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『小学生がママでもいいですか?(2)』転生したママが事案すぎる漫画の感想(ネタバレ注意)

 

最近、転生って聞くと異世界転生ものの作品と絡めて考えてしまいますが、小学生がママでもいいですか?異世界転生じゃなくて現世に転生する物語となります。

それも主人公じゃなくて、主人公のお母さんが。

ゲーム会社に勤める徳山岳大は、小学生の頃に母親を事故で亡くし、高校生の頃に父親が病死して、現在は独身の一人暮らし。

そんなある日、岳大の前に現れた尼崎木々那は小学五年生。

なんと、木々那の前世は若くして亡くなった岳大の母親で、亡くなる原因となった事故と似たような事故が起きた時に前世の記憶が呼び起こされたという経緯になります。

ブコメっぽい雰囲気の作品ですが、息子と母親という関係、大人と子供という関係など、どうやったってラブコメにはなり得ないシチュエーションなのに、何だか温かい気持ちになってしまうような作品となります。

突然自分の母親を名乗る女児が現れた岳大の戸惑いと、母親として岳大の世話をやきたい木々那が、面白くも魅力的だと思います。

今巻には、木々那の転生に対する認識なんかも描かれていますが、最近はやりの転生チートとはいかない世知辛い感じになっている木々那が、岳大の母親として振舞っている木々那とは違った感じになっていて、その辺も面白いと思いました。

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本作の概要

前巻のラスト、リーダーとしての重圧に耐えかねて仕事を放り出してしまった岳大を木々那が助けるところから物語は始まります。

木々那の転生者としての認識が語られたり、木々那のお姉さんが登場し、妹の秘密を知ることになったり、ちょこちょこと波乱は続きます。

本作の見所

怒らないお母さん

子供は親に叱られるものです。

どんなに立派な人間であれ、両親不在の孤児だとか特殊な事情が無い限りは何度となく叱られたことがあると思います。

「・・どうして何も言わないんだろう? 完全に会社サボって昼間から飲んだくれてるダメな大人にしか見えてないよな・・。自分の子供がそんな大人になってたら説教の一つもするのが普通じゃないか?」

そして、叱ってくれる親がいないことは子供にとって不安なものだと思います。

岳大も、そもそも木々那が自分の母親であるということを認め切っていないにも関わらず何とも言えない不安に見舞われているようですね。

僕は大人になってから両親に叱られるようなことをしたことはありま・・恐らく無いはずだと思っていますが、確かにもし岳大のような状態になっていることを知られた時に全く叱られなかったら逆に不安になってしまうかもしれません。

「叱られるようなことをしたと思ってるなら、あとは自分がどう反省して何をすればいいか考えるだけじゃない? 岳大ちゃんは今まで叱って欲しかったの? 違うよね。どうしたらいいか、どう頑張ったらいいのかわからなかったんだよね。ちゃんと気づいたよ。大丈夫」

しかし、木々那が叱らなかったのは決して岳大を見限ったからではありません。

むしろ岳大への理解が大きいからこそ、今は叱る時では無いと判断していたようです。

いやはや、木々那のように怒りをぶつけるのではなく理解をぶつけてくれる母親って何だか良いですよね。

僕が気付けていないだけで、僕の両親もそうだったのだろうかと少し考えてしまいました。

それにしても、木々那の発現は明らかに小学五年生の女児のものではありませんね。

完全には認められていないとはいえ、木々那が母親である前提で岳大も接するようになりつつあるのも分かる気がします。

転生者木々那

むかし『ドラえもん』でこんなエピソードがありました。

のび太が小学五年生の知識をそのままに小学一年生に戻るお話。

さすがののび太も小学一年生レベルではテストで100点を簡単に取れる優等生になります。現代的な言い方をしたらまさに知識チートってやつですね。

そして、もし小学生からやり直すことができたらって想像してしまうことは僕にもあります。

知識チートとまではいかなくても、今ある経験を元にもっと効果的に成長していけるんじゃないかって、そう思うんですよね。

それに、大人になった今だからこそ子供の頃にあんなに疎ましいと思っていた学校の勉強が、とてつもなく恵まれた環境であることが理解できているからこそ、無駄にしたくないとか思ってしまいます。

