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『いじめるヤバイ奴(6)』白咲さんの過去に少し触れた最新巻の感想(ネタバレ注意)

 

いじめるヤバイ奴の6巻は、いじめ薩長同盟編(?)のクライマックスに向けた盛り上がりと、作品そのものの謎である白咲さんの在り方の伏線が貼られたような内容で、いじめ成分は若干控えめです。

緑田さんもいじめてもらえず不満そうですね。(笑)

しかし、いじめ成分は少な目でも圧倒的な個性は健在の内容になっています。

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本作の概要

文化祭のミスターコンテストでいじめの証拠動画を晒されるピンチを何とか阻止しようとする仲島君と、そこに加藤、田中を加えたいじめ薩長同盟

しかし、それもなかなか上手くいかない上に目的が同じで協力しているだけのメンバーの間には亀裂も入っていきます。

そして、遂にミスターコンテストの本番を迎えてしまいます。

一方では、白咲さんが過去と内面が少しずつ明らかになっていきます。

本作の見所

白咲さんの過去

本作品における最大の謎って、やっぱりヒロイン(?)の白咲さんが何で仲島君に自身をいじめさせようとしているのか。いじめを緩められるとどうしてあそこまで怒り心頭になるのか。何よりその人間性こそが最大の謎なのだと思います。

だって意味が分からないですよね?(笑)

いじめの被害者が実は首謀者なんて状況は、改めて言うまでもなく普通のことではありえません。

「クラスの中心人物ですごく優しくて私の言うことは何でも聞いてくれて私のために一生懸命尽くしてくれる男ならいるなぁー。高校ではほとんどその人と一緒にいるんだ」

しかし、この6巻における白咲さんの帰郷のエピソードにおいて、恐らく初めて白咲さんの仲島君に対する認識が明らかになっています。

間違ってはいないのに何か違う感が半端ないセリフですね。(笑)

ただ、白咲さんの中学時代の友達(そのような存在の登場も意外ですね)が、このセリフを聞いて仲島君が白咲さんの彼氏であると勘違いしていますが、そのように捉えられても不思議ではない認識を白咲さんが仲島君に対して持っているのは興味深いところです。

そして、このエピソードでは中学時代の白咲さんにあった「何か」が仄めかされています。

タイムカプセルの手紙を見る限り白咲さんを含め3人いたらしい友人関係。しかし、白咲さんが帰郷で出会った過去の友人は一人で、いるのは墓前という状況。

そして、回想の中にいる白咲さんとナイフを持った少女。

これらが何を意味するのか、現時点では情報が少なく推測も難しいところですが、今まで伏線らしい伏線もなかった白咲さんの内面に迫る取っ掛かりになるエピソードになっていてとても興味深かったです。

割と久々かもしれないいじめ

ミスターコンテストの第一部では、未成年の主張的な感じで屋上からアピールするようです。未成年の主張、懐かしいですが今の中高生くらいはほとんど知らないでしょうね。(笑)

さて、仲島君の番が回ってきたのですが、そういえば5巻くらいから仲島君は何かと忙しくていじめが手薄になっていましたね。それで白咲さんも爆発寸前です。

というわけで、聴衆の目を言葉巧みに逸らしつつ、屋上と地上という距離を武器に未成年の主張をしながら白咲さんをいじめるという離れ業をやってのけます。

「何で自分がこんなことを・・」という本当の主張が聞こえてきそうな有様に少しばかり可哀そうになってきますね。

仲島君による白咲さんをいじめるシーンは意外と久々な気もしますが、本作品の持つヤバさはずっと継続的に健在だったのが興味深いところ。

本作品のヤバさは単にいじめの被害者が首謀者であるという特殊な状況のみに起因するわけではないのかもしれませんね。

加藤というキャラクターはどこに行くのか?

修学旅行編が終わってからキャラが迷走している加藤君。

キャラが迷走している状況というのは何かしら作者にもコントロールできない何か(テコ入れ等で収拾が付かなくなった等)に原因があるように感じられることが多いですが、加藤君の場合は面白がってワザと迷走させられている感じがしますね。(笑)

少なくとも、もともと腕っぷしは強いキャラクターではあるはずの加藤君ですが、岩瀬を倒すために覚醒。かつての力を取り戻します。

・・何の漫画の感想だっけコレ?

なんてことを感じてしまうようなことを言ってしまいましたが、加藤君に起きたことはまさにそうとしか言えないようなことなので仕方がありません。(笑)

「ここ最近の杖に頼りきっていた状態に急激な負荷がかかったせいで一気に活動限界を迎えたんだ・・!!」

しかし、どうやら今の加藤君は以前ほどは強さを継続できないようです。

一体どこのウルトラマンなんだってツッコミたくなりましたけど、もし途中から読んでいて以前の加藤君が知らない人が読んだら何事かと思いそうなシーンはとても面白かったです。

ツッコミ担当でもボケ担当でもなく、ツッコミどころ担当みたいなキャラクターになってきましたね。加藤君は。

ちなみに、最後には白咲さんが登場し、仲島君への助けを口にしたところでプレッシャーに耐え切れず加藤君(杖バージョン)に戻ってしまいました。

ミスターコンテスト

文化祭におけるミスコンやミスターコンテストというイベント、僕の通っていた学校ではありませんでしたし、実はあまり定番イベントのイメージは無いのですけど、ともあれ仲島君はミスターコンテストでミスター矢場高に選出されます。

もちろん、これは生徒会副会長・如月によって仕組まれた出来レースで、上げて落とすためのお膳立て。仲島君が何とか阻止しようとしていたいじめの証拠映像は聴衆の前で流されてしまうことになります。

しかし、興味深いのは加藤君に言われて助けに現れた白咲さんを見てのモノローグ。

「ちゃんとうまくやっておりますので」

これは言い訳じみたものではなく、不敵だが緊張感のある笑みを浮かべた仲島君が思わせぶりで、しかも白咲さんもそれを察して早々にその場を立ち去ってしまいます。

ここまでの場面、仲島君がうまくやっているように見えず取り返しのつかない場面まで来てしまったような気もするのですが、ここからどのような逆転劇が待っているのかが楽しみですね。

総括

いかがでしたでしょうか?

正直に言って、いじめるヤバイ奴という作品の読後感は毎度のことながらあまり気持ちの良いものではありません。

僕はどちらかと言えばスカッと爽快感のある作品だったり、感動と共感を呼ぶ作品だったり、まあいわゆる万人受けする作品が好きなタイプの人間です。幅広い作品に触れてきているからといってコアな分野を好きだと言って通ぶるつもりは更々ありません。

そんなわけでいじめるヤバイ奴は本来好きなタイプの作品では全くないのですが、しかし続きをどんどんと読んでいきたくなる不思議な中毒性があります。

いじめという不謹慎にも取られかねないテーマですが、それをテーマにした作品は実のところ少なくありません。

被害者であれ加害者であれ傍観者であれ、恐らくほとんどの人は何かしらの形で関わったことのあるものだから、興味は持ちやすいのかもしれませんね。

とはいえ、いじめるヤバイ奴の場合における特殊極まる状況に関わったことのある人は皆無でしょうけど。(笑)

身近であって身近でないもの。それがいじめるヤバイ奴という作品にある中毒性の正体なのではないかと思います。

それにしても、仲島君は一体どのようにして如月に逆転するんでしょうか?

意外にもこういうエンタメチックな感じで続きが気になるのは本作品だと珍しいですね。