『金色のガッシュ!!(10)』平成最高の激熱バディもの漫画の感想(ネタバレ注意)
魔界の建造物らしきものの正体が明らかになる10巻です。(前巻のレビューはこちら)
魔界の建造物らしきものの名前はファウードといい、恐ろしく巨大な魔物であることが判明します。
清麿ですら気付かないそれに気付くキャンチョメの勘の良さはなかなかのものですが、これは気付かない方が幸せな類の気付きでしたね。
実際、キャンチョメが自らの気付きを仲間たちに共有した後、一回はみんな後悔していました。(笑)
そんなファウードを巡る戦いが今回の長編エピソード・ファウード編となります。
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本作の概要
いよいよ魔界の建造物らしき物体の正体がファウードという巨大な魔物であることが明らかになり、さすがの清麿・ガッシュペアも空元気に振舞っています。
しかも、どうやらファウードの封印を解かなければリィエンがリオウの呪いで死んでしまうことも明らかになり八方ふさがりの状態に。
正確には八方ふさがりではなくガッシュにも選択権があるのですが、それは大事なもののいずれかを諦める究極の2択でした。
ガッシュは苦悩して答えを出すのですが・・
ガッシュの王としての資質を問われる選択が最大の見所だと思います。
本作の見所
カイル・レインペアとカイルの成長
ガッシュの友達である魔物レインは、どうやら魔界では手の付けられない暴れん坊だったようですね。
それが崖に落ちてピンチの時にガッシュに助けられたのがガッシュと友達になるキッカケとなりました。
「何を言うか!? ズタボロなのはお主であろう!!? 早く手を貸すのだ!! お主が死んでしまう!!」
魔物の王様を巡る戦いを通して強く成長してきたガッシュは、魔界にいた頃は弱い魔物だと言われていましたが、目の強さはその頃から変わらないようですね。
レインはガッシュのその目の強さに惹かれたようです。
(「金色のガッシュ!!」181話より)
カイルに対しても、まっすぐな本気の姿を見せることでガッシュの真似をしようとしますが、なかなかうまくいかない様子でカイルを怖がらせてしまいます。
しかし、そんなレインを見てカイルも勇気を出して敵に立ち向かおうとしだします。
強い奴が強いのより、弱い奴が強くあろうとする姿って何だか格好良く見えますよね。
そういうのこそ本当の強さだからなのでしょうか?
とはいえ、レインがいなくなった後のカイルは、それでもジルの所業に怯えていましたが・・
(「金色のガッシュ!!」183話より)
レインを穀潰し扱いするジルに立ち向かい自己主張する勇気を持てるまでに成長したようです。
「本気の姿ってのは怖えもんなんだ、とくに大切なものを守ろうとする時はよぉ」
確かにその通り。レインを馬鹿にするジルに反論するカイルの姿はなかなか迫力があって怖いもので、ジルも怯えてしまっていましたね。
ティオ大激怒
みなさんはスカートめくりをしたことがありますか?
・・って何を聞いてるんだか。(笑)
もはや昭和臭のする死語ですが、平成後半の作品である『金色のガッシュ!!』にもスカートめくりをするキャラクターが登場します。
サルとウサギを足して2で割ったような魔物モモンは、非常にスケベな悪ガキといった面持ちで、ティオのスカートめくりを繰り返し逆鱗に触れまくります。
最初は清麿をからかって激怒させていたモモンですが、途中からティオがあまりにも激しく般若と化していることから清麿が冷静になっているのが少し面白いです。(笑)
いや、怒っている時に自分より怒っている人が側にいると、何故か冷静になることって確かにありますよね。
「ああ・・それにしても怖い、今のティオは本当に怖い!! 一体何が起こるんだ!!?」
清麿の分析が完全にシリアスな戦闘シーンのそれですが、モモンは一応、清麿・ガッシュペアの仲間の立ち位置のキャラクターで、その登場回はどちらかといえばコメディよりのエピソードです。
(「金色のガッシュ!!」186話より)
第六の術チャージル・サイフォドン。
そんなコメディ回で最大最凶の攻撃呪文を覚えるとは・・!(笑)
ティオのスカートめくりをされたことに対する怒りはそれほど大きいということですね。
今時スカートめくりをする子供なんていないでしょうけど、やめましょうね?
ファウードの正体
前巻で魔界の建造物らしき物体の正体について何かしら感付いている様子だったキャンチョメですが、気付いたことに後悔するくらいに怖がっています。
しかし、リオウの呪いで仲間であるリィエン・ウォンレイペアが敵に回ってしまっている。
そんな2人を助けるためにもキャンチョメの気付きを共有することの重要性を必死に説いて、なんとかキャンチョメの気付きを他の人間・魔物ペアも共有することができました。
(「金色のガッシュ!!」189話より)
確かに、言われてみればファウードって初登場の時点から人型っぽく見えますね。
こういうの「あは体験」って言うんでしたっけ?
