あるいは 迷った 困った

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『フルーツバスケット(10)』全編アニメ化記念に全巻レビューします

 

珍しく大人たちがメインに描かれている10巻です。(前巻のレビューはこちら

いや、『フルーツバスケット』は意外と大人のキャラクターが多い作品なので、他の少女漫画に比べると大人のキャラクターの出番は元々多いのですけど、この10巻は特にその印象が強かったです。

またもや青少年組が草摩家の別荘にやってきている間(何件あるんだ・・)、地元では本田透たちの担任教師である白木繭子のエピソードが繰り広げられています。

今までにも何となく伏線は貼られてはいましたが、白木繭子がメインのエピソードが出てくるとは思いませんでしたね。

ちなみに、昔読んだ時はやっぱり本田透世代のエピソードの方が面白く感じたので、本田透の出番が少ない今巻は少し退屈に感じたものですが、今読むと白木繭子のエピソードが思いのほか面白く感じました。

これは単純に僕が当時より年を取っているからかもしれません。

だから、昔『フルーツバスケット』を読んだ人も、改めて読み返すと違った見え方がして面白いかもしれませんよ?

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本作の概要

紅葉の誘いで本田透たちは草摩家の別荘に避暑にやってきました。

特に草摩燈路あたりとは色々ありましたが、十二支の子供メンバーが勢揃いで楽し気な感じです。

そして、その頃地元の方では実は紫呉の元恋人であった白木繭子と、紫呉やはとりとの再会が描かれています。

本作の見所

草摩家の別荘再び

草摩家、かなり大きな一族っぽいですが、いくつも別荘があって凄いですね。

そして、そこに行く提案を紅葉がするのも定番の流れになってきました。

というか『フルーツバスケット』は主人公が普通の女子高生なのに、学校が描かれる機会が少ないという意味では独特かつ珍しい作品だと思います。

個人的には、本田透と杞紗と燈路の3人の関係が地味に好きです。

本田透お姉ちゃんが大好きな杞紗に、杞紗に気があるませた小学生である燈路は本田透に嫉妬する。

杞紗は虎の十二支ですが、その子猫感はめっちゃ可愛らしいですし、最初は超絶小生意気なガキって感じだった燈路も、何だか微笑ましく見えてきます。

高校生、中学生、小学生と年齢もバラバラというのもなかなか無い組み合わせで面白いですね。

「両親共亡くしてるんでしょ? 父親は持たない訳? というか・・アンタってホント何かと言えば”お母さんお母さん”だよね。なんかそればっかって感じ。マザコンも重度すぎっていうか・・。他には何も無い訳?」

これはもう小生意気というよりも、ただただデリカシーが無い燈路のセリフです。

こういう場合、いつもの本田透なら苦笑するか、アワアワするかのどちらかになるような気もしますが、今回は意外と神妙な雰囲気を出しています。

確かにデリカシー云々は置いておいて、燈路の指摘は的を得ています。

本田透は父親のことはあまり話さないですから、その内心は気になるところですね。

「燈路ちゃんは何の為にここに来たの・・? お姉ちゃんを困らせる為に来たの・・?」

しかし、そのデリカシーの無さに普段は自己主張をあまりしない杞紗にまで怒られてしまっていました。(笑)

だけどこういうギスギスした関係って、普段仲が良いからこそだったりするとも思うから、意外に嫌いじゃないんですよね。

落ち込み気味の本田透

燈路に母親のことばかりで父親のことは話さない所を指摘され、なぜか元気がない本田透

ただ指摘されたからというわけでも無さそうな雰囲気ですが、ここで注目したいのは夾の言動ですね。

「何かは知らねぇが、元気ねぇだろが、あいつ」

一見普通、どころかいつも以上に元気になっている本田透を見て、言い過ぎたことを気にしていた燈路は取り越し苦労感を覚えていたようですが、これはいわゆる空元気とういうやつだったっぽいですね。

そして、本田透の違和感に気付くのが夾です。

かなり本田透に対して気を許してきている様子ではありましたが、こんなイケメンじみた気付きを得られるまでになっているとは・・

こういう所もラストを知っていたらドキドキしますよね。

白木繭子と草摩家

白木繭子のエピソードは、昔読んだ時は少々退屈に感じた覚えがあります。

本田透や夾、由紀などのメインキャラクターが絡んでいないので、仕方ないといえば仕方ないですが、今回久しぶりに読み返してみると、全然面白いと感じました。

やっぱり、昔読んだ時より僕も年を取っているので、大人のキャラクターがメインのエピソードに共感しやすくなっているからかもしれません。

それにしても、白木繭子まで草摩家と関係があった・・どころか紫呉の元カノだったとは驚きですね。

本田透たち生徒の前ではクールビューティーな感じの先生で、実際にクールな感じの性格ですが、紫呉と付き合っている時にはお互いクールな感じなのに、はとりに甘える佳菜を羨ましそうに見ていたり、意外と乙女なところもあるのかもしれません。

はとりに倖せになってほしいと一目を憚らずに泣いてしまったり、子供っぽい一面も垣間見せてくれます。

子供の頃は大人は大人だと思っているので、こういう大人が見せる子供っぽい一面には違和感を覚えたものですが、今では大人も子供の延長でしかないと分かっているので、大人の子供っぽい一面というのにも共感できてしまうのが新鮮でした。

総括

いかがでしたでしょうか?

僕にとって『フルーツバスケット』は、リアルタイムではなく大学生の頃にちょうど完結した時に読んだ作品となります。

小中学生の頃に読んだ作品を大人になってから読み返す場合、感じ方が違うというよりも、当時感じていたことが蘇ってくるような感覚の方が大きかったりするのですが、大学生の頃に読んでいた作品の場合は、当時との感じ方の違いが新鮮に感じられたりします。

どっちも懐かしいという意味では同じなのですが、感じ方に違いがあるのは面白い発見でした。

時期に問題だけではなく、ジャンルの問題もあるのかもしれませんけど、こういう気付きは面白いって思ってしまうんですよね。

2桁巻までレビューしてきましたが、引き続き新たな発見を求めて『フルーツバスケット』を読み返していきたいと思います。(次巻のレビューはこちら