あるいは 迷った 困った

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『フルーツバスケット(8)』全編アニメ化記念に全巻レビューします

 

猿の十二支が初登場する8巻です。(前巻のレビューはこちら

意外と大人が多い十二支ですが、もうすぐ社会人という大学生は初めてですね。

作中で年齢について語られることのない慊人がもしかしたら同世代くらいなのではないかと思っていますが、どうなのでしょうか?

だとしたら草摩家、二十歳過ぎに人格が不安定な人多すぎないかって感じですが、まあそもそも普通ではない性格の人が多いですからね。

www.aruiha.com

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本作の概要

修学旅行のグループ行動について話し合っていたらブラック春が降臨し、いきなりてんやわんやあった帰宅時に本田透は新たな十二支・猿の草摩利津に出会います。

3巻に登場した温泉旅館の女将の子供で、親譲りの非常に不安定な性格を兼ね備えた女装イケメンという青年ですね。

進路や将来への不安という高校生らしいエピソードも描かれています。

本作の見所

夾って本田透ぜったい好きでしょ

始めて『フルーツバスケット』を読んだ時、恋愛要素少なめの作品とはいえ少女漫画なんだから、最後はそういう要素が出てくるとは思っていました。

そして、本田透は由紀とそういう関係になるのかなぁと漠然と思っていたので、ネタバレになるけど夾と結ばれる結末には驚いたものですが・・

改めて結末を知っている状態で読み返すと、夾って本田透のこと絶対好きでしょうと思えてくるから不思議です。

「キョーはイヤなの? トールと一緒に行動するのもイヤなの!?」

「バッ、そんな事ある訳・・」

まあ、この程度のエピソードで気があるなんて恋愛ごとには結びつきはしないのですけど、節々にそういう所が描かれているのに気づきます。

由紀は由紀で本田透のことを今さら名前呼びできないと恥ずかしがるエピソードがありますが、夾に比べるとそういうエピソードは少なめでしょうか?

猿の十二支

女装が似合うキャラクターって学園もののコメディ作品では定番ですが、大学生くらいで、しかも常に女装しているキャラクターって意外と珍しい気がします。

個人的にパッと思いつく限りではVシリーズの小鳥遊練無くらいでしょうか?

「果物にしようと思ったのですが、お好みがわからなかったので果物の本にしてみました・・」

母親であるあの温泉旅館の女将と同じネガティブ思考という特徴に目が行きがちな利津ですが、意外とズレたところもあって面白いですね。

「そんなことないですっ、女装は恥ずかしいことではないと思うですっ、むしろとっても似合ってました!!」

しかし、ズレたところもあるという点では本田透も負けていません。

恥ずかしさで女装していたことを本田透に言い出せなかったことを謝る利津へのフォローがフォローとしてどうなのかって感じの内容ですね。(笑)

「そんな根性はなくていいですよ・・!! 図太くていいじゃないですか・・っ」

とはいえ最後には良いことを言ってくれるのはさすが本田透です。

自分は世を儚むべき存在でありながら生に図太いと嘆く利津に本田透がかけた言葉は・・いや、これは名言というより利津があんまりにもあんまりだから言った当たり前の言葉って気もしてきました。(笑)

とはいえ、そういう言葉を真っ先にかけるのが本田透だってところは納得感があるところですね。

生まれた理由

「私がこうして生まれた理由もきっと無いのだろうから」

生まれた理由ってキーワードは『フルーツバスケット』という作品にとって重要な意味がありそうな気がしますが、利津は自分にそれは無いと思っているようです。

それなのに生きようとしている自分は図太いと、そう思っているようです。

「みつけようとしているのですよ」

図太いというよりは根深い感じのする利津ですが、本田透は利津の言葉を否定します。

「初めから”理由"を持って生まれてくる人間なんていないかもしれないって、みんな自分でみつけていかなきゃいけないモノかもしれないって・・思うから」

なるほど。確かに生まれる理由なんて生まれた時から持っている人はいないですよね。

例えば、両親などにとっては理由はあるのだと思いますが、本人は理由どころか何も持たずに生まれてくるわけですからね。

「できる事ならやっぱり私は、誰かの中にみつけたいです・・」

これまた耳が痛くも前向きな言葉。

これがそこまで幸せとは言えない境遇の本田透から出てくるというのが凄いですね。

進路・将来

ポジティブ少女の本田透は、進路や将来に対してもそう振舞っていましたが、実は年相応の不安はあるようです。

「気にしないようにしているばっ、場合知らんフリをしていたっいただかなっないと、ヨワヨワになってこっこんな・・ボトボト困る・・ですからっ」

平気に振舞っていたら、夾に内心の不安を指摘されて漠然とした不安が表に出てきてしまったようですね。

本田透は前向きではあっても、完全に内面が前向きなのではなく、そもそも前向きに振舞おうとしているところもあるのかもしれませんね。

強く生きなきゃいけない境遇というか、そういうことなのだと思います。

お化け屋敷

「「大人」にならなくてもいいが、自分の行動や発言には責任の持てる奴になれ。・・ま、そっちのほうが難しいが・・」

繭子先生の何だか良いセリフから夏休みが始まりました。

そういうわけで、紅葉に連れられてデパートのお化け屋敷にやってきた本田透たち。

仲良くなりましたね~

実はかなり怖がりの本田透が珍しく・・いや、そんな珍しくもないかもしれませんがギャーギャーと騒いでいます。

そんな中での撥春の提案。お化け屋敷の自分設定が地味に面白いですね。

「たとえばその人・・実は人情に厚く、動物と料理好きの好青年・・」

お化けに親しみ深い設定を付けていくのですが、地味にクオリティが高いのが個人的にめっちゃツボでした。(笑)

こういう所に笑いがある作品って好きです。

総括

いかがでしたでしょうか?

ヤンキー漫画かってくらい意外と険悪な雰囲気にもなりがちな『フルーツバスケット』ですが、どんな話でも結局あたたかい感じになっていくのはさすがですね。

個人的に今巻ではお化け屋敷のエピソード、撥春の語るお化けの自分設定がツボでした。

夏休みや修学旅行という大きなイベントを前にした巻なので、今後はちょっと変わったイベントが描かれることが期待されますね。(次巻のレビューはこちら