『鬼島さんと山田さん』心の声が可愛らしい山田さんが魅力的な漫画の感想(ネタバレ注意)
『鬼島さんと山田さん』は、いわゆる人の心が読めるようになってしまったキャラクターが主人公の漫画です。
こういう能力の持ち主がメインキャラになっているようなフィクション作品は意外と多いと思いますが、どちらかといえば心が読めてしまうことへの苦悩だったり、悪用してしまったりだとか、ダークな方面になりがちな能力ですよね。
しかし、『鬼島さんと山田さん』の場合はただひたすら可愛らしい。
近年は大人の恋愛を描いたラブコメ作品が増加傾向にあるような気がしますが、『鬼島さんと山田さん』もそういうジャンルで、そこに人の心を読める主人公という要素をプラスアルファしたような感じです。
あらすじでは「心の声がとってもさわがしい山田さん」と紹介されていますが、とっても可愛らしいと思います。
?
本作の概要
人の心の声が聞こえてしまう鬼島さんは、心の声が鬼島さんへの好意で溢れている山田さんに次第に惹かれていきます。
言ってしまえばそれだけの物語なのですが、全開の好意を受けて照れつつもズルいと思ってしまう鬼島さんと、とにかく心の声が可愛らしい山田さんが魅力的な内容になっています。
本作の見所
鬼島さんの秘密
25歳の時に事故にあってから、人の心が聞こえるようになってしまった鬼島さん。
「人の心の声なんて聞こえない方が幸せだ」
そして、当然ながらそのことは隠していた方が良いことを悟ります。
そりゃあそうですよね。もし人の心が聞こえる人間が周囲にいたとして、果たしてどれだけの人が遠ざけずに受け入れるのか、想像に難くありません。
『鬼島さんと山田さん』で描かれているほど人間可愛らしくはありませんからね。
それに、どちらかといえば人の心が聞こえる立場の方が辛くなってくるような気もします。
最初は面白いと感じてしまうかもしれませんが、世の中には悪意が溢れていますから、何だか暗い気持ちになってしまいそうです。
心が読めるから取れる行動
鬼島さんをデートに誘おうと頑張る山田さん。
鬼島さんには丸わかりなんですが・・
「正直自分から一緒に行きませんかと声を掛けたくなる」
フォローする意味でもそう思ってしまうのは当たり前のことだとは思いますが、鬼島さんは躊躇します。
人の心に付け込んだ行動をズルいと思うから、人の心の声は聞かなかったことにするというスタンスを守ろうとしているわけですね。
まあ、勇気を出してデートに誘おうとしている山田さんに対して、明らかに自分に好意があって失敗することはないと分かっている鬼島さんとでは、確かにズルいと思ってしまう気持ちもわかります。
僕なら全く気にしないけどなぁ~(笑)
しかし、上手く鬼島さんを誘えずに落ち込んでいる山田さんを見て、自分から山田さんを誘ってしまいました。
いや、心が読めるって言っても、表情や雰囲気から察する能力が極端化しているのと同じと思えばそこまでズルくないのではないかと思いますけどね。
シンデレラ
「この飲み物、オレンジやパインとかのフルーツ味でシンデレラ要素ないのに名前でついつい頼んじゃうんだよね。でも今日は名前に釣られないぞ!」
心ではそう言いつつも、シンデレラを注文する山田さん。
鬼島さんも思わずツッコミを決めてしまっていますが、意外とこういうことってありますよね。
いつもとは違うものを頼もうかとメニューに悩みつつ、店員に声を掛けられた瞬間にいつも通りの注文をしてしまうってこと。
心の声が聞こえる作品ならではのあるあるネタで面白いと思いました。
水樹くんの複雑な心
山田さんの次に鬼島さんが心を読んでいる描写が多いのが、鬼島さんの後輩の水樹君。
コミュ力高めのイケメン風ですが、実は彼女いない歴イコール年齢の二次元オタク。
おお、何となく他人の気がしない・・
まあ僕は別に二次元好き隠してないですけどね。(笑)
それにしても、山田さんの可愛らしさは言うに及ばず、地味に水樹君の心の中も可愛らしいというか、わかるって感じがするというか、そんな気がします。
山田さんが自分に好意を持っていると勘違いして玉砕したり、Lineのアイコンが二次元オタク全開でアワアワしたり・・
そして、それが実は鬼島さんにはすべて聞こえてしまっているというところが面白いですね。
心の声っていうか普通に声に出てる件
お花見でお酒を飲んでる山田さん。
後から気付きましたが、このエピソードではあまり山田さんの心の声が聞こえていません。
その代わり、酔った山田さんのテンションが少々恥ずかしい感じになってしまっています。(笑)
いやはや、鬼島さんよくぞ送り狼にならずに済みましたね。
ぶっちゃけ山田さん、素面の時の心の声以上に積極的だったし、これは鬼島さんも危なかったのではないかと思います。
隠し事
ふとしたことで山田さんの心の声に対して返事をしてしまった鬼島さん。
まあ、ありえない話ではないので山田さんは鬼島さんと以心伝心だと喜んでいますが、鬼島さんからすれば別の思いがあるようです。
「嘘をついてしまった。それにオレはこのままでいんだろうか」
既に山田さんのことを好きになってしまっている鬼島さん。気持ちを伝える前に心が読めることを打ち明けるべきではないのかと悩んでしまっています。
どうやら過去にも秘密を打ち明けて離れていってしまった人もいるみたいですね。
それを後輩の水樹君に相談する鬼島さんですが、どうやら打ち明けること自体は心に決めているらしい鬼島さん、相談したことによって少し楽になったようです。
総括
いかがでしたでしょうか?
最近、こういう大人の恋愛を描いた漫画にもハマり気味なのですが、実はちょっとSF要素が入っているのはどうなのかなぁ~と読む前は思っていました。
ぶっちゃけそこまでリアリティは無いんだけど、こういうことあるかもしれないなぁ~と思わせる程度のリアリティがあるのがこの手の漫画の魅力だと思っているからです。
しかし、読んでみたら意外なほど面白かった。
心が読めるなんて言うとちょっとダークな想像をしてしまったりもするのですが、『鬼島さんと山田さん』の場合は心が読めるということを、あくまでも表情とか雰囲気で相手のことが分かるということの延長っぽい感じで描かれているような気がするのです。
実際、鬼島は心の声を話声と同じような感覚で聞こえるらしく、窓越しだと聞こえづらかったり、たまに心の声に反応してしまったりしていましたね。
だから、心の声が読めるというSF的な部分ですらリアリティのあるやり取りに見えたので、本作品を面白いと感じたのだと思います。
ただでさえ素直な女の子は可愛いと思うのですが、心の声が聞こえることで山田さんの魅力は何割か増していそうですしね。
想像以上に良かったので、これは続巻も楽しみです。