あるいは 迷った 困った

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『いとなみいとなめず(1)』純情だけどスピード感のある二人が微笑ましい漫画の感想(ネタバレ注意)

 

いとなみいとなめずは、一目惚れから始まる年の差恋愛と結婚が描かれた漫画となります。

最初、一目惚れからいきなりのプロポーズから始まる展開で、そこから結婚に至るまでの物語なのかなぁと思って読み進めようとしたら、結婚までは一足飛びの急展開でそこが物語のスタートラインになっているようでいきなり予想を外されてしまいました。(笑)

しかし、主人公の純岡清もヒロインの飛鳥馬澄も、名前の通り純粋で清くて、そして澄んでいる。そんな二人の純情な新婚生活がマジで微笑ましくて、なるほど作者の水瀬マユ先生の描きたかったのはコレなんだろうと納得しました。

純情な男女の恋愛を描いた作品は少なくありませんが、普通は結婚する頃には多少なりとも初々しさのようなものは薄れているものです。

それがいとなみいとなめずの場合は違っていて、出会ってから二年後に結婚してからも本当に初々しい。

それは、ヒロインの飛鳥馬澄がもともと高校生だったので、主人公の純岡清があまり積極的に振舞ってしまうのは倫理的にも、下手をすれば法律的にも問題があるという状況だったことに理由があるのだと思います。

例え二人が純情でなくても、純情でなければならない状況だったということですね。

逆に言えば、だからこそ自然に新婚後も変わらずに初々しさのある二人が不自然にならなかったのだと思います。

つまり、初登場時にヒロインの飛鳥馬澄が高校二年生だったのは、別に少しばかり背徳的な恋愛を描くためとかそういう理由ではなく、あくまでも初々しいままで新婚生活をスタートさせるための理由付けだったのではないかと、僕はそう思うわけです。

もっとメタい視点に立てば、純岡清が飛鳥馬澄にプロポーズしてから結婚するまでの二年間がほとんど一瞬で描かれているのは、結婚後も出会った時と何も変わっていない二人を表現するために出会いのシーンは必要だったものの、本当に描きたかったのはあくまでも結婚後だったからなのだと推察できますね。

まあ、これは一読者でしかない僕の勝手な推察でしかなく、これが当たっていようが外れていようがいとなみいとなめずが面白い漫画であることには変わりないのでどうでも良いんですけど、要はこんな風にいろいろと考えてしまうくらいには個性のある漫画なのだということを言いたかったのです。

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本作の概要

名前の通り純情で清い性格の青年。それが主人公の純岡清で、自分から恋愛ごとは遠ざけてしまうような性分でした。

そんな純岡清でしたが、ある日行き付けの弁当屋に新しく入ったアルバイトの飛鳥馬澄に一目惚れをしてしまい、二度目に会った時にほとんど初対面であるにも関わらずテンパってプロポーズしてしまいます。

しかも、知らなかったとはいえ飛鳥馬澄はまだ高校二年生の子供で、場合によっては犯罪者扱いされてもおかしくない状況でした。

しかし、澄の反応はまさかの好意的なもので、トントン拍子に話が進んで澄の卒業後に二人は結婚することになります。

誓いのキスすらできない純情な清と、同年代の女子と比べても奥手な様子の澄の結婚生活がとても微笑ましい展開になっていきます。

本作の見所

一目惚れからのプロポーズ

草食系男子という言葉が生まれて久しいですが、主人公の純岡清ほど当てはまる人も珍しいでしょう。

異性に免疫のない人は少なくない世の中だと思いますが、それでも二十代も半ばになって清ほど純情な男性はなかなかいないと思います。

そんな清でしたが、ある日行き付けの弁当屋に新しく入ったアルバイトの飛鳥馬澄に一目惚れしてしまいます。

会社の先輩に指摘されるまでそれが一目惚れであることにすら気付かない清ですが、それを自覚させられかなり混乱した状態になってしまい・・

「僕と結婚して下さい」

会ったのはたったの二度目。一度目だって弁当屋でレジを打ってもらったのみ。

たったそれだけの相手に清はプロポーズしてしまいます。

「どっ・・どうしましょう・・私・・高校生なんですが」

しかも、恥ずかしさと気まずさの入り混じった様子で答える澄は、まさかの高校二年生でした。

女子高生って制服着ている限りはかなり子供っぽく見えますけど、確かに弁当屋でエプロン付けて働いてたらもっと年上に見えるかもしれませんし、清が勘違いしてしまったのも仕方ないのかもしれません。

いや、これは一目惚れなので相手が高校生だとか大人だとかは無関係なのかもしれませんけど。

「私が高校を卒業するまで待っててもらえますか・・?」

そして、まさかの澄がプロポーズを受ける展開にっ・・!?

