『異世界おじさん(2)』絶対にテンプレ通りには進まない異世界コメディの感想(ネタバレ注意)
公式にフラグへし折り系コメディと称される『異世界おじさん』。
異世界に転移するのではなく、そこでの経験を振り返るというのも面白いですが、現在は様式美のテンプレとなっている出来事。
特に女性関係でのフラグをへし折りまくるおじさんが面白すぎます。
現代の様式美を知らないおじさんだからこその面白さは2巻になっても健在ですが、ツンデレちゃんやメイベルの可愛らしさも増してきています。
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本作の概要
おじさんの異世界エピソードを共有する仲間も増えて、少しにぎわってきた『異世界おじさん』の世界。
しかし、相変わらずおじさんは出不精でゲームばかりしているし、異世界の思い出話ではフラグを折りまくっています。
良い意味で1巻から何も変わっていない『異世界おじさん』に注目ですね。
本作の見所
世知辛いユーチューバー
おじさんの収入源はユーチューブの広告収入。
しかし、2018年2月のユーチューブパートナープログラムの改正により広告収入を絶たれるピンチに陥ります。
あれっ?
おじさんって結構な人気者になっていたはずじゃあないかと思いましたが、視聴時間の割になぜかチャンネル登録者数が少ない。
たかふみに泣きつくおじさんですが、どうやらおじさんの動画をCG扱いするコメントにまじめに反論しまくっているせいで登録者が離れていってしまっているようですね。
まあ、おじさんはまだ動画サイトの視聴者の機微というか、文化のようなものを把握しきれていないのだと思われます。
「こんなピンチは封印都市ルバルドラムの防衛魔法が破られて伝説級の魔獣1000体が解き放たれたとき以来だ」
収入が絶たれて大ピンチですが、面白そうなおじさんお異世界回想が始まりました。
ツンデレちゃんも、いつも何だかんだで登場しますね。(笑)
そして、他人事のように言っていたおじさんですが防衛魔法を破ったのはおじさんが何となく「いけるかなー」って思ってやってしまったことでした。
何やってんだって感じですが、この辺はむしろ現代の異世界ファンタジーぽいかもしれませんね。
「・・俺が結界壊したって言わないのか?」
「今晩ご飯おごって。それでチャラ!」
やらかしても味方でいてくれるなんて優しいツンデレちゃんですが、それを恐喝だと思って逃げてしまうあたりはさすがおじさんです。(笑)
変身するおじさん
さて、そんな風にツンデレちゃんから逃げたりしていたおじさんですが、実は結構好意的でもあったのではないかと思わせるのは、藤宮に恋愛的なアドバイスをするために女子であるツンデレちゃんに変身したエピソード。
「たかふみの叔母です」
相当若いと思われるツンデレちゃんに化けての叔母扱いは怒られそうですが、こうやって変身する対象として選ぶ時点でかなり近しい間柄だったのではないかとも思えますね。
まあ、他に近しい人間がいなかったという説も濃厚ですが、少なくとも17年間異世界にいて女性に化けようと考えた時に真っ先に思い浮かぶ程度の近しさではあったようです。
見た目はツンデレちゃんなんだけど、中身はおじさんなわけなのでいつものツンデレちゃんとは違った表情が描かれているのが良いですね。
中身はおじさんだけど。(笑)
昔のゲームの裏技的攻略法
ツンデレちゃんにしろメイベルにしろ、『異世界おじさん』に登場する女の子ってみんな可愛いですよね。
今巻で初登場した神聖魔導士のアリシアもちょっと幼い感じですが可愛いですね。
エドガーとライガからは疑われつつも仲間のように行動を共にし、一緒にゴブリン退治をしようとします。
昔のゲームの裏技のように敵を誘導して崖下に落とそうとするものの、まあ当然うまくいかないのはご愛敬ですね。(笑)
ともかくこうして信頼を得ていくのですが・・
「あの・・封印都市の結界を再構成しましたよね?」
なんとおじさんの失態をアリシアは目撃していたようです。
もちろん、これで恐喝しようとかそういう意図でアリシアは言ったのではなく、むしろ尊敬の念を込めて言っていたのですが、そこで恐喝だと受け取ってアリシアたちの記憶を消してしまうところがおじさんクオリティですね。
藤宮も普通に可愛いと思う
現代日本側のヒロイン?
・・と言って良いのでしょうか。藤宮もかなり可愛らしいキャラクターだと思いますが、幼少期はガキ大将っぽい性格の上にあまり可愛くないです。
ですが、これは現実にも意外とよくあることな気がします。
どんな子供がどんな風に成長するかは分からない。そんな一例ですね。
まあ、藤宮はかなり過去の自分を美化してしまっていたようで、本当の過去の自分を見て若干ショックを受けているようですが。(笑)
何とかたかふみの気を引こうと頑張っている姿はなかなかいじらしいと思います。
それにしても、おじさんは藤宮のたかふみに対する好意には普通に気付いているようで、2人を応援しようとしているのが意外ですよね。
自分のことには鈍感すぎるのに。
ピンチはチャンス
おじさんの座右の銘。
ピンチはチャンス。
「もうだめだーって時は外からマイナスの力が自分に集中してる状態といえる。でもな、そういう時は力の向けを変えてやるだけで自分でも想定してないほどとんでもない大逆転の力になったりするもんなんだ」
たかふみも藤宮も異世界帰りのおじさんが言うなかなか良い言葉に素直に感心していますが、実はこれもゲームが元ネタというオチ。
その辺はさすがおじさんですね。(笑)
ちなみに、このエピソードではおじさんがツンデレちゃんを宿屋に連れ込もうとしますが、これは完全に誤解。
というか、ツンデレちゃんがだんだん可哀想になってきた・・
翌朝、何事もなかったように振舞うツンデレちゃんを見てたかふみはさすがにタフだと称賛していますが、藤宮は目元の泣きはらした後を見逃しませんでした。
この辺、やっぱり女性の方が敏感に感じ取るものだってことでしょうかね。
二人目の犠牲者
おじさんの行ってた異世界はどうやら指輪に対する文化は現代日本と同じようです。
そんな世界で1巻でもツンデレちゃんに指輪を送って誤解を与えていましたが、今巻ではメイベルに対しても同じことをしています。
「さっきも言ったが、換金して飯代にすれば一生食いっぱぐれないぞ!!」
やってることは酷すぎるのに完全に善意なのがまた酷いですね。
ツンデレちゃんとメイベルの間に謎の友情が生まれているらしいのも面白かったですけど。(笑)
総括
いかがでしたでしょうか?
今巻でもバンバンとフラグをへし折っていましたね。(笑)
もったいないというか、なんというか・・
このおじさん、すっごいダメ人間ではあるのだけど幼い子供を見ている時のような、応援してしまいたくなってしまう何かがあるのが不思議なんですよね。
『異世界おじさん』で語られる異世界のエピソードはすべて過去の話なのですが、ツンデレちゃんやメイベルが報われる日は果たしてくるのか?
その辺も気になるところですが、おじさんの様子を見る限りは最後までフラグは折られ続けたと考えて間違いなさそうですね。
また、今巻ではツンデレちゃんに変身したおじさんが見られましたが、本物のツンデレちゃんやメイベルが過去の回想ではなく登場するような超展開も見てみたいような気がします。
まあ、そんな展開があるとしたら本当に最後とかでしょうけど。