエピソードがあったのも新鮮に感じられました。

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本作の概要

中くらいの目標の彼女を作ることを達成した友崎くんですが、それはあくまでも通過点。次なる新たな課題が待っていて、彼女である菊池さんを大切にしようとするものの無意識に両立できていない状況に陥っていきます。

また、日南さんの課題とは別にほとんどすべての高校二年生にとっての大きな問題。そう、進路の問題にも悩まされています。

中くらいの目標で自信を付けた友崎くんは、自然なリア充になっていくとともにその思想にも変化が見られます。

本作の見所

自信を付けた友崎くんの新しい目標

8巻の友崎くんは最初から、恐らく中くらいの目標である彼女を作ることを達成して、取り繕っただけではない精神的な余裕が出てきています。

こういう自信ってそれそのものが魅力になったりするのは周知の事実ですが、そういう自信が友崎くんにも芽生えたということですね。

例えば、菊池さんとのデートに着ていく洋服に悩む友崎くん。

「さすがに・・三回目はなあ。同じのばっかり着てると思われたら・・」

以前の友崎くんなら、仮に彼女ができたところでこんな風に悩んだでしょうか?

どちらかといえば、ありのままのダサい自分が受け入れられるのかってことに意識が向いてしまい、そもそもオシャレな洋服で自分を取り繕うことに違和感すら感じてしまっていたのではないかと僕は思います。

なぜか男性に多いオシャレをすることが格好悪いと思ってしまう発想ですね。

僕も中高生くらいの頃はそんな風に思っていたことがありましたが、明らかに女子に比べると男子ってオシャレに目覚めるのが遅い。どちらかといえば女子の方がオシャレですし、例えばオシャレを遊ぶような幼児向け玩具だって女子向けのものしかありません。だからなんとなくオシャレを気にすることは女々しいことだと感じてしまっていたのかもしれません。

しかし、オシャレは女々しいことなんかではなく本来はマナーに近いもの。大抵の場合ありのままのダサい自分でいることは失礼にあたることが多い。極端な話、就職活動の面接にスーツで行かない人はいないでしょって話。

要はファッションには自分のためのファッションと相手のためのファッションの二通りがあると思いますが、友崎くんは既に相手のためのファッションを意識できているのかもしれませんね。

・・と、長くなりましたがこんなエピソードが8巻のプロローグになっているのが少し面白いと思いました。

洋服を着ることは相応の自信を着ることとニアリーイコールだと思うからです。

僕も何かしらの事情で微妙なコーディネートの時はよくわからない不安感を覚えることがありますが、それなりに気合を入れた洋服を着ている時は内から謎の自信が出てくるような気がします。

つまり、単に洋服を選んでいるだけのエピソードですが、区切りとなる目標を達成して自信を付けた友崎くんが分かりやすく表現できていると感じたわけですね。

そして、そうして自信を付けた友崎くんに与えられた次なる中くらいの目標は・・

「次の中くらいの目標は・・『四人以上のグループで中心人物になること』よ」

四人以上のグループで中心人物になる。

これは、個人的な見解としては彼女を作ることよりも相当ハードルが上がった課題だと感じました。

四人の人間がいたとして、作ろうとさえすれば四人ともが恋人を作るのもさほど難しくないと思いますが、四人の中心人物になれるのは25%だけですからね。あとは個人的にグループの中心にいるのが苦手だからそう感じたというのもあります。

しかし、確かに友崎くんの最終目標が日南さんのようなリア充になることであることを考慮すると乗り越える必要のある課題ですね。

友崎グループを作る。なかなかの課題ですが、しかし友崎くんはあまりうろたえていません。課題の難易度が変わったわけではないですし、いきなり友崎くんの対人スキルが上がったわけでもないですが、ここまで頑張ってきたことが自信となって現れ始めたってことでしょうかね?

アタファミのオフ会

友崎くんといえば元々・・というか現在もアタファミのオンラインレーティング日本一というゲーマーですが、弱キャラ友崎くんの物語の主題はあくまでもリア充になるための日南さんの課題をこなしていくこととなります。

アタファミは友崎くんと日南さんが関わるキッカケであり、何事にものめりこむと力を発揮する友崎くんのキャラクター性の象徴としての意味合いくらいしかなかったのではないかと思います。

アタファミが物語の中で重要な位置を占めたのは、日南さんと関わるキッカケ以外では中村との対戦イベントくらいでしょうか?

そういう意味では、アタファミのオフ会というイベントのある8巻はいつもより新鮮に感じられた部分があるかもしれません。

日南さんの課題は友崎くんにとってアウェイの世界で行われていたと思いますが、珍しく友崎くんにとってホーム・・いや、それに今まで基本的に一人でアタファミを楽しんでいた友崎くんにとってはそれもアウェイなのかもしれませんけど、日南さんの課題をこなす中で心境の変化があったのかそこに飛び込んでいくことになりました。

そして、面白いのはアタファミのオフ会の参加者の友崎くんに対する反応。オンラインレーティング日本一の『nanashi』のネームバリューに対する反応は友崎くん自身もある程度予想していたところでしょうが、イケメンだとかリア充に見えるという反応はそこまで予想していなかったのではないでしょうか?

