『服を着るならこんなふうに』なぜだかユニクロに行きたくなってくる漫画の感想(ネタバレ注意)
オシャレの勉強にもなって面白い『服を着るならこんなふうに』の最新巻の感想です!
7巻が発売した時は「待った~」って感じだったけど、8巻は意外と早く発売してくれました。
今巻では、ファッションの価格帯の違いは優劣ではないという部分にスポットが当たっています。
以前から触れられていた部分ではありますが、なるほどって思わされることもあって面白かったです。
多くの人が無意識に価格帯の違いが優劣の違いだと思ってしまっているところがあると思いますが、そういう人にとっては目から鱗というか、新しい発見になるような内容なのではないかと思います。
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本作の概要
前巻で、本作品の原点である黒スキニーを着古して処分した佐藤祐介。
ユニクロの黒スキニーも気に入っていた祐介ですが、山ほどあるブランドから自分で選べるようになってみたいとオシャレに目覚め始めています。
そういうわけで環と一緒にデザイナーズブランドの並ぶ伊勢丹を目指すのですが・・
そこで環が過去に喧嘩別れした友人の高橋奈那と再会することになります。
環と高橋奈那が喧嘩した理由もまたファッションに関することなのですが、そこにはファッションにおける優劣と区別のお話があります。
本作の見所
ブランド価格の理由
伊勢丹メンズ館を目指す祐介と環が出会ったのは、環の友人の高橋奈那。
高橋奈那の方は友好的に近付いてきますが、環の方はキョドリ気味に高橋奈那を避けていて、祐介を残して帰ってしまいます。
その理由は後述するとして、ともあれ残された祐介は実は伊勢丹メンズ館の店員だった高橋奈那の案内で買い物することになります。
「服好きの女性って堂々としてる人多くね・・?」
高橋奈那に抱いた祐介の印象ですが、確かに女性に限らず服好きの人って堂々としている人が多いような気がします。
適切なファッションは自信の鎧のようなものなのかもしれませんね。
それにしても、妹の友人とはいえ知人になってしまったショップ店員の案内で買い物するとか、僕にはちょっと真似できない。(笑)
洋服のブランドショップってやたら店員が話しかけてくるもので、それに苦手意識を持ってることが、そのままオシャレへの苦手意識になっている人って多いと思います。
とはいえ祐介にとっては高橋奈那の説明はありがたかったようで、ユニクロに比べるとかなりお高いですが良い買い物ができたと思っているようです。
しかし、なぜこんなにブランドは高いのか?
それは、ユニクロのような量販店では万人受けするデザインなので、逆に言うと個性的な尖った部分がないようになってしまいます。
それがブランドだと最初から客層を絞っていることで攻めたデザインを実現できるわけですね。
そして、客層を絞っているということはそのまま高価格に繋がります。
考えてみればなるほどって感じですね。
特にハイブランドの洋服って、高い割には買ってもあまり着なさそうだなぁって感じの尖ったデザインの洋服が多いような気がしますし、そういう店の店員さんの服装って店の中にいたら違和感ないけど、街中を歩いていたらかなり目立ちそうな服装です。
全部を個性的にするのではなく、自分に合っていると思った一部分だけこういうブランドを選ぶのが良いのかもしれませんね。
佐藤環はなぜ高橋奈那を避けるのか?
絶対会いたくなかったとまで言って高橋奈那を避ける環ですが、その理由もまたファッションにあります。
かつて、おかっぱメガネだった環はオシャレな高橋奈那に興味を持ち、誰だってオシャレになれると言う高橋奈那と友達になりました。
人とは違う差別化がオシャレなのだと言う高橋奈那ですが、当時はハッキリダサいと思った人にはダサいという歯に衣着せぬことをいうような女の子だったようです。
環は高橋奈那にダサいと言われないようにいつも緊張していたようですが、ある時ユニクロの服を着ていた環は高橋奈那にダサいと言われ、一緒に歩きたくないとまで言われてしまいます。
高橋奈那も若気の至りっぽいし、今では環もそれをスタンスの違いと受け止められるようですが、仲直りにはなかなか踏み切れなさそうな様子です。
区別と優劣の違い
どちらも仲直りしたいと知った祐介の不自然なはからいにより、カフェで同席することになった環と高橋奈那。
高校生の頃の高橋奈那は差別化を区別ではなく優劣だと勘違いしてしまったようですで、それで環を傷つけてしまったことはかなり後悔しているようですね。
祐介がゲームの知識をひけらかしていた過去の自分を引き合いに出していますが、好きなものに対して他の人と自分は違うって思ってしまうこと、確かにあるような気がします。