キャンチョメの説明を受けて、一斉にファウードが巨大な魔物に見えるようになってきた清麿・ガッシュたち。
・・と同時にキャンチョメが怖がって言いたがらなかった理由も分かるというものです。
勘が良いキャンチョメ
キャンチョメは聡く勘の良い魔物です。
「そうだ・・このイヤな感じ、あの時と同じだ・・ベルギムE・Oと戦った時と・・ナゾナゾ博士が倒れて、キッドが魔界へ帰ってしまった、あの時と・・」
そして、それは悪い予感にも働くようで、今までになく傷ついて戦うフォルゴレに嫌な予感を覚えているようです。
確かに、今回のフォルゴレはかなりスレスレの所まで頑張っている感じでしたから、キャンチョメがそう不安になるのも分かりますね。
「僕が何もできないせいで、誰かがいなくなるのは!!! もうイヤなんだよ!!!」
そんな不安と戦うように、誰一人いなくならないようにと、いつもとは違った覚悟で戦いに臨むキャンチョメが格好良いですよね。
そんな戦いぶりに反応したのか、キャンチョメにも新呪文が登場しました。
第四の術ディマ・ブルク。
自分の分身を8体も作り出す汎用性の高そうな技ですね。
(「金色のガッシュ!!」194話より)
しかし、分身の一体一体に普段の臆病なキャンチョメが反映されていて、本体のキャンチョメがちょっと情けなさそうな様子なのかが面白いですね。(笑)
ガッシュの王の資質
ファウード編は、少し続巻のネタバレになりますがガッシュの王としての資質が問われる戦いだったような気がします。
今までになく清麿・ガッシュが成長するエピソードなんですよね。
「君も決めなければいけない。リィエンという友の死か、全世界の人々の死か、どちらかを」
今までやさしい王様という目標に向けて、それなりに王の資質らしきものを示していたガッシュですが、このアリシエの問い掛けで初めて本当の意味での王の資質を問われたのではないかと思います。
いわゆる究極の二択。
情に訴えるなら前者、合理的に考えるなら後者を選ぶべきなのですが、その選択をガッシュに迫るあたり、ひょっとしてガッシュに王としての資質があると期待されているのでしょうか?
(「金色のガッシュ!!」198話より)
そして、ガッシュの下した結論は「誰も死なせない」という第三の選択肢でした。
冷静に考えたら王様としては何かしらの犠牲を選択し、その上でその責任を負うべきであるという考え方もあるかもしれませんが、ガッシュの目標はやさしい王様です。
誰かの犠牲を前提とした選択をしてしまっていたら、それは本当の意味でのやさしい王様とは言えなかったでしょうから、考えた上で正しい選択ができたということになるのでしょうか?
「ファウードが魔界から人間界へきたならば、元の魔界へ帰す方法もきっとあるハズ!!!」
しかも、何の根拠もなく第三の選択肢を選んだわけではなく、ちゃんとその為のプランまで考えているのが凄いですね。
ウンコティンティン
ティオは意外とギャグっぽい扱いを受けることが多いですが、その人間パートナーである大海恵は比較的そのような扱いを受けることは少ないです。
一応アイドルらしい扱いを作者からも受けているということなのでしょうか?
(「金色のガッシュ!!」200話より)
・・なんて思っていたらウンコティンティンなんて小学生が好きそうな魔物に好かれて下ネタすれすれの名前を言わされるこの扱いです。(笑)
ウンコティンティンとの戦いの後、珍しく拗ねた様子の大海恵がちょっと可愛らしいですね。
オマケページ(ガッシュカフェ)
今回のガッシュカフェはゾフィスとロデュウ。悪役の二人ですね。
ゾフィスの人間パートナーはココですが、心が操られていてシェリーによって解放されたココを登場させるわけにはいかなかったのか、代用のロボットが登場しているのがちょっと面白いですね。(笑)
作中では語られていないゾフィスの能力。
心を操る力についてゾフィス自身が説明しているのも本編ではあり得なかったことなので興味深いと思います。
というか、もっと魔法的な力かと思っていたら実は催眠術の延長のような技術だったのが驚きです。
総括
いかがでしたでしょうか?
いよいよファウード編が始まりつつありますね。
しかし、ファウードが尋常ではないくらい巨大な魔物であることが明らかになりましたが、これは単に巨大な魔物を巡る戦いが始まるという単純なエピソードではありません。
デュフォー・ゼオンペアの動向は未だ不明で、どのように関わってくるのかが気になるところですし、リィエンがファウードの封印を解こうとする魔物リオウの呪いにかかってしまったことで、まさかのウォンレイが敵に回る事態になってしまったことがどう影響してくるのかにも注目です。
また、今巻では登場しただけですが、ガッシュの友達のテッドが探していたチェリッシュも登場しています。
彼女もまた人間のパートナーがリオウの呪いにかかってしまっている魔物ですが、清麿・ガッシュたちがそれに気付いた時に何が起こるのかも気になるところですね。(次巻のレビューはこちら)