あるいは 迷った 困った

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『フルーツバスケット(4)』全編アニメ化記念に全巻レビューします!

 

変人じみた蛇が登場する4巻です。(前巻のレビューはこちら

今までも草摩家のダークな雰囲気は垣間見えていましたが、紅葉の母親のエピソードあたりでかなり浮き彫りになってきた感じがします。

また、本作品の開始時点で亡くなっているにも関わらずキーパーソンになってくる本田透の母親である本田今日子という人物がちょっと見え始めてきます。

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本作の概要

高校二年生に進級した本田透たち。

後輩として草摩家の撥春に紅葉も入学してきて、何だか賑やかというか、いきなり波乱を呼んだりしてしまっています。

ついに草摩家当主の慊人が本田透に近付いてきたり、物語がちょっと進行したような気がします。

本作の見所

進級と新入生

いつの間にか高校二年生に進級して、当然後輩もできた本田透たち。

「あのなぁ~っ、なんで学校来てまでアイツらに会わなきゃなんねぇんだよっ」

新しく入学してきた草摩家の後輩二人を連れてくるように花島咲に言われた夾はぶっきらぼうな感じに嫌がります。

この反応は兄弟がいる人には共感しやすいかもしれませんね。

僕にも弟や妹がいてそれなりに仲が良かったですけど、学校では何だかあまり会いたくないという感じがあったものです。

何なんでしょうね。この学校で親戚に会いたくない感じ。

恐らく、学校にいる時とそうでない時とでは違った自分がいるからなのかもしれませんね。

「学校で会うとまた一味違うかもですよ! 楽しいかもなのです!!」

本田透のセリフがまさにそういうことを言っているような気がします。

しかし、作品通しての結末を知っている状況で本田透と夾のやり取りを見ていると、何だか微笑ましく感じてしまいますね。

慊人の接近

この最初に慊人が本田透に接近するシーンは、初めて読んだ時も慊人の・・何ていうのでしょうか。張り付いたような笑顔が不気味だと感じたのを覚えています。

後からわかってくる慊人のヒステリックな気質はこの時点ではなりを潜めていますが、『フルーツバスケット』という作品の核心的なところにいるキャラクターであることは間違いありません。

慊人のことは今後もじっくりと少しずつ描かれていくので、常に目が離せませんね。

また、由紀が嫌味を言う慊人と由紀の間に割って止めに入る本田透の表情にも注目です。

いつものほほんとした雰囲気の本田透が珍しく緊張気味の固い表情になっていて、それが慊人のキャラクター性を間接的に示しているのが面白いと思います。

「・・そうです。あの方は多分、怖い・・方。目が少しも笑っていない方。あれが「敵意」というものなのかもしれません。私は・・もしかしなくとも嫌われている・・?」

フルーツバスケット』という作品において本田透にここまでの敵意を向けるキャラクターは非常に珍しい。

実は、最後には嫌いにはなれない良いキャラクターになってくるのですが、この時点ではかなり不気味に感じられますね。

蛇の十二支と兄弟のミゾ

フルーツバスケット』という作品は好きだけど、世代的にそこまで頻繁に何度も読み返した作品というわけでも無いので、細かい所は割とうろ覚えだったりします。

登場人物もかなり多いですし、由紀と夾以外の十二支に関しては記憶に靄がかかっている部分も多い。

しかし、十二支の蛇である草摩綾女はかなり印象が強かったので忘れようがありません。

個性的なキャラクターの多い草摩家の十二支の中でも、変人キャラの筆頭という感じで、容姿は弟である由紀と似ているものの性格はかなり違います。

「10も年が離れているし、由紀は生まれてすぐ病気がちな事も原因して隔離されていたようなものだし、ボクもボクで”弟なんていたっけか”ぐらいの認識しか持たずにやりたい放題し放題で育ってしまった」

そういうわけで兄弟の間にミゾができてしまったというわけらしいですね。

育った環境も違うから、そりゃあ性格も違ってくるのも当然でしょうか。

兄弟の仲がそこそこ良い方の僕からすれば、実の兄弟でこんなミゾがあるという状況は想像しがたいものがありますが、それだけに一度ミゾができてしまうと埋めがたくもあるのかもしれませんね。

「懺悔して子供だった頃の無知な自分を無かった事にしたいのかもしれない」

だからといって知り合ったばかりの女子高生(本田透)を食事に連れ出して愚痴るようなことでもないと思いますが。(笑)

しかし、そういう風に愚痴ってしまう空気が本田透にはあるのかもしれません。

「お母さんは言っていました。自分が「親」になって初めて「親」の気持ちが理解できたって。だけど、だけど本当に理解しなければいけないのは、忘れてはいけないのは、子供の頃の自分だって」

実際、本田透は愚痴る綾女になかなかに良い答えを返しています。

子供の頃の自分を覚えているからこそ歩み寄りができるというのは、本当になるほどと思います。

親と子供の関係に限らず、先輩と後輩、上司と部下など、経験値に差のある人間関係においては全て当てはまりそうですね。

というか、ここでもまた本田透の母親である今日子の受け売りなのですが、どうやらかなりヤンチャしていたらしいという触れ込みの割には、本田透のようなキャラクターの母親として納得感のある感じになっているバランス感覚が素晴らしいですね。

紅葉の家族

兄弟と言えば紅葉にも妹がいるようです。

しかし・・

「でもママはボクのこと知らないから」

十二支の子供を産んだ女性は、不必要なほど過保護になるか、拒絶するかのどちらからしく、紅葉の母親の場合は後者だったようです。

「私の人生最大の後悔は、あの「生き物」を自分の体から出した事よ」

これまた酷い・・と思いつつももし現実に十二支のような存在がいたとしたらそういうものなのかもしれないとも思います。

結局、紅葉の母親の記憶からは紅葉のことは消えてしまっていて、当然紅葉の妹にも兄として接することはできません。

母一人に育てられた本田透が感化されて涙してしまうのも無理もありませんが、それ以上にそんなことをいつも通りの笑顔で言う紅葉の方が寂しそうに見えるから不思議ですね。

色々とダークな面のある草摩家ですが、その一端が垣間見えるエピソードだったと思います。

総括

いかがでしたでしょうか?

1巻から怪しい感じに存在感は示していた慊人が初めて本田透に接近したり、紅葉と母親の関係から草摩家のダークな一面が垣間見えたり、『フルーツバスケット』の世界観が深くなってきました。

亡くなっているにもかかわらず物語のキーパーソンである本田今日子が今後どのように関わってくるのかも気になるところですね。(次巻のレビューはこちら