「あたしってば理解力の天才として生まれ変わってしまったのでは!?」

岳大の前ではお母さんしてる木々那ですが、少なからず転生したという状況にテンションが上がっているところがあるようです。

しかし・・

「えっと・・すいません、わかりません・・」

そんなにうまくはいかないようです。

同級生の一吹にも「案外頭良くない」と言われちゃっていますね。(笑)

その上、自分からネタ振りしてしまったからというのもあるのですが、言動がオバサンくさいと言われてしまいました。

岳大といる時とは違った雰囲気の木々那が良い感じですね。

木々那のお姉さん

痴漢が怖いのは女性だけではありません。

揺れる満員電車の中ではどうしたって女性と体が触れてしまうことを完全に避けることはできません。

そんな中、いつ痴漢と誤解されたりしないかという怖さが男性にもあります。

だから誤解されないための対策は大なり小なり講じているものです。

僕の場合、電車の中では読書かスマホゲームをしていますが、単なる暇つぶし以外に「痴漢なんてしてないよ~」というアピールも含まれています。

そして漫画のキャラクター、特にラブコメの主人公はその辺の脇がめっちゃ甘くなりがちですよね。(笑)

岳大も寝不足で電車に揺られて、女子高生の胸を鷲掴みにしてしまいます。

幸いにも相手が理解のある女の子で警察沙汰にならずに済んだ岳大ですが・・

なんとこの女の子は木々那のお姉さんだったようです。

割とシスコン気味のお姉さんの名前は湖乃美で、最近よく出かける木々那を不審に思って後を付けます。

すると合鍵でマンションに入っていく木々那の姿が!

まあ、大人ならまだしも小学生の妹が知らない家の合鍵を何故か持ってて普通に入っていけば心配にもなりますよね。

そして、その家からは電車で自分の胸を鷲掴んだ男が現れます。

「小学女児拐取の現行犯だな。滅多にいない同行の士なのに残念だよ・・」

まあ、状況だけ見たら明らかにそういう状況ですからね。

木々那がフォローしますが、もし警察沙汰になったらそのフォローすらあまり意味のなさなさそうな状況だと思います。

仕方なく木々那は自分の前世が岳大の母親だったことを打ち明けますが、湖乃美からしてみれば信じられるはずもありません。

木々那は、木々那が作れなさそうな料理を作ったり、1980年代の知識を披露したりと何とか信じてもらおうとします。

そんな感じで、湖乃美が元々オカルト好きだったこともあるのでしょうが信じるに至ったようです。

「最後にもう一つ質問いい? 元の木々那はどうなったんだ?」

しかし、オカルト好きの湖乃美が頑なに信じようとしなかった最も大きな理由はここにあったのだと思われます。

まあ、元の木々那は消えたわけでは無く混ざったということらしいのですが、お姉さんとしては複雑な心境でしょうね。

総括

いかがでしたでしょうか?

木々那のせいでロリコン疑惑は払拭されきっていない岳大ですが、芦屋さんは明らかに岳大に気がある感じでラブコメが始まりそうな気配がプンプンします。

しかし、完全には認めていないものの岳大は既にかなり木々那を本当に自分の母親であるものとして振舞うようになりつつあります。

小学五年生の木々那が岳大の側にいる限り、芦屋と恋愛的な関係になったとしても順風満帆に行くわけがありません。

とはいえ、既に岳大は木々那を蔑ろにはできなくなりつつあるような気がします。

考えられる展開としては、岳大の幸せを考えた木々那が身を引いていくか、芦屋にも木々那の前世が岳大の母親であることを伝えるか・・

まあ、そんな感じの展開が想像されますね。

いずれにしろ、今後も楽しみな作品であることには違いありませんね。