今の高橋奈那はそのことも分かっているようで、ユニクロを着ている環をダサいと言い切った過去があるのに今ではユニクロでも洋服を買いまくっているのだとか。(笑)
それにしても本作品のユニクロ推しは相変わらず。確かに良いんですけどね~
重ね着の難しさ
僕は季節の変化に鈍感なのであまり気にしたことがありませんけど、祐介は季節の境目の服装に悩んでいるようです。
そして、重ね着が最近のトレンドということで重ね着に挑戦しようというエピソード。
しかし、ファッションとしての重ね着って難しいですよね。防寒対策としての重ね着は良いとして、ほとんど見えない部分にお金をかけたくないって思ってしまうから。(笑)
とはいえ、アパレルショップに展示されているマネキンとかは、いつもうまいこと重ね着していてオシャレに見えるのも確か。
こういうの試してみたいとは思うんだけど、実用重視でいくと必ずしも必要ない重ね着って手が出にくいって思ってしまいます。
まあ、僕の場合は実用重視ではありつつも最低限必要なのものオシャレな感じにしたいなぁってスタンスだから、しばらくは重ね着は良いかなって思います。
幕間の環が何か共感できて可愛い・・
幕間に描かれる高橋奈那に電話する前に、電話で話すことを復唱したりメモしたりしている環が地味に可愛い・・
今ならLineで気軽に連絡が取れるところ、環はスマホ自体持っていませんからね。
こういう電話する前の下準備って昔は僕もしたなぁって、ちょっと共感というか、懐かしい気持ちになりました。
そこでしか買えない服
大阪に出張した祐介は、大阪にいる同期と大阪の洋服屋を巡ります。
僕も勘違いしていましたが、地方で買えて東京で買えない洋服はほとんど無いものだと思っていましたが、そこでしか買えない服は意外と多いのだとか。
今はネットで東京でしか売っていないような洋服はいくらでも買えるようになっているので、地方では「わざわざ店に来てもらう理由」を作るのに必死だから、そこでしか買えない服が生まれるという理屈ですね。
まあ、ぶっちゃけ東京レベルで何もかも揃っていたら大半の人にとっては十二分に満足できるだろうとは思いますが、そういうそこでしか買えない服というのも面白いとは思います。
そして、大阪に来てまで結局ユニクロで買い物している祐介も面白いと思います。(笑)
服の価格と正解と個性
環と高橋奈那の2人と買い物にきた祐介。
ハイスペックPCや中古車並の値段の洋服なんてものも存在する世の中。
ピンからキリまである価格帯の洋服をいろいろ紹介してもらい、結局何を買うのが正解なのかと答えを求める祐介でしたが・・
「実際は正解のアイテムなんて無いんですよ」
こういう時はこういうものを着るべきみたいな常識はあるでしょうけど、何を選ぶのかの正解は無い。だからこそトレンドや流行があって、それが今を切り取るファッションの面白さだと高橋奈那は言います。
祐介はなるほどと納得しつつも混乱してしまっていますが、考えてみれば当たり前の話ですよね?
もし仮にファッションに正解があったとしたら、そこに出来上がるのは誰もが同じテンプレート的な格好をした無個性な世界でしょうから。
「だからもし、今日の買い物に正解があるとしたら、お兄ちゃんのお財布的に買えそうで欲しいと思ったものかな」
いわゆるピンときたヤツが正解ってやつですね。
総括
いかがでしたでしょうか?
さんざん「面白いよ」とオススメしておいてなんですが、実は『服を着るならこんなふうに』という作品にはひとつだけ重大な欠点があります。
それは読んだ後、洋服を買うということに対して財布の紐がゆるくなってしまうということ。(笑)
影響力が強い作品はそれだけで魅力的なものですけど、ハイブランドでなくても洋服ってそれなりに高い買い物ですからね。
だけど個人的には、以前ほどブランド名に拘ってしまったりすることもなく、ケースバイケースで上手に洋服を選べるようになったのではないかとも思っています。
例えば、『服を着るならこんなふうに』には以前からユニクロ推しなところがあります。
そして、僕は以前まで同じ価格帯の洋服の中でもあまりにも有名すぎるユニクロを避けていました。本作品の言い方に倣うなら、無意識に区別ではなく優劣を付けてしまっていた所がありました。
安い洋服をいくつも持っているよりも、ハイブランドの洋服を一着大事に持っている方が良いんだって、そう思っていたわけですね。
そしてこういう考えの人、僕の周りだけ見ても結構多いような気がします。
しかし、『服を着るならこんなふうに』を読んでいると服の選び方ってそうじゃないってことが少し理解できたような気がしてきます。
確かに財布の紐は緩くなったんですけど、以前ほどハイブランドに拘らなくなったことでプラマイゼロになっているくらいかもしれません。
というわけで、今からちょっとユニクロ行ってくるわ~