というか、弱キャラ友崎くんの世界観は基本的に広がっているようでいて、例外はアルバイト先くらいでほぼ友崎くんのクラスメイトたちで閉じています。

だから、8巻のアタファミオフ会のエピソードをメタい目で見てみると、一つ目の中くらいの目標を達成するところまできた友崎くんを客観的に見せる役割を担っていたのかなぁと推察します。

実際、友崎くんが初対面の人に与える第一印象は1巻の時点と現在ではかなり違っているのは明白なのだと思います。

友崎グループ

どんな風に形成されていくのかって実はよく分かりませんが、特に中高生くらいでは中心人物の名前を称して〇〇グループなんてものが自然に形成されていったものです。

「クラスでもいいし、なにか新しい共同体ででもいい。どこかしらで、自信をもって『友崎グループ』と呼べるような集まりを作ること。それが今後目指していくあなたの目標よ」

そして、そんなグループの中心人物になることがリア充になるための日南さんの課題として友崎くんに提示されたわけです。

これまた面白い課題って感じがしますね。

前述したとおり〇〇グループって通常は自然に形成されるもので、大抵のグループの中心人物は意図的にそれを形成しているわけではないと思います。

それにリア充の定義にもよるでしょうけど〇〇グループって必ずしもリア充っぽい人のグループとも限らない。

僕も中学生の頃に意図せず自分の名前のグループで呼ばれていたことがありますが、隅っこグループって感じでしたし。(笑)

とはいえ、リア充になるためのスキルを身に付けるためにこれを意図的に作るというのは「なるほど」と思わされます。

しかし、友崎くんはもともと中くらいの目標に向けて自発的な行動をずっと繰り返してきていて、リア充に見えるけど受け身なタイプよりはよっぽどグループの中心人物らしい部分が出てきていたのではないかと思います。

なので今のところ、友崎くんにとってはこの課題は意外と、それほど困難なものではないのかもしれませんね。

実際、たまちゃんの家に遊びに行くエピソードからLineのグループを作るまで、とても自然な流れで上手くやっていたように思います。

恋愛初心者の友崎くん

菊池さんと恋人同士になった友崎くんですが、菊池さんを大切にしようとしている気持ちはあるのでしょうけど客観的に見てできていない部分があるのは事実だと思います。

今まで日南さんの課題をこなしていた友崎くんと8巻での友崎くんには一つ大きな違いがあると思います。

一つ目の中くらいの目標を達成して自信を付けていることもそうですが、それ以上にマルチタスクにならざるを得ない状況になっていることです。

どんなに友崎くんにとって難易度の高い課題でも、今までは基本的にそれだけを愚直にこなしていけば良かったのですが、一つ目の中くらいの目標を達成した成果とした得られた菊池さんとの優先順位をもっと意識すべきだったのだと思われます。

アタファミのオフ会、日南さんの友崎グループを作るという課題、などなど徐々にリア充の輪(?)のようなものを広げていっている友崎くんですが、そのために菊池さんを犠牲にしつつあることに友崎くんが無自覚なのが印象的ですね。

まあ、客観的に見れば明らかなものの本人が気付いていない状況はちょっと理解できてしまいます。

日南さんのようなリア充を目指す友崎くんですが、もともと男性は女性より一つのことに集中しやすい代わりにマルチタスクが苦手なもので、アタファミでレーティング日本一になるほどのめり込める友崎くんはそもそもその傾向が顕著な性格だったと言えます。

だから難易度がいくら高くても、あくまでもシングルタスクに近かった日南さんの課題はどんどんとこなせていたし、その課題に対する集中力は常に高かった印象があります。

しかし、マルチタスクではその集中力の向け先の優先順位を意識する必要があって、それが友崎くんにとっては難しかったのだと思います。

だから菊池さんよりも、日南さんの課題やアタファミのオフ会を優先してしまったり、恋人がいるのに別の女性に隙のあるところを見せてしまったり、そういう言動をとってしまっていたのでしょうね。

友崎くんの最終目標が日南さんである以上、このマルチタスクをそつなくこなせるようになることが必須条件になるような気がするのですが、一方で普通の男性以上にシングルタスク向きの友崎くんの性質も相当な長所であることは間違いありません。

8巻ではプロゲーマーという尖った将来を真剣に考えている友崎くんですが、この将来の夢だってどちらかといえば今現在の友崎くんの良さの延長線上にあるような気もします。

そう考えると、もしかしたら今後はもともと定めた最終目標に対して軌道修正するか否かの葛藤が出てきたりするのかなぁとも、そんな風に思えたりもしますね。

しかし、どう進んでも面白いとは思えるものの菊池さんとのことについては綺麗に決着をつけて欲しいと思います。

総括

いかがでしたでしょうか?

なかなかに衝撃的なラスト・・というほどの衝撃ではないのですが、こういう展開の中心にいるのが菊池さんだというのが意外です。

8巻では意外と恋人同士になった菊池さんのことを大切にしているようでいて、しかし客観的に見ると他のことを優先しすぎたことで不安にさせている友崎くんが印象的でした。

しかし、あくまでも日南さんのようなリア充が最終目標である友崎くんにとっては、菊池さんがどれだけ大切でも、彼女だけを最優先に彼女のことだけを気にかけているわけにはいかないのも事実。

この辺を両立していくことができるのか?

というかそもそも8巻ラストの衝撃をどう乗り越えていくのか?

他には、あくまでも周囲から見た自分をベースに言動をコントロールしようとするパーフェクトヒロイン日南さんが、友崎くんの思惑通り自分のやりたいことに正直になる日は来るのか?

その辺が今後の展開の見所になっていきそうですね。

凄く続きが楽しみです!