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『結婚するって、本当ですか?(1)』結婚する理由に驚く漫画の感想(ネタバレ注意)

 

結婚するって、本当ですか?と問いかけるようなタイトルの漫画ですが、たぶん最初に結婚しようと言った本人すらそう問いかけたいと思ってしまうような結婚のキッカケに驚くような漫画だと感じました。

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結婚の前段階の恋愛すらすっ飛ばして、ただただお互いの利益のために結婚すると聞けば、例えば前時代的な政略結婚などを思い出しますが、それが個人的な事情のみとなると話は違ってくると思います。

結婚するって、本当ですか?の大原拓也と本城寺莉香の場合、なんと互いの生活を守るため、独身者が優先される転勤を回避するためという個人的な事情で婚約者となります。

旅行会社の企画造成部。シベリアにある支店の支店長としての転勤で、単身赴任には遠いこともあるので独身者が優先的に募集されることになったわけなのですが、主人公の大原拓也は飼い猫を連れていけないことを理由に断ろうとするも、それは理由にならないと跳ねのけられてしまいます。

とはいえ、どんな理由であれその重さは人それぞれで、シベリアに行くことになるくらいなら会社を退職しようと大原拓也は考えていました。

そしてもう一人、コミュ障気味なのにシベリアに単身行くのはムリだと考える者がいました。それは大原拓也の1年先輩の本城寺莉香。どうやら、かなりのコミュ障で接する人に誤解を与えるタイプの女性みたいですね。

どちらもシベリアの支店には何としても行きたくないようですが、別の社員が冗談でその回避方法を示しています。

「思いきって結婚するんですよー!! だって独身者が優先なんですよねー?」

なるほど、確かに独身者が優先なら結婚は有効な回避策になりますし、新婚ならなおさら配慮されるような気もします・・が、そのあてがあったとしてもタイミング良く結婚するのは難しい話な気がしますね。

しかし、そこで本城寺莉香は大原拓也にそれこそ思いきった提案をします。

それは自分たちが結婚することになったという嘘を周知することで一人の生活を守り、転勤の可能性が無くなったところで結婚のことはうやむやにしてしまうという作戦みたいですね。

原拓也も本城寺莉香も社内では目立たないタイプの人間なので誰もそこまで興味は持たないだろうし、この作戦でうまくいくと思っていたようですが、しかし二人の予想に反して周囲の反応は大きく盛大に祝福されてしまいます。

ということで、想像以上に婚約者らしく振舞う必要性が出てきてしまった状況になり、その状況が巻き起こすエピソードというのが結婚するって、本当ですか?という作品の骨子になるのだと考えられます。

結婚を祝うサプライズパーティが開かれたり、想像以上に周囲の注目を集めてしまったためボロがでないように「なれそめ」を作ろうとしたり、そういうドタバタが面白い。

そして、そういうドタバタを通して大原拓也と本城寺莉香の二人が思うことは同じでした。

「かんちがいしちゃダメだ」

つまり、双方ともに婚約者を演じる内に相手に惹かれ始めているということ。

これは人間何に対しても卵が先か鶏が先かということは起こりえることで、得意なことは得意だから得意なのではなく得意だと思ったから得意になったのだとか、趣味は好きだから趣味になったのではなく、新たな趣味にしようと思い触れてきたから趣味になったのだとか、そういう話と同じですね。

恋愛も同じで、とりあえず付き合った相手のことを後から好きになるというのも往々にしてあるものだと思います。

原拓也と本城寺莉香の二人が置かれた状況がまさにそうなのだと思いますが、しかしこの二人の場合はとりあえず付き合ったというのとは見かけ上は似ていても実情はかなり異なります。

とりあえず付き合った相手を好きになることは、できればそうなったら良いということが前提なので好きになったら幸せ・・ってことで大団円ですが、あくまでも演技。相手を本当に好きになることを前提にしていない付き合いなので、そこで相手を好きになってしまったら少々面倒くさいことが巻き起こる可能性があります。

なんせ、この状況では相手の本心すら分からなくなる可能性が高いですから、双方ともにかなりモヤモヤするような展開が続くのではないでしょうか?

まあ、それが読者視点ではニヤニヤしてしまうような微笑ましいものになるのだと予想しますが。(笑)

いずれにしても、最終的には演技だったつもりが本当に結婚するまでに至るという展開を予想しますが、そこまでに何があるのかが楽しみな作品だと感じました。