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『幽遊白書(7)』短めだけど濃密な名作の感想(ネタバレ注意)

 

幽遊白書』の暗黒武術会編も佳境に差し掛かってまいりましたね。

浦飯Tは幻海の活躍で決勝進出を決めましたし、7巻の序盤にも幻海と戸愚呂弟の因縁の対決が描かれていて、幻海の活躍が著しいです。

戸愚呂弟との戦いには前哨戦という感じも含まれていますが、個人的には暗黒武術会編のバトルカードの中でも上位の名シーンだと思っています。

そして、戸愚呂Tにおける戸愚呂弟以外の実力も明らかになっていきます。

強敵っぽいですが、浦飯幽助も大きくパワーアップして復活したっぽいですし、ラストバトルへの期待が高まっていきますね。

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本作の概要

幻海の活躍もあって決勝進出を決めた浦飯Tですが、戸愚呂弟以外の実力も明らかになってきて戸愚呂Tとの決勝戦はどのカードも苦戦が予想されます。

そんな中、決勝進出の立役者である幻海と戸愚呂弟の因縁の対決が場外で始まり、すべてを浦飯幽助に託した幻海はここで力を使い果たして、しかしそれでもなお戸愚呂弟には届きませんでした。

そして、幻海を失った浦飯幽助は戸愚呂弟との戦いに闘志を燃やします。

本作の見所

幻海VS戸愚呂弟

暗黒武術会の外で行われる野良試合ですが、暗黒武術会編で指折りの見所のひとつだと思うのが幻海と戸愚呂弟の因縁の対決ですね。

正直なところ、乱童編の時点では幻海がラスボス級のキャラクターである戸愚呂弟との因縁のあるこんなに深掘りされるキャラクターになるとは思わなかったというか、わりと驚きの展開だったのではないかと思います。

そして、この対決はそんな因縁に決着を付けるものですが、浦飯幽助の師匠として圧倒的な強者感があり、実際に暗黒武術会の中でその実力を示してきた幻海が、浦飯幽助に力を継承した後とはいえ80%状態の戸愚呂弟の相手にもならない展開は、その後の浦飯Tと戸愚呂Tの試合の行方に不安を感じさせます。

幻海に勝つためには技を超えた圧倒的なパワーが必要なのだと戸愚呂弟は言及していますが、まさにその言葉通りにパワーで幻海を圧倒します。

「お前は幻海じゃない。骨と皮のただのガラクタだ」

「あたしは幻海だ。お前なんかに殺されてたまるか」

戦っているさなかのこのやり取りが非常に印象的です。

長きに渡って強力な力を維持することに拘って人間から妖怪にまでなった戸愚呂弟と、自然に従って年老いていくべきであると考える幻海の価値観の違いを如実に示していますね。

つまり、戸愚呂弟からしてみたら若くて強かった頃の幻海こそが本物の幻海であり、現在の浦飯幽助に力を継承して弱くなった幻海は幻海ではないと否定しているわけで、それこそが戸愚呂弟の価値観だということです。

こういう主張のぶつかり合う戦いでは、より正しいと感じられる主張を持つ方が勝利するのがありがちな展開という気もしますが、この対決の結末はその逆の結果となりました。まあ逆と感じるか否かは読み手の捉え方次第ですが、多くの人は幻海側の主張に正しさを覚えたのではないかと思います。

そして、こういう正しさを持つ主張があっけなく敗れていくのは読んでいて何だか切ないですよね。

幽遊白書』はバトル系少年漫画ですが、意外と切ないとか哀しいと感じられるシーンは多いのも特徴だと思います。

まあ、戸愚呂弟の主張にもあまりにも突き詰めている愚直さがあって、それこそが強さという風にも感じられたような気もします。

蔵馬VS鴉

裏御伽チームの鈴木からもらった前世の実を武器に再び妖狐の姿に戻って戦う蔵馬が見所となります。

そもそも、今ではそこまで珍しいわけでもありませんが、当時のバトル系少年漫画のキャラクターとして蔵馬はかなり珍しい部類のキャラクターだったような気がします。

中世的で古典的な少女漫画にでも登場しそうな出で立ちがまず珍しかったですよね。そんなキャラクターがスタイリッシュではあるものの攻撃的な要素を踏まえた妖狐に変身して戦うというのには、単純に格好良いというだけではなく一種の高揚感がありました。

裏浦島との戦闘では、妖狐になった蔵馬の凄さを強調するためもあったのでしょうけど一瞬で決着が付いてしまったので消化不良感もありましたし、そういう意味では鴉との戦闘を楽しみにしていた人も多かったのではないかと思われます。

そして、そんな妖狐になった蔵馬の珍しいバトルシーンを遺憾なく楽しむことができるのですが、何より面白いのは決着のシーンでは元の蔵馬に戻ってしまっているところ。

妖狐になって鴉をそのまま圧倒していくというのでもそれはそれで面白くはあったと思いますが、妖狐の強さは見せつつ、蔵馬に戻すことでピンチを演出し、その上で勝負に勝って試合に負けるようなギリギリで決着するというのが憎いですよね。

飛影VS武威

飛影にとっての暗黒武術会といえば、黒龍派を完成させるための過程であったという印象が強いですよね。

そして、どうやら戸愚呂Tとの決勝戦までに黒龍派の後遺症を直すに留まらず完成すらさせてきたところはさすがといった感じです。

武威もまた凄い実力者であることは事前に示されていましたが、苦戦すらせずに圧倒的に飛影が勝利してしまいました。もっと苦戦する展開を予想した人が多いのではないかと思いますが、飛影ってそういう感じのキャラだよねって思わされてしまうところが興味深いです。

ちなみに、僕はそうだったのですが、この飛影と武威の試合シーンを読んで飛影であれば戸愚呂弟とも良い勝負をしそうだと思った人は多いのではないでしょうか?

桑原VS戸愚呂兄

浦飯Tと戸愚呂Tとの対決カードについて、ここまでくれば戸愚呂兄と戦うのが桑原になるであろうことは想像に難くないところだと思いますが、桑原が戸愚呂兄に勝利するイメージが個人的には最初湧きませんでした。

実際、試合展開は終始桑原が圧倒され続けるといった感じです・・というか、暗黒武術会編に限らず桑原の戦闘シーンってあまり最初から相手を圧倒するような展開ってほとんど無くて、炊いては最初からピンチって感じですよね。(笑)

しかし、そう来るかと思わされるような驚きの逆転勝ちを収めることが多く、今回もそれと同じような展開になりました。

多少のダメージを与えても回復してしまう戸愚呂兄に、復活でき内容の霊剣を鉄板のような形にして全体を潰してしまうという勝利は、あまりスマートには見えないものの桑原らしさがあって良かったと思います。

総括

いかがでしたでしょうか?

そういえば、浦飯、桑原、蔵馬、飛影の4人が揃って出場するのは一回戦以来ですね。そう考えると、覆面選手こと幻海が不在なのが悔やまれます。いや、一応コエンマが代わりにいますけど。(笑)

ともあれ、次の8巻はいよいよクライマックス。浦飯幽助と戸愚呂弟の試合が開始されます。

恐らく『幽遊白書』のバトルシーンの中では最長となる浦飯幽助と戸愚呂弟の試合が楽しみですね!