『異世界おじさん(1)』17年間異世界にいた男の日常が面白すぎる漫画の感想(ネタバレ注意)
異世界転生・転移ものの作品は、信じられないほどに量産され続けています。
レアケースとしては異世界人が現代に転生・転移してくるケースもありますね。
しかし、異世界に転移して、そして戻ってきた人の話というのは、少なくとも僕にとっては『異世界おじさん』が初めてでした。
などなど、他の作品ではちょっと味わえないような種類の面白さのある作品です。
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本作の概要
17歳の時にトラックにはねられて17年間昏睡状態だった叔父が目覚めた。
・・そんな一文から始まる『異世界おじさん』。
トラックにはねられたら異世界転生するのが最近の定番ですが、本作品ではトラックにはねられて普通に昏睡状態に陥ります。
しかし、その昏睡状態の間に実は異世界を冒険していたのが主人公のおじさんとなります。
異世界転生もののお約束も何もない時代(メタい・・)に異世界転生し、そんな異世界から帰還したおじさんの日常が描かれたシュールな作品となります。
17年のギャップがあるおじさんを見ていると、20代後半以上くらいの人は何だか懐かしい気分にもなるかもしれません。(僕はなりました)
本作の見所
ゲームハード戦争と記憶消去
異世界転移からの帰還の物語ですが、異世界転移していた間の17年間のギャップが面白い物語でもあります。
異世界からの帰還者であるおじさんはどうやらSE〇A系ハードの好きなゲーマーだったようで、真っ先に帰還後真っ先にゲームハード戦争の行方を気にしていました。
「そこ!?」って感じだけど、ゲーマー的には重要なんでしょうね。
「魔法だよ「火よ」。そんなことよりゲームハード戦争どうなった? SE〇Aは?」
火の魔法という超常現象を披露しながらも、ゲームハード戦争の行方ですか。
おじさんが異世界転移したのが2000年だからドリキャスが現役の頃。まさか、その後SE〇Aがゲームハードから撤退してしまうとは思わなかったようですね。
誤解を恐れずに不謹慎なことを言えば、実際に十数年昏睡状態になっている人はいるもので、そういう人が目覚めた時に感じる急激な時代の変化って実際にはどう感じられるんだろうと少し興味が沸きました。
早すぎたマリベルって言葉があってだな
おじさん曰く、異世界でのおじさんの扱いは酷く、特に攻撃的な奴がいたらしいです。
「毎日まとわりついてきて嫌がらせ・・っていうか・・俺が何やっても人格否定とか・・罵倒してくるんだよ」
なるほど。異世界転移ものといえば、なぜか無駄に女の子に好かれる主人公という構図が定番ですが、実際には世知辛いものだって路線で行くのか・・と思いきや・・
「初めて会った時も魔物から助けたのに礼もなかった・・『誰も助けてなんて頼んでないわ触らないで』」
・・ん?
「『あんたのために助けたんじゃないわ勘違いしないで』とか・・あの女・・他にも『あんたみたいなオーク顔と一緒にいて吐かないでいてあげられるのはあたしぐらいなものね』とか、とにかく嫌がらせの言葉がひどいんだ。てきとうな町でまいて逃げたよ」
いやいやいや・・!
めっちゃテンプレの様式美的なルートに入ってるじゃないですか!
・・ってツッコミたくなる感じですが、2000年頃にはこういうツンデレって概念が浸透していなかったのは確かです。
ツンデレ属性キャラのパイオニアであるドラクエ7のマリベルが、当時ツンデレ属性という概念があまり浸透していなかったためあまり評価されず、後年「早すぎたマリベル」と揶揄されることになったのがまさに2000年の頃ですからね。
17年のギャップ
2000年頃と比べると世の中は随分と変わりました。
おじさんの17年のギャップは面白くもあり、また2000年頃を思い出して懐かしくもなる感じで良かったです。
ネットの定型文
「なんでダブリューを沢山つけるんだ!?!?」
甥のたかふみに教わりながらYouTuberとして活動しているおじさん。
しかし、2000年頃といえばまだまだインターネット黎明期。やっと一般人にも浸透し始めかけているくらいの時期です。
当然、今では当然のように使っている・・どころかちょっと古臭く感じるくらいの「ww」とかも知らないわけですね。いや、だけど逆にいつ頃から使われるようになったのか、ちょっと興味も沸きますよね。
携帯電話の種類
おじさんが異世界転移した2000年頃といえば、携帯電話の形態が多種多様に進化し始めた頃ですね。
ガラパゴス諸島の生物のように独自の進化をしていく携帯電話を指して、これらがガラケーと呼ばれるようになったのはいつの頃だったか・・
いわゆるスマホが一般化してから中身の進化は続くものの形態の進化は終息してしまいましたね。
ともあれ、現代のスマホは種類やスペックが違えどもできることに大差はありませんが、昔のガラケーは形態だけではなくできることにも大きな差がありました。
あっちを立てればこっちが立たないみたいなところもあって、カタログと睨めっこして携帯を選んだのが懐かしいですね。
そういう所にも楽しさがありましたが、おじさんがスマホではなくガラケーを欲しがっているのも、そういう楽しさを求めている部分があるのかも知れませんね。
「まぁとりあえずボタンいっぱいついてあるやつ触りたい」
いや、ちょっと違うかもしれないけど。(笑)
こち亀といいとも
「こち亀もう終わったよ」
「おっ・・!? 終わるもんなのかあれ!?」
そんなわけないのに、いつまでも続くものだと思っていた『こち亀』ですが、終わっちゃいましたよね。
おじさんも驚天動地の反応をしています。
確かに、あの作品の永遠に続いていきそうなオーラは凄かったですからね。
「もう「笑っていいとも!」やってないよ」
「まじかよ!? あれ終わるもんなのか!?」
そして、「笑っていいとも!」が終わったってのも驚いていたものの、まあ17年も経ったらそりゃあそうかと納得しかけるおじさん。
むしろ結構最近まではやっていたことに驚いたり、反応がいちいち面白いです。(笑)
ツンデレの女の子可愛すぎ!
ことあるごとにおじさんの回想に登場する異世界のツンデレの女の子がめっちゃ可愛い・・というか、この2人のやり取りが面白い!
早すぎたツンデレからの好意に全く気付かず、突き放し続けるおじさんと、それでも何だか健気な感じのツンデレの女の子。
これが回想にしか登場しないキャラクターなんて・・
いや、回想にしか登場しないようなキャラクターは意外と多いですが、1巻に登場する回想にしか登場しないキャラクターがこんなに魅力的なんていうのは珍しいと思います。
総括
いかがでしたでしょうか?
いわゆる異世界転生ものと言っていいのかどうかはともかくとして、他の異世界転生ものの作品とは全く種類の異なる面白さと新鮮さがある作品だったと思います。
異世界から戻ってきたおじさんの日常系作品という趣もあるような気がしますが、正直この読み味は他に例えられる作品が思い浮かびません。
なので興味がある人は一度読んでみることをおススメします!