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『スパイダーマン:スパイダーバース』こんなアニメ始めて観たって感じの映画の感想(ネタバレ注意)

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いわゆるアメコミ系の作品はあんまり好みではないのでマーベル作品はほとんど観ないのですけど、スタイリッシュな感じが格好良いのでスパイダーマンは好きなのです。

というわけで、話題のアニメ作品スパイダーマン:スパイダーバースを観てきました。

とはいえ、どうせなら実写のスパイダーマンが観たいという気持ちが強かったことと、何だかスパイダーマンがたくさん出てくるお祭り的な作品っぽさが感じられたこともあり、そこまで大きく期待していたわけでは無いのですが・・

結論から言うと大満足!

序盤の日常シーンからスピード感のあるハイクオリティのアニメーションが繰り広げられ、コメディ要素とアクション要素のバランスも絶妙。スパイダーマンは割と悩めるヒーローのイメージが強いですが、そういう人間臭い部分も素晴らしい。

ピーター・パーカーに代わり新生スパイダーマンとして戦うことを決意するマイルスをはじめ、別次元のスパイダーマンたちも個性的で魅力的でした。

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本作の概要

厳格な父親に名門中学に転校させられた少年マイルスは、慕っている叔父に連れられて地下にある穴場スポットでグラフィティアートを描きます。

その時に怪しい蜘蛛に噛まれた影響で、マイルスの体に異変が起きます。

感覚が研ぎ澄まされたような状態になり、ものに触れば手が離れなくなってしまったり、まあいわゆるスパイダーマンの能力を身に付けつつあるのですが、この世にスパイダーマンは2人いないとマイルスは混乱しまくってしまいます。

マイルスは自分の体の異変を調べるため、蜘蛛に噛まれた場所を再度訪れますが、そこでスパイダーマン(ピーター・パーカー)が闘う現場を目撃し、巻き込まれてしまいます。

この事件の結果、ピーター・パーカーは命を落とすことになってしまうのですが、死ぬ前にマイルスはピーター・パーカーとある約束をしていました。

マイルスはその約束を果たそうとしますが、そこに別の次元からやってきたちょっと違和感のあるピーター・パーカーが現れます。

異なる次元から現れた5人のスパイダーマンと新生スパイダーマンであるマイルスの活躍が魅力的な作品でした。

本作の見所

アニメーション

本作品はアニメーション作品ですが、何だか新しいアニメーションという印象を強く受けました。

いわゆる3Dアニメではあるのですが、今までに観たことのある3Dアニメとは全く違う印象を受けました。

まず、単純に3Dアニメとしてのクオリティが高い。序盤の日常シーンからして目まぐるしく動くキャラクターに惹きつけられました。

とはいえ、この辺は今までの3Dアニメ作品の延長上にある凄さでしかありません。

新しいと感じたのはその表現方法です。

3Dアニメなのですが、例えば爆発シーンの爆発がいきなり2次元になったり、3Dアニメの中にあえて2次元の表現を混ぜ込んでいるところがあるのですね。

スピード感抜群に3Dと二次元が入り混じった映像からは、今まで感じたことのあるものとは別種の迫力があるように感じられました。

また、感覚が研ぎ澄まされているスパイダーマンが何かに気付く時の描写には漫画的な効果線のようなものが付いていたり、アメコミ的な文字がアニメーションに現れる場面があったり、あまりアメリカのアニメ作品では見た覚えの無い遊び心のある表現が盛沢山です。

また、そういう一つの作品の中で様々な表現が使われていることが、別の次元からやってきたスパイダーマンというシチュエーションと合っているような気がしました。

モノクロの世界から来たスパイダーマンノワールや、昔のアニメ風のスパイダー・ハム。それに日本の2次元アニメ風のペニー・パーカー。

これらのスパイダーマンたちは、ぶっちゃけ絵柄が他のキャラクターと違っているのですね。

それがこの様々な表現を入り乱れさせているアニメーション作品の中では不思議とマッチしているのがすごい所だと思います。

たくさんのスパイダーマン

マイルス・モラレス(主人公)

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門中学の生徒であるマイルス。

本作品の主人公ですがスパイダーマンの力を手に入れたばかりで、まったくコントロールできずに翻弄されてしまっていますが、最後には主人公のスパイダーマンらしい格好良いところを見せてくれます。

通常のスパイダーマン(ピーター・パーカー)の能力に加えて、手から電撃のようなものを出す能力と、体を透明にしてしまう能力を持っています。

これからヒーローになっていくヒーローという感じで、スパイダーマンのように飛び回ろうと一度ビルに上って、決意したような表情をしたかと思えば降りていくというコミカルな部分を見せてくれます。

