『不良退魔師レイナ』誤解されがちな退魔師のギャグホラーの感想(ネタバレ注意)
こんなに怖くないメリーさんって初めて見たわ~
ちょっと変わり種のホラー漫画かと思って読んでみたら、そんな感想を持つことになるホラーギャグとでも言うべき作品が『不良退魔師レイナ』となります。
ゾクッとするようなホラー漫画を期待して読んだ人は少し肩透かしを食らうかもしれませんが、常にそうきたかって感じの展開が笑わせてくれる面白い漫画であることは間違いありません。
不良少女っぽい行動の全てに退魔師としての意味があるという発想が興味深いです。
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本作の概要
クラス委員長の真宮寺心は、いきなり転校生の鈴野レイナからのイジメとしか思えない嫌がらせの目に遭います。
鈴野レイナは、金髪スカジャンにルーズソックスといういかにも不良少女といった出で立ちで、言動も見るからに素行の悪そうな感じの少女です。
どうして鈴野レイナは嫌がらせをするのか?
実は、鈴野レイナは凄腕の退魔師でそれは嫌がらせではなく除霊活動だったのです。
好きで退魔師として活動している鈴野レイナが、退魔師として活動するほどに不良少女と恐れられるようになっていくところが面白い作品です。
本作の見所
退魔師の鈴野レイナ
死ね。ブス。学校にくんな。呪・・
クラス委員長の真宮寺心の机にイジメとしか思えないラクガキが施されている。
『不良退魔師レイナ』はそんな場面から始まります。
転校してきてから早々、真宮寺心をイジメのターゲットにしているとしか思えない鈴野レイナ。
「ナニ見てんねん。ぶっ殺すぞ!!!」
転校早々睨まれてこの暴言。
イジメのターゲットを見つけた不良にしか見えませんが・・
「ちゃうわ! これは魔法陣や!」
どうやら最初のイジメとしか思えないラクガキも真行寺心に憑いた霊を除霊するための魔法陣で、睨みを利かせていたのも恐らく霊に対してだったのだと思われます。
「おめーの席ねえから!!!」
壮絶なイジメを描いたすえのぶけいこ先生の少女漫画『ライフ』を起源とする、ひとたび口にすれば不良少女キャラを不動のものとする有名なセリフですが、これも真宮寺心ではなく、真宮寺心に憑いた霊に言っているわけです。
事情を知らない人間には、どうしたって真宮寺心をイジメているようにしか見えないし、鈴野レイラ本人はそんな周囲の視線というか、誤解に対しては無頓着。
そうして実際とは乖離したイメージを不動のものにしていく鈴野レイラが面白いと思います。
・・こうして感想を書いていると、ホラー漫画のプロローグの感想だとは思えないですね。(笑)
怖くないメリーさん
個人的にはメリーさんのエピソードが一番好きです。
メリーさんとは、起源は分かりませんが電話を掛けながら少しずつ近づいてくる洋式の人形の怪異というか、都市伝説のことですね。
さて、真行寺心の元にも一本の非通知電話が掛かってきます。
メリーさんは携帯電話なんてものが存在しない時代から存在する都市伝説ですが、現代のメリーさんは非通知で電話を掛けてくるんですね。
「ハァハァ、私メリーさん。今あなたの家の前にいるの・・。ハァハァ」
そして、ついに真宮寺心の家のドアを何度も、何度も叩き始めます。
「開けて!!! 開けてぇぇぇぇ」
これは怖いですね。
恐怖以外のなにものでもありません。
ですが、前述した通り『不良退魔師レイナ』はホラーギャグとでもいうべき漫画であり、最初に書いた通り僕はこんなに怖くないメリーさんを始めてみました。
それはどういうことなのか?
というわけで種明かし。
実は、最初はメリーさんも普通に都市伝説通りの怪異として真行寺心の元に近付いてきていました。
しかし、それを途中で鈴野レイナに発見され、しかも追いかけられることになってしまったのです。
鈴野レイナから逃げながらもなんとか真行寺心の家の玄関前にたどり着いて、なんとか都市伝説通りに電話を掛けるメリーさん。
それで家の前からの電話では息切れしていたわけですね。むしろ恐怖を煽る感じになっているのが面白いですが。(笑)
そして、そこに鈴野レイナが追い付いてきます。
ドアを開けろとしきりに叫んで、何度もドアを叩いていたのでは鈴野レイナから逃げるためだったわけです。
結果的にメリーさんは都市伝説通りの行動を起こしているのに、その理由が途中から鈴野レイナから逃げるために代わっているところが面白いですね。(笑)
容赦のない鈴野レイナ
最初の除霊では不良少女認定され、そしてメリーさんの件ではストーカーじみた別の意味で怖い少女だと認定された鈴野レイナですが、真行寺心の友人である佐々木陸が実は人狼の家系であることを明らかにし、そして助けたことで信頼を得ることになります。
しかし、人狼化した陸を助ける時の容赦のない殴打の連続は容赦がなく、不良少女というのは誤解だったとしても暴力的ではあるのかもしれません。
また、鈴野レイナは人狼の尾骨の具合を調べるために陸のお尻を時たま蹴っ飛ばしているのですが、それもまた誤解を増長させる行為ですよね。
他にやりようはないのかと陸も疑問を呈しますが・・
「せやかて・・直接手で触ると変な噂が生まれるやろ?」
「確かに・・不良転校生から百合転校生になるかも・・」
どうやら、不良扱いもストーカー扱いもあまり気にした様子ではありませんでしたが、鈴野レイナも百合扱いされるのは嫌みたいですね。(笑)
総括
いかがでしたでしょうか?
実は何となく購入したまま積み本になりかけていたところを、Amazoneで高評価のレビューが多いのを見かけて「そういえば買ってたなぁ~」と読んでみた作品なのですが、評価通りに面白い作品だったと思います。
初めて読む作品というやつはこれだから侮れないんですよね。
面白そうだと思ったらそうでもなかったり、期待していたわけでもないのに読んでみたら結果面白かったり。
僕にとっては、まさに『不良退魔師レイナ』が後者に該当しました。