実は、単にご都合主義でプロポーズを受けたのではなく、澄には澄で早く結婚したい理由があったりするのですが、それに相手が清で良いと思った理由もちゃんとあるのですが、ともあれお互いに純情な雰囲気の割にはちょっと波乱のありそうな組み合わせのカップルが誕生します。

誓いのキスのできない結婚式

波乱のありそうな組み合わせのカップルが誕生したかと思ったら、一足飛びに澄が高校を卒業、そして早々に結婚という展開が待っています。

前書きに前述したとおり、最初は社会人と女子高生のちょっと背徳的で波乱のありそうな恋愛から結婚に至る過程を描く漫画なのかと思っていましたが、そうではなくあくまでも結婚してからが物語のスタートになっているようですね。

もちろん、ここで結婚に至るまでに何も無かったわけではなく、澄の保護者と清の対面などは回想で描かれていますが、ともすれば作品のゴールでもおかしくないような場面に一気に突入する展開が地味に興味深くて面白かったです。

そして結婚式の当日。

プロポーズから1年以上経っているはずですが、やっぱり女性に免疫が無いところは治っていない清。

結婚式といえば誓いのキスで、大勢の、それも自分たちのことをよく知っている人間ばかりの目の前でするキスはかなり特殊な状況ではあると思います。

とはいえ、普通のことと言えば普通のことなのでそこまで過剰に捉えるほどのものではないと思うのですが、清の過剰反応が滅茶苦茶面白いです。(笑)

先輩からのご祝い

結婚すると夫婦のいとなみ的な方面で盛り上げようとする人が周囲に出てくるのはある意味では定番の展開だと思いますが、あまりにも純情なキャラクターなのでその辺がどうなっていくのか興味深いところではありました。

そして、清の会社の先輩からもらったお祝い。清はそれを現金だと勘違いして澄に託してしまうのですが・・

その中身は、とってもうす~い壁を隔てるための伸縮自在なアレでした。

まあ、ぶっちゃけ予想はできていました。(笑)

「あのォ・・会社の先輩から頂いたこれって一体なんですか?」

しかも、澄はその正体を知らないという・・

確か、この手の避妊具とか避妊方法って中学生くらいの頃に普通に学校で習った記憶がありますが、今どきの子供は習わないのか、それとも澄が無知なのか、知ってはいるけど実物は見たことが無いのか、いずれにしても知らないことでちょっと面白いギャグに発展する展開が結構良かったです。

お祝いとしてもらったものだからか大事に使おうとして、氷のうにしてみたり、物干しざおに干して再利用しようとしたり、澄の行動が面白すぎます。

澄の友人が家にやってきて、干されたアレが見つけられたことでようやく澄もアレの正体に気付くのですが、煮込みハンバーグを煮詰めながらアレを眺める澄の表情もまたなんとも言えませんし、何度も捨てようとしたり躊躇ったりする動作が可愛らしいです。

まあ、気持ちはわからなくもありません。

どちらかといえば清の内面が強く描かれている作品なので、こういう澄の内面が強く描かれているシーンが少し珍しく感じられて、結構好きなシーンです。

総括

いかがでしたでしょうか?

夫婦のいとなみを「あると思う」と答えた澄に清がどう答えるのか。

非常に続きが気になる終わり方でしたね。

こういう終わりで続きが気になるというのも我ながら「えっちだなぁ~」って思わなくもありませんが、これはどうしたって気になりますよね?

まあ、どうしても続きが気になってAmazoneで一話ずつ配信されているKindle版を読んでしまったので続きの展開は知っているんですけどね。(笑)

それにしても、全くノーチェックだったところから久々に掘り出し物の漫画を見つけたと思わされた作品でした。

昔は無かったけど、近年増えつつある書店の試し読み冊子。それを読んで興味を持った作品だったのですが、実のところそれが無ければ多分買うことはなかった作品でした。

あの冊子、あまり気にしたこと無かったけどちゃんと広告効果あったんですね~