あるいは 迷った 困った

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『自殺したい女勇者に魔王が困らされています!(1)』不死身すぎても困るって話の感想(ネタバレ注意)

 

最近、増えてきましたよね~

振り回される形の魔王。

自殺したい女勇者に魔王が困らされています!も、そんな振り回される系の魔王が、魔王に殺されにやってきた女勇者に困らされているという・・

まさにタイトル通りの作品でした。

だけど「自殺したい」なんてネガティブな単語が入っている割には、意外とライトなコメディテイストな作品になっています。

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本作の概要

いわゆる人々を苦しめる魔物の王様。魔王がいるような世界観で、女勇者のマナが魔王の元にたどり着くところから物語が始まります。

普通ならいよいよエンディングって場面ですが、自殺したい女勇者に魔王が困らされています!の物語はここからです。

実はこの女勇者のマナ、その目的は魔王の討伐などではありませんでした。

行ったら二度と帰れないと伝わる魔王城まで自殺しに来ただけの、ただの自殺志願者だったわけですね。

しかし、この女勇者のマナは不死者であり、何をしても死なない割に自分を殺せと脅してくるので魔王が困ってしまうという物語になります。

本作の見所

女勇者マナ

「御託はいいので早く殺して下さい」

魔王からすればいよいよやってきた勇者。

いざ最終決戦かっ・・と思いきや、まな板の上の鯉にしか見えない女勇者のマナ。

「貴様も勇者なら命を懸けてかかってこんか!」

「命ならもう捨ててるけど」

そんな女勇者マナに魔王もいきなり振り回されています。

例えば、この魔王と勇者が対面するこのシチュエーション。魔王が挑発の意図で相手に「自殺したいようだな」みたいなことを言うようなことってありますが、要は自分で「そうだ」と最初から言われちゃってるわけですからね。

そういうわけで最初は自分を油断させる作戦だと思っていた魔王ですが・・

どうやらこの女勇者マナは殺しても殺しても死なないような不死者で、本当に魔王に殺されることを望んでいるようです。

「私はもう生きていたくないのに・・だから旅に出て死ねる方法を探して・・”行ったら二度と帰れない”、そう伝わる魔王城までやって来た」

まさか魔王城を自殺の名所扱いしてやってくる勇者がいるなんて、さしもの魔王も思いませんよね。(笑)

「御託は良いから私を殺して。殺せないならあんたを殺す」

とまあ、そんな感じで魔王を脅迫しだす始末。

しかし・・

斬新さが無い単調な殺し方を揶揄されたり、殺したくても女勇者マナを殺せない魔王。

最終的には何とか殺す方法を探してやると約束することで難を逃れた魔王ですが、何だか可哀想になってきました。

ちなみに、この女勇者マナは実は最近はやりの異世界転生者だったりします。

学校の屋上から飛び降り自殺した赤上摩那。

転生した時にスキルを得るのは定番の流れですが、自殺したいのに与えられた能力がまさかの不死。

「死なせろやー!!」

マナの叫びが、不謹慎かもだけど何でそうなったって感じで面白かったです。

賢竜スーラ

自分では女勇者マナを殺せない魔王は他の対処方を考えます。

最初にやってきたのは錬金スキル持ちで女勇者を撃退するための罠を城内に設置してきたようですが・・

「この猛毒沼には体が痺れる成分が含まれています」

ただの猛毒なら不死の力がある女勇者マナなら力技で突破できてしまいそうですが、麻痺して猛毒から抜け出せなかったらどうかって作戦ですね。

しかし、確かに麻痺は効いているものの女勇者マナはジワジワと猛毒沼を突き進んできます。

魔王は期待して次の作戦をスーラに聞きますが・・

「えっ、さ、策? 勿論ありますよ。ただそのちょっと時間がというか・・」

いきなりネタ切れだったようです。(笑)

あげくの果てに、良い毒だったと女勇者マナに褒められてしまう始末。

ちょっと喜んでいるスーラが地味に可愛いですね。

すっかりツッコミ役が定着している魔王はツッコミと同時に新しい技を女勇者マナにぶつけますが・・

成長が感じられないとダメだしされてしまっていました。

スキルを身に付ける魔王

女勇者を殺すために、今までは取得するスキルは自分に合ったものを厳選していたのに無理やりスキルを取らされる魔王。

しかし、魔王がまだ取得していないようなスキルといえば、名前は格好良い攻撃スキルっぽいけど実はバフ系という、僧侶の技ばかり。

女勇者マナをむしろ強化してしまってますね。

最後は女勇者マナが自爆系のスキルを自ら習得して、魔王の静止を聞かず魔王城で発動させてしまいますが・・

魔王城が吹っ飛んだだけで死ぬことはできませんでした。

魔眼や催眠、死霊術も効かないようです

魔王が中心となり、幹部たちを集めて勇者を倒すための会議を行う。

まあ、ありきたりなシーンと言えばその通りですが、まさか倒される対象の女勇者マナも同席していて、しかも仕切っているという状況はシュールで面白いですね。

何だか良さそうな案も出てくるけど、既に女勇者マナが自分で試したことばかり。

そんな中でてきた有効そうな案が、直接的な攻撃がダメなら石化の魔眼で石化させて、魂も石に封じ込めて存在を根幹から消滅させればよいというもの。

女勇者マナもこれには期待しますが・・

なぜかこの石化も女勇者マナには速攻で破られてしまいます。

魔王と幹部たちの絆の力を乗せて、大きな魔力量で石化に再挑戦するも、それすらあっさり破られてしまいました。

他には、催眠で洗脳して魔王に対する魅了をかけたりしたら、通用こそしたものの一緒に死のうと迫られてしまったり、死霊術で体を乗っ取ろうとしたら、乗っ取った魔物が成仏してしまったり・・

何をしても女勇者マナは殺せません。

邪神も匙を投げました

「認めよう勇者マナよ。貴様は強い。ワシでは勝てるかわからんほどにな」

実際、勝てるかわからんというか勝ち目ないのではないかとスーラにツッコミされてしまっていますが、その辺は魔王の矜持でしょうか?

ともかく最後の手段的に魔王が選んだのは、邪神の封印を解くというもの。

最初、邪神は圧倒的強者感でノリノリで女勇者マナを殺そうとしますが、なぜかというかやっぱりというか、女勇者マナは死にません。

どうやら邪神は女勇者マナが女神の眷属(転生者)であることに気付いたのか、なるべく関わりたくないと言って自ら封印されに戻ってしまいました。

あと千年封印の中で引き籠ると宣う邪神と、それを羨ましがる魔王がシュールで面白い!

しかし、女勇者マナは不死の能力を駆使して封印の抵抗を無視して無理やり結界内に入り込もうとします。

結果的には入れなかったのですが、この女勇者マナの所業にビビってる邪神がまた面白いと思いました。

総括

いかがでしたでしょうか?

ネガティブっぽいタイトルだけど、何だかネガティブになりきれない、そんな感じの作品でした。

いや、だって女勇者のマナちゃん何しても死にませんしね。

平和なお話ですよ。(笑)

魔王、女勇者のマナ、魔王の側近のスーラの物語は、今後も読んでいきたいと思います。