あるいは 迷った 困った

漫画、ラノベ、映画、アニメ、囲碁など、好きなものを紹介する雑記ブログです。

『服を着るならこんなふうにfor ladies』男だけどレディース版を読んでみた感想(ネタバレ注意)

 

服を着るならこんなふうにとは、ファッションをテーマにした珍しい漫画作品です。主人公の妹でファッションに詳しい大学生の佐藤環が、ファッションに苦手意識のある20代会社員の主人公の佐藤祐介に、ファッションについて教えたことで徐々にその奥深さに気付いてハマっていくというのがストーリーの主軸になっています。

兄妹のキャラクターはなかなか魅力的だし、話の内容も面白いのですけど、何より興味深いのがかなり分かりやすい初心者向けのファッションの教科書のような作品になっている点です。

それこそ初期の祐介のようにファッションに興味が無かったり苦手意識のある人が読んだとしても、興味を持つキッカケにもなりますし、どうやって洋服を選べばよいかの基礎知識を身に付けていくことにも繋がります。

これは以前本編のレビューをした際にも言及したことではあるのですが、オシャレが苦手な人に対して「ファッションってこんなに奥深くて楽しいんだよ」と伝えようとしているのが服を着るならこんなふうにという作品なのですね。

作中にはハイブランドの高価な洋服や小物も登場しますが、基本的にはごくごく一般的な金銭感覚の人でも真似しやすい範囲でファッションを教えてくれるのが本作品の良いところだと思います。

しかし、街中で様々な性別や年齢の人を眺めてみれば一目瞭然のことではありますが、ファッションは性別や年齢によってかなり違ったものとなります。とりわけ女性のファッションは、ごくごく普通の一般人であってもかなりの多様性があるものですよね?

つまり、主人公が20代男性のサラリーマンである服を着るならこんなふうにでは、そんな多様性のある女性のファッションまでは網羅されていないわけです。恐らく、本作品の読者にしても20代から30代の男性が多いのではないかと予想します。

とはいえ、面白い上にファッションの教科書としても秀逸な作品なので、女性ファッションをテーマにしたようなエピソードも需要がありそうだと感じていましたが、実際に同じ世界観の別作品として刊行されたわけなので需要はあったのでしょうね。

僕は男なので教科書としては使えませんが、それでは面白い作品ではあるので読んでみました。

?

本作の概要

押さえるところさえ押さえておけばまあ失敗することのない男性のファッションと異なり、あまりにも多種多様で難しそうな女性ファッションですが、街中でよく見かける服装の意味合いが分かったり、実は男性のファッションとも基本的な部分で通じる所があることが分かったり、興味深い内容になっています。

しかし、男性のファッションを勉強中で女性のファッションなど分かるはずもない本編の主人公はほぼ不在です。(笑)

本作の見所

レディースファッションは難しい

メンズファッションと比べて情報量が多く、服だけではなくメイクや髪形にアクセサリーも男性よりずっと気を使わなければいけない。

そう言って本編の主人公である祐介は少し顔見せして、男性視点から見た女性ファッションの難しさを代弁したのちに退場です。(笑)

実際、ごくごく一般的な男性の視点から見ると女性ファッションは一種の専門性を帯びた特殊な世界に見えてしまいます。しかし、よくよく考えてみれば素敵な洋服を着こなす一般人女性にとっても難しさは変わらないのではないかと思います。

こういうのは興味があったり、必要があったりすることに対して無意識の内に知識を身に付けていくものなんでしょうね。それはある一定の難しさがあることならファッションに限らず同じことが言えます。

ファッション強者の環が、兄の祐介に対して男性ファッションについては教えられても女性ファッションに対しては難しいと感じているところからも、その奥深さが伺えますね。

3つのシルエット

女性ファッションにはオシャレに見えやすいシルエットが3つあるそうです。

最初に種類だけ言及すると、Aライン、Yライン、Iラインということになるのですが、文字の形の通りに下に広がっているのがAラインで、上に広がっているのがYライン、そして細めな印象なのがIラインとなります。

そして、どんな服装を選ぶとそれぞれどのラインに近付くのかが説明されているのですが興味深いです。

ハイブランド

何か一つはハイブランドをって感じでハイブランドには憧れますよね。そこに男女差はあまり無いと思いますけど、しかし何となく女性の方がハイブランド好きなイメージがあるのは僕の偏見でしょうか?

個人的には、洋服など尖ったデザインが多かったりブランドの主張が強かったりするところがあまり好きではないので、財布のように目立たない小物であればハイブランドを使うこともありますが、そんな感じでハイブランドに対する距離感は人それぞれだとは思うのですが、それはそれとして手の届かないような高額なファッションを眺めてしまうのは人のさがなのかもしれませんね。(笑)

体形とファッション

ファッションを楽しめるのはスタイルが良いから。

そんな風に感じてしまう人がいるのは男女共通なのだなぁと思わされます。

しかし、どちらかといえばむしろ欠点を隠すために使えるのがファッションであるということを本作品は教えてくれています。

痩せて見せたくて細身の洋服を着る人がいるのは男女共通ですが、タイトなものよりあえて広がりのあるものを選ぶのがコツだという点では共通しているのが面白いですね。

それを踏まえて道行く人のファッションを思い出してみると、特に女性のファッションの場合はヒラヒラしていたりフワフワしている洋服が多いので、そういう意味では体形を隠せるようによくできていることが分かります。

カジュアルとドレス

男性ファッションと同じなのは痩せて見せる時のコツだけではありません。

本編でも繰り返し登場するカジュアルとドレスの割合でその場に応じたファッションを選ぶという考え方は、女性ファッションでも同じみたいですね。

女性ファッションの多様性は、そこまでファッションへの興味が大きいわけでもない僕のような男性から見ても羨ましいところですが、しかし一方で面倒くさそうと感じる部分でもあります。

例えば会社員であれば、男性はスーツ一択で服装に困ることなどありませんが、近年はオフィスカジュアルで女性の場合はスーツ姿の人の方が稀ですからね。

仕事中に着る洋服として適切な洋服は何なのか?

それも毎日同じ洋服というわけにもいかない中で考えるのは中々面倒くさそうです。誰も指摘しませんけど、中には「そんな恰好で仕事するの?」と思わず言いたくなるような人もいますからね。

そういう意味では、女性は男性以上にシーンに応じた服装を常日頃から考える必要があるわけで、カジュアルとドレスの割合という基礎知識は日常的に役立つのではないかと思います。

総括

いかがでしたでしょうか?

女性のファッションそのものにはそこまでの興味は無かったものの、単純に漫画作品として面白かったですし、相手の理解のためには男でも女性のファッションについて多少の知識があっても良いのではないかとは思っているので、そういう意味では勉強にもなりました。

ただ、個人的にはこの漫画の購入時にレジに持っていくのが地味に気恥ずかしかったです。(笑)

少女漫画だとか肌色成分多め表紙の漫画だとか、その辺は平気も平気なところではありますけど、やっぱりこの漫画に対して教科書的なイメージを持っているところがあるので、「おまえが買ってどうすんだ」という風に自分でも思ってしまっていたからかもしれません。

例えば、僕は購入したことがありませんが女性ファッション誌を購入しようとしたら似たような気恥ずかしさが生まれそうな気がします。

とはいえ、別に女性だけが楽しめる漫画というわけではなく、男性が読んでも普通に面白いので、是非一度読んでみてはいかがかと思います。