特に序盤は、劇場内に笑い声が聞こえるほどのコミカルさを発揮してくれました。

ピーター・パーカー

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本作品にはピーター・パーカーは2人登場します。

マイルスと同じ世界にいる26歳のピーター・パーカーは亡くなってしまいますが、別の次元からやって来たちょっと老けていて、お腹も出ていて、何だか世知辛い感じのピーター・パーカーが後から登場します。

最初はスパイダーマンの力の使い方をマイルスに請われても相手にしない冷めたオッサンという感じでしたが、そこはやはりスパイダーマン

最終的にはこれぞスパイダーマンというヒーローらしいところを見せるようになってきます。

スパイダー・グウェン

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女性のスパイダーマンで、初登場した時の戦闘シーンがめっちゃ格好良かったです。

通常のスパイダーマンの能力に加えて、しなやかなバレエのような動きをするのが特徴です。

スパイダーマンといえば真っ先に思い浮かぶピーター・パーカーのスタイリッシュな衣装も格好良いですが、蜘蛛の巣の模様をフード裏などに部分的に施している辺りがファッショナブルで格好良いですよね。

スパイダーマンノワール

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昔のアメリカの刑事って雰囲気のスパイダーマンノワール

1人だけモノクロの世界観なのが面白いですが、あえてスパイダーマンノワールにカラフルなルービックキューブを遊ばせているシーンは面白いですね。

ちなみに、自分の次元の世界に戻る時には、ついに揃えることのできなかったルービックキューブを持ち帰っています。(笑)

「えっ、あの人色ないの?」

「なんで地下でコートがハタハタしてんだ?」

そして、初登場時のマイルスとピーター・パーカーの反応が面白くてめっちゃ印象にのこっています。

ペニー・パーカー

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日本人に受けそうなペニー・パーカーは、そもそも日本の漫画やアニメ風にデザインされたキャラクターだそうですね。

実際、日本の漫画・アニメが好きな僕は一目で気に入ってしまいました。(笑)

蜘蛛に噛まれたのはペニー・パーカーではなくその父親で、その父親が作った頭部に蜘蛛が暮らすロボットを受け継いでいます。

画風が2次元よりのキャラクターだからか、マイルスたち3Dのキャラクターとは違ったコミカルさを見せるのが特徴だと思います。

マイルスの能力を疑問視している時のジト目が可愛らしかった・・

スパイダーマン:スパイダーバースはかなり多種多様な予告映像が公開されていますが、そのひとつにペニー・パーカーが自己紹介しているものがあるので、それを見ただけでも「ああ確かに日本人受けしそう」ってことが分かると思います。

www.youtube.com

スパイダー・ハム

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何だか一人だけ随分と世界観が違う感じのキャラクターがスパイダー・ハムだと思います。

いろいろなスパイダーマンが登場して驚き戸惑っているマイルスとピーター・パーカーの前に、最後のオチ的な感じに登場してきたのが印象的でした。

僕は全く知りませんでしたが、実は初出は1983年とかなり昔から存在するキャラクターだそうですね。

断って置きますが、スパイダーマン:スパイダーバースはアニメ作品ではありつつも基本的に現代社会を舞台にした作品です。

そんな作品に登場するキャラクターとしては異質な感じですが、それもスパイダーマン:スパイダーバースという作品の中では違和感なく登場させているというか、わずかな違和感すら面白さに変換してしまっているというか、カチっとハマっている感じが凄いと思いました。

総括

いかがでしたでしょうか?

僕はスパイダーマンが好きだと言っても、サム・ライミ監督のスパイダーマン3作品と、マーク・ウェブ監督のアメイジングスパイダーマン2作品を観たことがある程度で原作のことは知りません。

だから最初、どうやら知らないスパイダーマンがたくさん出てくるらしいし、ひょっとしてスパイダーマン:スパイダーバースは原作を知らない人にはついて行きづらい作品なのではないかという不安がありました。

しかし、その不安は全くの杞憂だったことが分かりました。

恐らく全くの初見でも違和感なく楽しめるアニメーション映画だったと思います。

前提として、既にスパイダーマンというヒーローが活躍する世界観の中で、そんなスパイダーマンの活躍を見守る一市民でしかないマイルスが主人公だったことで、観ている側としてもマイルスと同じ一市民の目線から徐々にヒーローの世界に没入していけるのではないかと思いました。

だから初見でも問題ないわけですね。

また、本作品における主人公であるスパイダーマン。マイルスは最後の最後までヒーローではありませんでした。

ヒーローではなく、ヒーローになっていく主人公を描いている点も面白いですね。

 

スパイダーマンと言えばピーター・パーカーというイメージが強いので、それ以外のスパイダーマンが主人公というのには観る前は少々違和感を抱いていたものですが、最終的にはマイルスが主人公のスパイダーマン。本作品の続編があれば是非観てみたいと思うようになっていました。