『フルーツバスケット(7)』全編アニメ化記念に全巻レビューします
毒舌な羊と口数少ない虎のコンビが可愛らしい7巻です。(前巻のレビューはこちら)
今巻ではまた新たな十二支。羊の草摩燈路が初登場します。
恐らく、現実に草摩燈路のような少年がいたらかなり腹立たしくなってしまいそうな小生意気な少年で、戸惑わされつつも全く怒らない本田透の器の大きさが際立ちます。
本田透がいるから小生意気に見えてしまう行動を取っている燈路の、微笑ましい部分が本田透を通して見えるという構図が面白いですね。
そして、今巻には個人的に好きなエピソードである魚谷ありさと本田今日子の過去が描かれています。
『フルーツバスケット』は基本的には本田透と草摩家の物語なので、このエピソードはある意味ではサイドストーリーでしかないのですけど、元族という作中においても特殊な立ち位置の2人のエピソードはいつもとちょっと違った雰囲気もあって面白いと思います。
やっぱり、『フルーツバスケット』に限った話ではありませんけど、ある程度作品の雰囲気が定まってきている作品において、いつもとちょっと違う雰囲気のエピソードってスパイスが聞いているような感じがして好きになってしまいやすいところがありますよね?
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本作の概要
新たな十二支。
羊の草摩燈路が初登場し、口数は少ないものの杞紗がちょっと明るくなっていたり、微笑ましい姿が見られます。
また、魚谷ありさの過去を通して本田今日子の姿も見られます。
本作の見所
小生意気な羊
杞紗は初登場時、いじめにあっていたこともあって塞ぎ込んでいる風でしたが、本田透に懐いて随分と明るくなったような気がします。
『フルーツバスケット』には明るすぎるキャラクターが多いのであまり目立ちませんけど。(笑)
今巻で初登場する草摩燈路に借りたアニメのビデオを持ってきて本田透と一緒に見ているシーンとか微笑ましいですよね。
しかし、杞紗と仲良くしている本田透が気に入らないやつが1人。
「”お姉ちゃんお姉ちゃん”ってなんだよいつも。ビデオだってさっさとボケ女の処に持ってって・・なんでさっオレが貸したのに。オレが一緒に観ようって・・」
初登場から早々小生意気が過ぎる燈路で、さすがに本田透ももっと怒って良いだろうって感じでしたが、どうやら元々小生意気な少年がヤキモチが理由で更に小生意気に磨きがかかってしまっているという微笑ましい状況だったというオチだったようです。
実は、過去に燈路が杞紗への好意を慊人に伝えたときに、慊人が杞紗に全治二週間の怪我を負わせたという事件があったらしく、口達者なだけで何もできない子供であることを卑下するのですが・・
「燈路さんは何もできなくないです。杞紗さんを守れる素敵な王子様になってゆけます」
自分が何もできない子供であると認められる人は少ない。それを認める勇気を持っている燈路は凄いと本田透は言います。
というわけで、小生意気だけど実は背伸びをしているわけではない燈路も、少しだけ本田透のことを受け入れたようですが、相変わらず杞紗は本田透にべったりなのでヤキモチだけはなくならないようですね。(笑)
スクール水着
本田透の通う学校はなんと水泳時に着用する水着が自由なようです。
おしゃれな水着を買えずにスクール水着姿の本田透が浮いてしまっています。
なるほどなかなか自由な校風の学校らしいですね。
「たとえばコンビニでコンビニ弁当買ってるじいさんの背中を見た時と同じ気持ちっつーかさ!! 別に当のじいさんはなんともおもってねぇかもだけど見てるこっちは居堪れないっつーか、やるせないっつーか、理由も無く泣けてくんだよ。あたしは泣けてきちゃうんだよ。そうだよレジ打ちながら泣いたのはこのあたしだよっ」
ともあれ、そんなに不憫なわけではないとも思うのですが、魚谷ありさは本田透のことを不憫に思ってしまったようです。
若干じいさんに失礼な気もしますけど、魚谷ありさ史上恐らく最大の長台詞ですね。(笑)
そして、プレゼントという形にすべく由紀、夾、紫呉を誘って本田透に水着を買いに来たのですが、若干居心地の悪そうな由紀と夾が高校生だなぁという感じです。
下着売り場とか女性用の水着売り場って、男にとっては真横を通るだけでも何だか気まずさを覚える場所ですよね。
よく女性の連れがいたら平気な人もいるみたいですが、個人的にはそっちの方が何だか気まずい気がします。
なので由紀や夾が若干照れ気味なのは思春期男子だからってわけでもなく、割と大人でも表に出さないだけで同じような反応だったりするものだと思うのですが、漫画的には定番の面白いエピソードだと思います。
魚谷ありさと本田今日子
本田透の母親である本田今日子。その過去については以前から仄めかされていた部分ではありますが、今巻で魚谷ありさの視点で詳細に語られています。
『フルーツバスケット』という作品においては異質の元族の2人ですが、伝説になっている本田今日子もなかなかですが、小5で属デビューした魚谷ありさの経歴はもう別作品かよって感じです。
あと強面ではあるけど中学時代の魚谷ありさのキャラデザって地味に可愛いと思うのは僕だけでしょうか?
もしかしたら本田今日子の娘が同じ中学校の通っているのではないかという噂を耳にし、どんなヤンキー女なのかと想像していたら「あの」本田透と出会うことになるわけですから、当時の魚谷ありさの戸惑いが手に取るようにわかりますね。
「コレじゃ気づく訳ねぇよ・・」
実際そんなことを言っていましたし、本田今日子とも知り合うことになりますが・・
伝説のヤンキーは、本田透の母親と言って違和感のない親バカになっていました。(笑)
魚谷ありさは最初、ガッカリした様子を見せていましたが・・
「なのに、ウソだろ。欲しいとか、羨ましいとか、思うなんて」
徐々に本田親子に感化されていきます。
その後の本田透との関係も何だか可愛らしくて良いですね。
本田透まで危ないヤツ扱いされてしまいそうになって、それを我慢ならないと思ってしまっている魚谷ありあさはもう既に本田透の親友になっていますね。
そして、族抜けすることを決めた魚谷ありさを助ける本田今日子がまた格好良いこと。
本編では亡くなってしまっているのでこういうサブエピソードにしか登場できない本田今日子ですが、本当に良いキャラクターだと思います。
プリンス・ユキと次期生徒会
時たま登場するプリンス・ユキのメンバーも、随分と存在感が濃くなってきましたね。(笑)
ついに生徒会長になることを決めた由紀とともに誰が生徒会メンバーになるのか、生徒会メンバーの中に女子はいるのかと、プリンス・ユキのメンバーは現生徒会長に詰め寄ります。
そこまでやるかって感じですが、昔の少女漫画的なキャラクター、嫌いではありません。
そして、このエピソードのラストには今後生徒会メンバーになるキャラクターも顔見せされています。
かなり好きなキャラクターなので出番が楽しみな処です。
総括
いかがでしたでしょうか?
個人的には、本田透の原点であろう母親。本田今日子のキャラクターがかなり見えてくる巻ということもあって好きな巻でした。
今後は由紀を取り巻く生徒会メンバーというのもメインキャラクターになっていくのですが、ラストにはそんな生徒会メンバーになるキャラクターが少しだけ顔見世しています。
ますます賑やかになっていきそうで楽しみなところだと思います。(次巻のレビューはこちら)