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『ゲソコン探偵(1)』足フェチ探偵が活躍するミステリーの感想(ネタバレ注意)

 

フィクション作品における探偵は、ファンタジーにおける勇者や冒険者のような一種の英雄的な属性のキャラクターだと思います。

そして、その在り方はあまりにも多種多様で、世の中には様々な種類の探偵が存在します。

刑事や弁護士、検察官あたりは定番中の定番。少年探偵や安楽椅子型探偵なんてのも有名な属性だし、犯罪者側が探偵役なんて珍しいケースもありますね。

また、多種多様な職業の探偵が主人公の作品もあって、その職業の特性にあった推理を披露する所に面白さがあったりするものです。

大学教授、喫茶店の店員、添乗員。何の作品とは言いませんがパッと思いつく限りこんな職業の探偵はいたはずです。

そして、ゲソコン探偵靴屋の店員というちょっと見たことの無い探偵役が登場するミステリー漫画となります。

足元の情報が推理の材料になるというのは、シャーロックホームズ然り古典のミステリーにおいても有名なところですが、だからといって靴屋の店員を探偵役に据えるとは・・

思いつきそうで思いつかない面白い発想だと思います。

足跡やら靴の種類やら、そんな情報をメインにどんなミステリーが描かれるのかが非常に興味深い作品ですね。

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本作の概要

警視庁捜査一課の女刑事である東竜希は、靴屋の店員である美少年・西原秀に出会います。

シューフィッターと名乗る西原秀は、足と靴のフィッティングから東竜希の体調が良くないことを見抜きますが、傍目には足フェチの変態さんです。

しかし、西原秀の腕はどうやら確からしく、東竜希はついついお高い靴を買わされてしまいます。

そして、そんな縁で東竜希は足跡や靴が鍵となりそうな事件において西原秀に協力を仰ぐようになっていきます。

シューフィッター。

靴屋の店員という珍しい探偵役が誕生しました。

本作の見所

シューフィッターの西原秀

シューフィッターというのは、靴屋で客の足のサイズや形にピッタリと合う靴を選ぶ人のことだそうです。

寡聞にして知らない職業でしたが、専門職であれ何であれ確かに靴屋ではサイズだけではなく客の足の形も見て、おすすめの靴を持ってきてくれる店員さんがいますが、あれがそうなのでしょうか?

そして、本作品における探偵役はシューフィッターの西原秀。

「なんて不細工な足跡なんだ!!! 右腰が痛いだろ。胃も悪くしてる」

女刑事で主人公の東竜希が夜中に訪れた靴屋にいた店員の美少年。西原秀は東竜希を見るや否や「不細工」と失礼な一言。

しかし、これは顔や体形に対して放った言葉ではなく、足跡に対して放った言葉でした。

・・どっちにしても失礼か。(笑)

ともかく、東竜希の体調をあっさりと言い当てました。

「こんな靴選ぶな。愚か者!!!」

そして、足の形のパターンを説明した上で東竜希が自分の足の形に合った靴を履けていないことを指摘し、合った靴を勧めてきました。

「・・お前は、ふくらはぎは美しいのだから・・」

この一言だけ切り取るとかなり変態チックな西原秀ですが・・

「す、凄いフィット感・・! 足を支えられている安心感・・!?」

東竜希はそこそこお高い勧められた靴をあっさりと購入してしまいました。

西原秀の変態チックな部分と、押し売り感が強すぎるところを除けば、意外と靴屋さんでよく見かける光景ではありますが、それをミステリーにおける探偵役のキャラクター紹介として描いているところが面白いですね。

足フェチと美少年萌えのバディ

東竜希は警視庁捜査一課の女刑事で、いつもリクルート的なスーツを着ていることからリクルートと呼ばれています。

女性が飛び降り自殺した事件を捜査する際に、被害者の女性が自分が西原秀の靴屋に入る前にすれ違った女性であることに気付き、そしてその時間は女性の死亡推定時刻よりも後でした。

何かあると感じた東竜希でしたが、1人分の下足痕が自殺である証拠となり上司は取り合ってくれません。

そこで思いついたのが・・

シューフィッターである西原秀に証拠となる足跡の写真を見せてみること。

証拠写真を部外者に見せてしまって良いのだろうかと少し思いましたが、ただの写真くらいなら良いのかな?

東竜希としてはダメ元だったらしいですが・・

「二人いる。足跡が二人分、歩容で分かる」

西原秀は足跡が二人分存在することを断定します。

要は歩き方の違う人間の足跡から二人分と断定したわけですが、実際に歩容は個人を識別する生体識別技術として研究されているようですね。

ともあれ、西原秀は事件に関わることになり、歩容に限らず超一流の鑑識官並の観察力を発揮します。

容疑者として追いかけた女の座り癖。追いかける時には普通の人なら見えない足跡を追いかけたり、並々ならぬ足元に対する観察眼。

しかし、ゲソコン探偵のミステリー作品として特殊な部分として、最後に事件を解決するのはあくまでも刑事である東竜希になっている点。

優れた観察力を発揮する西原秀が探偵役であることは間違いないと思いますが、あくまでも東竜希の協力者という立ち位置になっているようです。

つま先だけで分かること

遺棄された被害者の真上にある樹上に仕掛けられたカメラ。

そこには黒の革靴のつま先。別のタイミングではサンダルのつま先が映っていました。

警察はこれを同一の犯人の足元であると捉えていたのですが・・

「別人だぞ?」

なんと西原秀は一発でそれが別人のつま先であることを見抜いてしまいます。

黒の革靴は先芯の入った頑丈な安全靴で、靴の両側にある直線の擦り傷からドアに足をねじ込む強引な営業マンであると推理し、サンダルのつま先は重度の外反母趾であることから先芯の入った靴は履けないという推理です。

黒の革靴が営業マンのものだという推理は実は誤りなのですが、強引な営業マンと同じ特性を持つ職業の人間ではあったので、あながち完全な誤りとも言えず東竜希が真相にたどり着くヒントになったのは間違いありません。

足元の情報が推理の材料になるのは古典ミステリーからの定番ではありますが、改めて足元に持つ情報の多さに驚かされますね。

そういえば、僕は中高生の頃にそんな名探偵に憧れて足元に限らず色々観察しようとしていた黒歴史的な時期がありましたが、僕には何もわかりませんでした。(笑)

総括

いかがでしたでしょうか?

探偵役の西原秀が若干気持ち悪くも凄すぎますね。

足元のあれこれだけを推理材料とした探偵役をここまで描かれるというのは凄いと思いますし、意外なほど面白かったです。

足元のあれこれの奥深さを僕は全く知りませんが、1巻だけでも正直かなり奥深いと感じました。

これがどこまで深くなっていくのか楽しみな気がします。