あるいは 迷った 困った

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『ダイの大冒険(8)』原作ゲームにまで影響を及ぼす名作の感想(ネタバレ注意)

 

久々にダイが活躍する8巻です。(前巻のレビューはこちら )

記憶を失っている間は守られるお姫様状態だったダイですが、ついに記憶が戻ってバランとの死闘を繰り広げる大活躍を見せてくれています。

というわけで最初のバランとの戦いのエピソードが終わったわけですが、戦いの最後にバランがダイに向けた表情がなんとも言えませんね。

セリフも何もない小ゴマがとても印象に残っています。

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本作の概要

竜の騎士としての本領を発揮したバランと記憶を失ったダイがついに再会します。

真っ白な状態のダイにとっては実の父親であるバランを本能的に求めてしまいますが、命をかけたポップの抵抗でダイはついに記憶を取り戻し、バランに抗うためについに竜の騎士の紋章をコントロールに成功します。

拳に一点集中した竜の騎士の力を武器に、バランと互いの主張を賭けた戦いを繰り広げ、そして決着します。

そして、この戦いはバランがダイの勝利を認めたようなものの双方生き残る引き分けのような結果で、これによって間接的に追い詰められたのはハドラーです。

ハドラーにとっては後のない失敗であり、焦って今までと異なる卑怯な手段でダイたちを襲撃してきます。

また、アバンの過去の描いた番外編も収録されています。

本作の見所

再会と復活

往々にして親子の再会のイベントといえば感動的なものが多いですが、ずっと離れているが故に互いの主義主張が相反するものであるというパターンも少なくないですね。

ダイとバランの再会の場合、後者に当てはまります。

だからバランはダイの記憶を白紙にすることで主義主張の違いをゼロにしようとしたわけで、そうなったダイからはバランへの敵愾心は消え、親を求める子供の感情のみが残ったわけです。

「邪魔しないでよお兄ちゃん!! せっかく父さんに会えたのに・・!!!」

ダイをバランの元へ行かせまいとするポップに対するダイのセリフからもそれが伺えますね。

この強制的な再会は感動的とは正直言えません。

むしろ、詳しくは後述しますがダイの記憶が戻った後の方が感動的な要素があったような気もします。

ともあれ、ここではダイの記憶が戻るか否かがポイントの局面。

そこはポップが命をかけてバランに挑んだことでダイを揺さぶり、記憶を取り戻すことに成功しました。

臆病になって逃げるか命をかけて挑むか、なかなかに極端な性格のポップですが、ここ最近はだいぶ男を上げている感じがしますね。

ともあれダイは、バランの精神支配から逃れるために竜の紋章を額から拳に移し、結果的に竜の紋章を自分の力でコントロールできるようになって復活を遂げたわけです。

ダイVSバラン

ダイが復活してポップが死に体とあればバランとの戦闘は避けられませんね。

もともとハドラー以上に強敵感のあったバランですが、記憶を取り戻すとともに竜の紋章をコントロールし始めてバランに迫る強さを見せるようになったダイとの戦闘は、なかなか迫力があって大きな見所になっています。

拳と拳の戦いというより、主張と主張のぶつけ合いのようになっているところも面白い親子喧嘩ですね。

かなり長めの戦闘シーンで読みごたえがありますが、最大の見所はむしろ戦闘後にあると思います。

前述もしましたが、お互いに力を使い果たして痛み分けの引き分けのように終わった戦闘後、バランがダイに向けている優し気な表情が何とも言えないんですよね。

セリフも何もありませんが、力を使い果たしてなお自分に牙を向けるような眼をしているダイを見てどこか嬉しそうにも見えるんです。

「・・敵に塩を送るのはこれが最初で最後だ。今度会った時には容赦せん・・!! ディーノ・・いやダイよッ!! 覚悟しておけッ!!!」

その上で息子(ディーノ)ではなくダイをダイとして見るような発言をしているのが意味深ですよね。

そして、ダイの記憶を取り戻すキッカケとなったポップですが、その代わり生死を彷徨う大ピンチに陥っていました。

そして、それを助けたのもバランです。

クロコダインやヒュンケルは最初敵だったのが仲間になったキャラクターですが、バランは仲間になったわけではりません。

敵対したままの絶妙なダイとの関係性がなんか良いですよね。

卑怯な襲撃

バランたちとの死闘の後、一息ついたダイたちのもとにハドラーが卑怯な襲撃を仕掛けてきます。

マァムに気があるポップに、マァムに変装して近付くザボエラ。

みんな満身創痍の中で見張りを買って出て格好良かったポップですが、色仕掛けに引っかかってやっぱりポップだと安心します。(笑)

「み・・見そこなったぜ・・ハドラー!」

しかし、このセリフは負け惜しみではありません。

確かにハドラーは策士な部分はあっても今まで卑怯な手を使うようなことはあまり無かったと思います。

それだけ追いつめられているということなのだと思いますが、実際襲撃に気付いたダイによってあっさりと撃退されてしまいました。

この辺でハドラーは、負け犬感のあるキャラクターになってしまいましたが、しかし今後そこからかなり魅力のあるキャラクターへと成長していくことになり、そこらへんが今後の見所のひとつになると思います。

総括

いかがでしたでしょうか?

ダイも竜の騎士としてバランと互角にやり合うまでに成長したわけですが、いよいよ物語も佳境に・・と最初読んだ時は思ったものですが実のところまだまだこれからです。

思い入れがあるであろうパプニカのナイフも壊れてしまい武器を失ったダイが今後どう戦っていくのか、今回の戦いで大きく成長したポップの活躍は、そして忘れかけていたマァムはどうしているのか、その辺が今後の見所になっていくと思います。(次巻のレビューはこちら)