あるいは 迷った 困った

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『フルーツバスケット(5)』全編アニメ化記念に全巻レビューします!

 

虎なのに猫より可愛い十二支が登場する5巻です。(前巻のレビューはこちら

12歳という年齢は子供と大人のちょうど中間という感じだと思いますが、もっとも複雑な年頃という感じもしますね。

意外とどんな年代にもいじめというものは存在しますが、十代前半の思春期頃のいじめって一番心に来るような気がします。

もう少し年齢が上がると多少のことには動じなくなってくるものですしね。

それに、ただでさえ十二支という微妙な境遇。

十二支でこの年頃のキャラクターが登場するのは初めてですが、本田透と同世代の十二支は強さを持っている感じだし、大人の十二支たちは言うに及ばず。

そんな中、子供の十二支である杞紗はまた違った雰囲気ですよね。

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本作の概要

温泉旅行には来れなかった紫呉の提案で草摩家の別荘を訪れることになった本田透たち。

どうやら、元恋人が結婚することになったはとりに紫呉が気を遣ったようですね。

新たに虎の十二支も加わり、ますます賑やかな感じになってきました。

本作の見所

ジェイソン

草摩家、十二支の呪いがある一族だということですが、大きな別荘があったり結構なお金持ちですね、

「ジェイソンでも出てきそうな別荘だよねぇ」

本田透は始めて見る湖に目を輝かせていますが、湖畔の別荘って確かにジェイソンが出そうですよね。

それにしても、湖を見るのが初めてってどんな生活を送って来たんだって一瞬思いましたが、日本ってそんなに湖が多くないからそういうものなのかも知れませんん。

「ジェイソンってのは新種の熊の事だよ。物知らずの夾君♡」

ジェイソンを知らない夾と本田透が紫呉に騙されているのが面白いですね。

そして、どうやらこの旅行には紫呉がはとりを気遣った意図があるようなのですが、よくよく考えるとそのはとりに車の運転をさせているあたりが紫呉っぽいですよね。

読書好きのはとりのためにたくさんの本を用意した紫呉に、紫呉が趣味で書いた少女趣味な感じの小説を読んでいるはとりが地味にツボでした。(笑)

虎の十二支といじめ

今巻には虎の十二支が初登場します。

中学校に入学したばかりの12歳の女の子の草摩杞紗は家出少女で、雨の中虎の姿になってしまっているところを撥春に保護されます。

虎といっても子供。猫のように可愛らしい姿ですが、警戒心が強い感じで歩み寄ろうとする本田透にも噛みつく始末です。

心因的な理由で喋らなくなってしまい、中学校も不登校になり、そして家出してきたという事情みたいですね。

そして、その原因は思春期の子供にもっともありがちなアレです。

そう、いじめですね。

その原因は見た目。毛色の違う十二支は、そういう対象になりやすいというのは分かる気がしますが、まったく自分に非のない原因なだけにどうしようもなく、このツラさは容易に想像がつきます。

「あなた何やってるの? 周りに迷惑ばっかりかけて何してるの? 何考えてるの? お母さん困らせて楽しい?」

その上、自分の母親にこんなことを言われては逃げ場がないですよね。

とはいえ、この母親は紅葉の母親と違って杞紗に対して愛情を持っています。

本田透に電話で杞紗の好物を伝えたりと、心配している様子は伝わってきますね。ただ、十二支の親であることには参ってしまっているという感じなのでしょうか?

「言えないです・・「イジメられてる」なんてやっぱり・・言いづらいです・・私も・・言えなかったです・・」

本田透の自身の経験からくる体験談は、まさにいじめという問題の本質をついているような気がします。

よく、いじめられる側にも原因があるなんて言う人がいます。

杞紗に対するいじめも杞紗の外見が原因なので、まさにいじめられる側に原因があったケースではあるのでしょう。

しかし、原因があるからといって非があるわけではないことを勘違いしている人が多いような気がするんですよね。

どう考えても、いじめる側の方が悪いのがいじめなんだと僕は思います。

それなのに、そのまさにいじめられている人間自体が、いじめられてることに対して、後ろめたさや恥ずかしさを持ってしまい、だからこそ好きな人にほど言えなくなってしまう。

だからいじめって解決が難しいんだと思いますが、それを分かる人が側にいるだけで救われるものなのかもしれません。

実際、杞紗は自分と同じ経験をしたことのある本田透の言葉を聞いて、かなり本田透のことを慕うようになりましたね。

自分を好きになるということ

杞紗の担任から届いた手紙な書かれた綺麗ごと。それに対する由紀の感想が心に響きます。

杞紗の担任の先生は、杞紗が自分を好きになることが何より大事で、自分を嫌っている人間を他人が好きになってくれるハズはないと言っています。

う~ん、撥春も反吐が出る内容だと言っていましたが、恐らくこの担任の先生は誰もが自分を認めてくれる幸せな環境で育ってきたのかもしれませんね。

しかし、周りの環境が自分を好きにさせないことってあると思います。

「誰かに「好きだ」って言ってもらえて初めて・・自分を好きになれると思うんだ・・」

由紀のセリフはまさにその本質をついているような気がしますね。

要は順番な逆なだけなんですけど、人間誰かに認められているからこそ自分を好きになれるわけで、だからこそ承認欲求なんて言葉があるわけなのだと思います。

そこを常に誰かに認められながら育った幸せな人には、順番が分からなくなってしまうのかもしれませんね。

プリンス・ユキのメンバー

校内でファンクラブがあるほどの人気者の由紀ですが、そのファンクラブであるプリンス・ユキのメンバーは由紀と距離の近い本田透を疎ましく思っているようです。

そして、その本田透の守護者っぽい立ち位置の花島咲の弱点を探るため、花島咲に近付きます。

「売られた電波は買かわなくちゃ・・」

よくわかりませんけど(笑)、プリンス・ユキの良からぬ企みを感じ取りつつも自宅に招き入れることになった花島咲。

そして、このエピソードでは花島咲の弟である花島恵も初登場します。

花島姉弟に翻弄されるプリンス・ユキのメンバーたちが面白いエピソードだと思います。

それにしても、草摩家の一族と本田透がメインの『フルーツバスケット』という作品ですが、この姉弟の個性は十二支のメンバーにも全く引けを取っていない・・どころか超えてしまっています。

いやはや、本当に面白い姉弟ですね。(笑)

 

総括

いかがでしたでしょうか?

今巻ではいじめというまた暗い話が出てきますが、それなのに最後には何だか温かい気持ちになるのは『フルーツバスケット』の魅力そのままな感じですね。

次巻は『フルーツバスケット』の作中でも最も記憶に残る夾のエピソード。

他の巻は何巻にどんなエピソードが載っていたのかあまり覚えていませんが、6巻だけは鮮明に覚えています。(次巻のレビューはこちら