あるいは 迷った 困った

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『フルーツバスケット(2)』全編アニメ化記念に全巻レビューします!

 

兎と辰が初登場する2巻です!(前巻のレビューはこちら

本田透の友達である魚谷ありさと花島咲が草摩家を訪れたり、本田透が草摩家の本家を訪れたり、新たな十二支が登場したり、人間関係が広がっていく感じがします。

まだ2巻だというのに、思い出深い名シーンが満載で読んでいて懐かしい気持ちに浸れました。

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本作の概要

十二支の秘密を厳守することを条件に本田透は友人二人を草摩家に招きます。

友人二人、魚谷ありさと花島咲からしたらいつの間にか同級生の家に居候していた親友を心配しているという体なのでしょうね。

そして、文化祭では新たな十二支、草摩紅葉と草摩はとりと出会います。

かつて十二支の秘密を知った者の記憶を隠蔽したことのある草摩はとりの登場、草摩家の本家に由紀たちには内緒で来るように言われたり、どうなることかとハラハラする展開が繰り広げられます。

本作の見所

草摩家のお泊り

「ヤンキーと電波」

紫呉が本田透の友達ってどんな子なのかと尋ねた時の夾の端的な回答がいきなり面白すぎる。(笑)

草摩家に居候することに落ち着いた本田透は、今までテント暮らししていたり草摩家に居候することになったことを友人二人、魚谷ありさと花島咲に打ち明けました。

友達思いな2人が本田透のことを心配したのか、草摩家を訪問してお泊りすることになりました。

「・・ねぇ、あんた。紫呉さんだっけ? 仕事は何やってるんだ?」

草摩家の保護者っぽい紫呉に職業を尋ねる魚谷ありさですが、ここで紫呉が小説家であることが明らかになります。

本田透が一番驚いていますが、居候先の保護者の職業を知らんかったんかいとツッコミたくなるような天然さんですね。(笑)

似つかわしくないような恋愛小説を趣味で書いていたり、紫呉も結構濃いキャラクターだと思います。

「欲しがってばかりいずに、今ここにあるものを大切だと思える気持ち」

そして、このお泊り会を通して魚谷ありさと花島咲の2人は、草摩由紀と草摩夾が本田透のことを理解していると認めたようですね。

それにしても、無いものねだりしないで今あるものを大切にしようという本田透の考え方もまた素敵ですよね。

どちらかといえば、今あるものの大切さってぼやけて見えづらくなってしまいがちだと思うのですけど、その大切さをわかっているって所が本田透の優しさの正体なのではないかと思います。

オニギリの背中

「どうして人は誰かを羨まずにはいられないのでしょうか。どうして気づかないのでしょう。自分自身の素敵な処に」

周囲からの評価では無いものねだりはしない女の子である本田透ですが、なぜ人が無いものねだりしてしまうのかはわからないようですね。

しかし、草摩夾のオニギリを上手くむすべる素敵な処を、本人が認めないことを受けて一つの答えを出します。

「・・あ、もしかしたら背中についているのかもしれません・・。例えば人の素敵というものがオニギリの梅ぼしのようなものだとしたら、その梅ぼしは背中についているのかもしれません」

これまたなるほどって感じの素敵理論ですね。

他人の背中についてる素敵(梅ぼし)は見えるけど、自分自身の背中は見えないので、自分自身は真っ白なただの米でしかないと思ってしまう。

本当はそんなことはないのに。

いやはや、昔読んだ時はなんて事のない台詞だって見逃していた部分なんですけど、面白い考え方だと思います。

それに、かつてフルーツバスケットでオニギリという仲間外れにされていた本田透が、オニギリで人の素敵を例えるというのがまた良いですよね。

 

 

記憶の隠蔽と草摩家の本家

今巻で初登場した辰の十二支の草摩はとり。

紫呉と幼馴染の医者で、かつて十二支の秘密をしった恋人の記憶を隠ぺいしたことがあるようです。

「君とは一度話をしておきたいと思っていた。大切な話を。無論、由紀達にはオフレコだし君に否定権は無いハズ。この意味が理解るだろう?」

何やら不穏な空気に、さしもの天然さんである本田透も若干困惑気味ですが、言われたとおりに草摩家の本家を訪れます。

そして、草摩はとりは本田透に「これ以上草摩に関わるな」と釘を刺します。

「紫呉はああいう奴だから何も言わんだろうが、物の怪に憑かれ続ける草摩家は君が考えるほど楽しいモノじゃない。奇怪で、陰湿で、呪われている」

これまでは割と優しいことを言うキャラクターばかりが登場していたので、本田透を突き放すはとりのセリフはなかなかエッジが利いているように感じられますね。

しかし、実ははとりは本当に本田透に対する親切心で突き放すようなことを言っているようです。

1巻から登場しているもののまだまだ謎めいている草摩家当主の慊人は本田透を利用しようとしているのだと、はとりはそう言うのです。

かつて草摩家に関わらせて恋人を傷つけてしまった過去を持つはとりは、本当に本田透のことを心配していたのですね。

「もし本当に何かに利用されて今の暮らしがあるのだとしたら、私はありがとうと言いたいです・・」

しかし、ここでも今を大事にして、無いものねだりをしない本田透が発動します。

例え何かに利用された結果だとしても、今の暮らしが幸せだということが言いたいのでしょうね。

一人きりの正月

個人的に『フルーツバスケット』で2番目に印象に残っているシーンが、お正月に由紀、夾、紫呉の三人が草摩家の本家に向かい、本田透が一人でお留守番。

しかし、花島咲にうまく諭されて由紀と夾の二人が引き返すというエピソードとなります。ちなみに、1番は本田透がテントから出てくる1巻のシーン。忘れられますかいな。(笑)

今までの本田透は母親とお正月を過ごしていて、今年は初めての一人きりのお正月。

十二支の集まりがある由紀達を快く送り出したものの、どうやら本当は相当寂しかったようで、由紀達が引き返したら母親の写真を眺めながら涙を流す本田透が・・

「もし気づかずにいたら一人で泣かせてしまうところだった」

薄幸の少女といった感じの本田透ですが、本当に哀しそうに泣いているシーンというか、寂しそうにしているシーンって意外と少ないんですよね。

1巻で本田透が自分で言っているように、めげない女の子ですからね。

それだけにこのシーンが何となく心に残りやすいのだと思います。

雪が解けたら何になる?

草摩はとりが本田透を気に掛けるのは、かつて記憶を隠蔽した恋人のカナに似た反応をするからなのかもしれません。

かつて、カナははとりに「雪が溶けたら何になるか?」と尋ねました。

はとりは当然「水」になると答えますが、カナは「春になる」と答えました。

「今はどんなに寒くても、春はまたやってくる。かならず。不思議ですね・・」

そして、本田透もカナと同じことを言っているのです。

ひねくれ者の僕なんかは、「そしてまた冬がやってくるんでしょ?」なんて水を差すようなことを考えてしまったりもするのですけど、物事の変化を良い方向に捉えるこういう考え方は素敵だと思います。

総括

いかがでしたでしょうか?

暗くて重い話の多い『フルーツバスケット』ですが、どうしてそれでいてこんなに優しい物語だと感じられるのか不思議ですね。

一度気持ちが沈んでしまうようなエピソードも多いので短期間に何度も読み返すのは実はしんどかったりもするのですけど、沈んだ後にフワッと優しい気持ちになれるのでたまに読むのはめっちゃオススメです。

既に十二支が半数ほど出揃っていますが、どんな十二支が今後登場するのかが見所ですね。(次巻のレビューはこちら